ChangeきゃすてぃんぐKANON-プロローグ


このSSをヴェーテルさんに捧げます。
違和感コメディChangeのバリエーション。

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ChangeきゃすてぃんぐKANON-プロローグ
 

雪が降っていた。
重く曇った空から、真っ白な雪がゆらゆらと舞い降りていた。
冷たく澄んだ空気に、湿った木のベンチ。
俺は駅から外に出て、そんなベンチにを眺めながら、もう一度ため息をついた。
屋根の上が雪で覆われた駅の出入口は、今もまばらに人を吐き出している。
白いため息をつきながら、駅前の広場に設置された街頭の時計を見ると、時刻は0時50分。
まだまだ昼間だが、分厚い雲に覆われてその向こうの太陽は見えない。
「…遅いわよ。」
声に振り返ると、そこの女の子が立っていた。
雪よりも冷たい眼差しで、オレを見ていた。
「…あれ?」
「あれ、じゃないわよ。」
「えっと…まだ、時間じゃないんですけど…」
オレが恐る恐る聞くと、女の子は肩をすくめてオレに聞いた。
「今、何時?」
「0時50分」
「そう…遅いわね」
セリフと共に女の子はやれやれと言った感じでため息をつくと
「女の子との待ち合わせに30分前に来ないなんて、最低ね。」
「えっと…」
「寒いじゃないの」
「…ごめんなさい…」
オレは恐る恐る謝った。
「お詫びに、おごりなさい。」
「はい?」
「当たり前でしょう?遅れたお詫びよ。それと…ここまでわざわざ出迎えさせたお詫び。あなた、何様のつもりなの?」
「…いや…その…」
「コーヒーいっぱいで済むと思わないことね。」
オレは…
もう忘れていたとばかり思っていた、子供の頃に見た雪の景色を重ね合わせながら…
「お前、誰?」
「なに言ってるのよ、従姉妹に向かって。だいたい、そういう時は自分から名乗るものよ。。」
雪の中で…。
雪に彩られた街の中で…。
7年間の歳月が…全然変わってしまった気がして…
「祐一」
「…そうだっけ?」
「そうだっ!お前…妹とかいない?」
「あたしに妹なんていないわ」
一言一言が、風に飛ばされる雪のように、記憶をごちゃごちゃにして…
女の子の肩越しに降る雪は、さらに密度を増し、吹雪と化して…
「いい加減、こんなとこにいたくないわね。行くわよ。」
「…えっと…お前の名前…」
「どうでもいいわよ、そんなこと。行かないなら、一人で行くけど。」
「あ、いや…行きます…」
7年ぶりの街で、
7年ぶりの雪に囲まれて、
「えっと…香里?」
「ここじゃそうじゃないの。名雪よ。」
「え?」
オレは…自分が、何か違う世界に足を踏み入れてしまったことを…
「置いてくわよ。」
「あ、はい…」
…もっと知ることになる。

<to be continued>
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…筆者です。
「仕切り屋・美汐です。」
…というわけで、当然ながらこの作品は、あのミスキャスト物の名作を産み出したヴェーテルさんに捧げます。
「…続けるんですか?」
…一応。まあ…これはChange書いてる者の特権ってことで(苦笑)1月7日くらいは書いてみようかと。ChangeとM.Y.S.C.に詰まっててさあ…
「…死んでも知りませんよ。」
…いや、多い方が書きたい時に書けていいんだ。あはは。

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