それさえも、うぐぅな日1 〜新喜劇Kanon〜


ベタなネタですが…

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場面1 商店街

男の子が泣いていた。
ただ、流れる涙を拭いてあげたかった。
泣かないで。
大丈夫だから。
でも……

オレはそこで名雪を待っていた。
…記憶にはないが、オレはこの商店街に来たことがあるのだろうか。
あたりは夕焼けだった。
赤い…赤く染まった世界だ……
はっ
これはネタが違った。
気を取り戻したオレの耳に、後ろからサクサクサクと誰かが走ってくる足音がした。
「む、オレの後ろに立つんじゃない!」
オレは振り返ると、身構えて、叫んだ。
「どっからでもかかって来んかーい!!」
「ぱこっ」
…いきなり、後ろからスリッパではたかれる。
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「がきっ」
…音が違った。
「舞、剣は止めなさいよ。」
「………みね打ちだから。」
「じゃあいいっか」
よくないわ!第一、舞の剣は両刃だろうがっ!!
というオレの叫びなど聞こえることもなく
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「がきっ」
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「がきっ」
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「がきっ」
「……いいかげんにせんかーい!」
叫んで、やっと立ち上がると、そこには誰もいなかった。
「…うぐぅ、ボクがいるもん」
いや、あゆはいたか。
オレはズボンの裾のゴミをはたくと、あゆに向かって
「ふっ、この程度か。口ほどにもないやつらめ。」
「ぱこっ」
…いきなり、後ろからスリッパが。
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「がきっ」
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「がきっ」
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「ずさっ」
「……舞、今のはまずいんじゃない?」
「……大丈夫。村正だから。」
大丈夫じゃないわっっっっっ!!!!!
というオレの言葉など聞こえるはずもなく、
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「ずさっ」
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「ずさっ」
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「ぱこっ」
「ずさっ」
「……いいかげんにせんかーい」
やっと叫んで、血を滴らしながら立ち上がると、やはりそこには誰もいなかった。
「…うぐぅ、しつこいよ。」
「気にするな、あゆ」
流れる血が目に入って、見えなかっただけさ。
オレはよろめきながらも、ズボンのほこりをはたくと、
「ふっ、今日はこのぐらいにしといてやるっ!!」
「…うぐぅ、だったら泣かないでよ。」

男の子が泣いていた。
ただ、流れる涙を拭いてあげたかった。
泣かないで。
大丈夫だから。
でも……

「大丈夫じゃないわいっ!!」
「…うぐぅ」

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本当は松竹新喜劇も好きなんですけどね。それは次回に。<まだやるか inserted by FC2 system