ねこまんま

 または いかにしてオレはご飯を食べるのをやめて

 奇跡を信じるようになったか


………ギャグです。
でも、題名で期待された方、
わたしは真琴属性の人だから、皆さんが望む展開にはなりません。
その上、個人的な趣味に走りすぎてて笑えない…
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ねこまんま
 または いかにしてオレはご飯を食べるのをやめて奇跡を信じるようになったか

どたどたどたどた
廊下を走る真琴の足音。
「ぴろ〜、どこ行ったのよ〜」
全くうるさいやつだ。静かに廊下を歩けんのか。
「ねえ、ぴろ知らない?」
「見てね−よ」
今に顔をのぞかせた真琴に、オレはめんどくさそうに首を振る。
「さっきからいないのよ−」
「オレもさっきから見てないって。どっかに遊びに行ったんじゃないか?」
「あぅー…そうかなあ…」
どたどたどたどた
足音が、遠ざかる。
「…ご飯ですよ。」
秋子さんが呼ぶ声に、オレは食堂に向かった。

「あら、真琴は?」
自分のいすに座ったオレに、秋子さんが尋ねる。
「さあ。ぴろ、探しに行ったみたいです。」
「あら、そう。」
秋子さんはちょっと首をかしげると、
「まあ、いいわ。先に食べていましょう。」
「わーい。ごっはっん、ごっはっん」
名雪が寝間着で浮かれている。
「今日のご飯はなーにかな?」
「今日のご飯は、ねこまんまです。」

それはたしかに、ご飯に何かの汁がかかったものだった。
しかし、これは……

「あぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
大声に振り返ると、真琴。
「ぴ、ぴろ〜〜〜〜〜〜〜」
泣きながら真琴は走っていった。
どたどたどた (階段を上る音)
ばたん (部屋のドアが開く音)
がん! (何かにぶつかったらしい音)
ばたん (部屋のドアを閉めた音)
どたどたどた (階段を降りる音)
ずるっ どどどど(階段を滑って落ちる音)
「あぅ〜」 (痛くて涙ぐんでいる声)
どたどたどた (気を取り直して廊下を走る音)
どたどたどた (しばらく、そのままでお待ちください)
どたどたどた (ただいま処理しております)
どたどたどた (って、このネタ一度使ったな)
どたどたどた (今日の廊下はいつもより長〜く走っております)

「ぴ、ぴろ〜〜〜〜〜〜〜」
息を切らせて、真琴が食堂の入り口に立っていた。
…どっから持ってきたんだ、その迷彩服は。
頭にかぶった、緑の十字もまばゆい「安全第一」の黄色いヘルメットが、
ひょっとしたら、ワンポイントファッションなのかもしれないが。
「み、みんな嫌いだぁ〜〜〜〜〜〜」
叫ぶと、沢渡真琴三等兵は、何かをテーブルに投げつけた。
………手榴弾?
その一瞬、オレの頭に浮かんだものは

<真琴に懲りさせてやる>
<甘んじて見守る>

やはり、これは下の選択肢でしょう。
おれはマウスを左クリックした。

「あら、おいしそうね。」
「わーい、ぱいなっぷるっ!ぱいなっぷる!」
案の定な展開と共に、水瀬家のグルメたちの前から、一瞬でそれは姿を消した。

「………あぅ〜〜〜〜〜〜〜」
泣くな、真琴。お前では、この連中には勝てない。
復活の呪文をオレが唱えてやるから、所持金の半分をオレによこせ。
オレはそう思いながら、一応、真琴の方を叩いて励ました。
「…自○隊に入らないか?」

「うぐぅ…騒がしいけど、何?」
そんなほのぼの気分の水瀬家の食卓の向こう、キッチンからあゆが顔を出した。
その頭には、毛皮のカチューシャ。
「…にゃー」
最近のカチューシャは、泣いたりするのか。
今度、舞に泣き声つきのうさ耳カチューシャを買ってやろう。
もちろん、バニースーツも付けて。
「………あぅ?ぴろ〜〜〜」
真琴がいきなり、あゆからカチューシャをもぎ取った。
むむ、ぴろだったのか。
最近の猫は、変わり身の術を使うから分からなかったぞ。

「さあさあ、そろったところで、ご飯を食べましょう」
「ごっはっん、ごっはっん」
「あぅ」
「うぐぅ」
オレの決めセリフって何?
ともかく、みんなが食卓の前にそろって座ると、
「いっただっきまーす」
一斉に、今日のご飯に手をかけた。
…しかし、なぜ、ねこまんま。
「今日のご飯はねえ、ボクが一人で作ったんだよ。」
そうか、なるほど。だからねこまんまなのか…
………って

オレは危ういところで手にした食器を置くことができた。

その日、
四本足なら椅子でも食べ、
空を飛ぶものなら飛行機でも食べる
水瀬家のグルメたちが
ご飯を食べずに席を立つのを生まれて初めてみたことを、
オレは一生忘れないだろう。

ありがとう、あゆ。
おれはおまえを「奇人変人大集合」に推薦してやるよ。
きっと土○勝さんがお前に、白いギターとベルボトムをくれるに違いないっ

「…うぐぅ…そんなの今じゃ、誰も知らないよっ。」

おしまい
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…一応、題名はスタンリー・キューブリック監督追悼記念です。 <をい
なんか、ある一定の年齢以上の人向けのネタ、多すぎ……年がばれるな。 inserted by FC2 system