Happy New Year, Miss Shiori !!

(栞ちゃん、ファイト!-2)


栞系SS。ブラックコメディ。

シリーズ:栞ちゃん、ファイト!

では、どうぞ

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Happy New Year, Miss Shiori !!(栞ちゃん、ファイト!-2)
 


窓の外を舞う
白い雪
白い窓

わたしは一人
ベッドから
雪明かりの窓…
 

…いきなり、夜?
わたし…今日、初めて目が覚めたのに(涙)
今日も誰も起こしてくれなかった…

でも、いいです。
それも好都合。

だいたい、こんなに寝坊したのは、昨日遅くまで遺書を書いていたせいです。
この新しい年が明ける日に…
初日の出を浴びて…

崖から飛びおりようかしら。
それとも、雪山に入る…
やっぱり、海に入って…

…でも、水死体ってひどい姿になるって…
 

…どうせ死ぬなら、きれいに死にたいから
だから…
 

まあ、ともかく、この遺書を置いて家を出なきゃ。
もうすぐ…年が明けてしまいます。

わたしは部屋を出て、暗い廊下に出た。
階下へ続く階段。
ゆっくりとわたしは降りていった。

静かな家。
聞こえるのはわたしの足音だけ。

わたしはふらつきながら、リビングへ向かう。
そして、リビングのテーブルの上にそっと
そっと置き手紙のように遺書を…
 

…置き手紙?
 

テーブルの上に、白い封筒が。
宛て名もない封筒。

わたしはそれを手に取り
そして中身を取り出した。

中には見覚えのある文字。
お母さんの…
 
 

『香里へ。
急に思い立って、お父さんと温泉に行くことにしました。
2、3日ゆっくり羽を伸ばそうと思うので、明後日の昼過ぎまで帰りません。
ですから、おせちも作りませんでしたけど…別にいいわね。
冷蔵庫の中の物で、適当にしといてください。

    母より』
 
 

…お母さん…
わたしもいるんですけど(涙)

とりあえず、わたしはキッチンに向かった。
そして、冷蔵庫を空けてみた。
 

…何にも入ってない(涙)
あるのは…
 

…氷だけ。
これでどうすればいいのよぉ…
 

わたしはもう一度、手紙を見た。
よく見ると、最後に一行。
 
 
 
 

『P.S. 生ゴミの収集はお正月が明けるまでないので、それまでは栞を捨てないでね。』
 
 
 
 

…わたしは生ゴミ?(号泣)

ううっ
こうなったら、今すぐここで…
 

トゥルルルルルルルルル
 

電話の音。
わたしは無意識に受話器を握って
そして

「はい、美坂です。」

「……誰、あんた。」
 

お姉ちゃん…
妹の声も分からないかな(涙)

「…栞です。」

「ああ、あんた…まだ生きてたの?」
 
 
 

…このくらいでは、もうくじけないもんっ!
 
 

「お姉ちゃん…どうかしたの?」

「ええ…お母さん、いる?」

「お母さん…お父さんと温泉に行きました。明後日の昼間で戻らないって。」

「そうなんだ…」
 

電話の向こう、お姉ちゃんは一つ息をついた。
そして
 
 

「よかった。あたしも今夜は友達と一緒に外で泊まるから。」
 

「……え?」
 

「じゃあ、冷蔵庫の中の物、パーティーの料理用に持って行ってたの、全然構わないわけね。これで安心したわ。」
 
 

…わたしの今日のご飯は?
わたしの明日のご飯は?
わたしの明後日の…
 

わたしはくらくらしながら
でも

「あの…」
 

「あ、栞。一つ、言っておくけど。」
 

「なに、お姉ちゃん?」
 
 

お姉ちゃんは電話の向こう、一度言葉を切って
そして
 
 
 
 

「死ぬんなら、外でか…でなかったら、あたしが空けといた冷蔵庫の中でお願いね。あたしが帰ったら腐ってたなんて、ごめんだから。じゃ。」
 
 
 
 

ガシャン

ツーッ、ツーッ、ツーッ、ツーッ、ツーッ、ツーッ
 
 
 
 
 
 
 
 
 

白いシーツ
白い窓
窓の外を舞う雪
雪の中

白い雪

雪の冷たさも
部屋の冷たさも
全ては
 

…暖房用の石油まで切れてるし(涙)
 

わたしは遠くで聞こえる霧笛の中で
新年を祝う霧笛の中で
キッチンの奥でやっと一つ
見つけた『緑の○ヌキ』にお湯を入れながら
『行く年来る年』の除夜の鐘中継を見ながら
 
 

思っていた。
 
 
 
 
 
 

今日だけは死ねない(涙)
みじめ過ぎる(号泣)

でも
 
 
 

死んでやる!

絶対、死んでやる!!
 
 

『ポッ、ポッ、ポッ、ポ〜〜〜ン』
 
 

死んで…こいつらを見返してやる!!
 
 

『あけましておめでとうございます!!』
 
 

…何がおめでたいのよぉ(号泣)
絶対…誕生日、見てなさいよっ!
 
 

    『お姉ちゃん』
    『お母さん』
    『お父さん』
    『わたしは…』

    『…恨んでやる(涙)』
    『絶対、化けて出てやる〜〜〜〜〜〜』
 

        栞滅亡の日まで、あと31日

<to be continued>

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…筆者です。
「仕切り屋・美汐です。」
…なんていうか…栞、ぷりてぃ(笑)
「…知りませんよ、栞属性の人に刺されても…」
…まあ、F,Fシリーズなんて書いたオレだ。そんなもん…怖れないぜ(苦笑)
「まったく…」
…今回は、F,F/Sを見てもらうと、また楽しみが増すかもね。
「しかし、これを読むためにF,Fシリーズを読むなんて…それはお薦めしかねます。」
…そりゃ、確かに(笑)さあ、次は…そろそろKanon本編の時間に入るぞ。他のキャラも出して…ああ、楽しみ、楽しみ〜
「…わたしが刺したいですね、ホントに…」 inserted by FC2 system