『Calling』について


最初の『夜中の月・昼間の月』は、『あなたとめぐり逢うために』を書く前に
気持ちをあのけなげな舞モードにしていく過程で思いつきました。
本気で構想30秒、書くのに数分のSSでした。
…1時間以内に2回ほど修正しましたけど(苦笑)

その後、『Dream/Real』を経て、なんとなく、キャラたちの考え方というか、
このキャラに聞いてみたいことはなんだろうか
そしてそれにキャラがどう答えるだろうか
そんなことを考えて、次々書いてみました。

でも、それはわたしの心の揺れというか、
自分の中で自分に問いかけたかった思いたちをキャラにぶつけて
キャラに答えさせて自分の中の平衡を取ることでした。

『夜中の月・昼間の月』
作成経過は上のとおり。
舞をわたしは月によく擬しますけど、月は冷たくて優しい。狂気と癒し。
でも、それは同時ですね。昼間の月は寂しい。でも、あったかい。
夜中の月は美しい。でも、冷たい。そんな感じ。
祐一と出会ったから舞は不幸になったのか、出会わなかったらもっと不幸だったのか。
10年の無駄な月日を考えると、ふとそう思うことがあります。
でも…出会ってしまった二人には、その仮定は無駄ですね。
その出会いがあって、二人がいる。ハッピーエンド後なら…それは全ていいのでしょう。

『この街に降る雨は』
あゆという存在がどうもまだわたしを惑わしています。
7年間の眠りの中で、街を駆け回り、あゆが探し出したのは本当は何なんでしょう。
わたしは…とりあえず、祐一を待っていたんだと、そう思うことにしています。
そこから起こったことは、追加のことに過ぎなくて、
あゆの本当の探し物は、祐一と、祐一の思い出だったんだと。
だから、雪が溶けて降る雨は、二人には温かい雨になるんだろうなと。

『そんなのいらないものだから』
既に真琴の説明で言いましたが、真琴が消える、そのことで何か主題を語るのが
わたしはとても嫌です。
わたしの中の真琴は、消える時に何の感情もなかったと思っています。
少なくとも、最後の方ではね。最初のうちの苦悩は語られてますけど。
消えていく純粋な少女に余計な感情はいらない。
一方、帰ってきた人間の真琴には感情が必要で、またいっぱいある。
だから…消えた真琴の記憶なんて、いらないんです。また思い出は作ればいいから。
…『恋はいつだって唐突だ』の結論に至りましたね(苦笑)

『あなたの代わりはどこにもいない』
美汐は美宇を忘れない。
でも、真琴は好きです。
人は何人もの愛する人を心に抱いて生きていくことはできるはずです。
誰も誰かの代わりじゃなく、その人を愛して。
美汐にわたしが望むことは、それだけです。

『だって、好きだからしょうがない。』
これは…SEAMAさんが去っていく主星さんに捧げたSSにわたしが酷いコメントをつけた後、明朝見たら消されていたことにショックを受けて書きました。だからわたしは人にコメントしちゃいけないのですね…
SSは名雪ですが、名雪は真琴とは別な意味で純粋な少女ですね。
祐一が好きという気持ちを持ったまま7年を過ごしている。
何で人は人を好きになるんでしょう?
誰に聞いても、でも、答えは一つだろうなって思います。
つまり、だって好きだからしょうがない。

『百の言葉を重ねても』
『Dream/Real』で好きなあゆを消したことで、わたしは自分の書きたいという気持ちと愛することの両立に悩ました。
わたしが『Lunatuc』で書いた香里も、栞を愛することと自分を壊したくないという心に悩んでいます。だから…
香里はなぜ中途半端に栞だけを拒絶したのか。
このSSでも実は語り切ってませんけど…わたしの心の安定は少し取れました。

『あなたがいない世界でも』
この栞はわたしのあの醜い栞ではありません。でも、本編の栞ともちょっと違うと思います。この栞は、どちらかというと今書いているF,F/Sの栞。
一種の自分に対するあきらめを持っています。
でも、同時に人の心に残りたいという、一種の妄執も捨て切れなかった栞。
この栞の諦念を悲しいと言った方もいますが、彼女は断られて当然の酷いことを祐一にさせようとしているのですよ…だから、断られてほっとした面さえあるのじゃないかと思います。あとは思い出だけ持っていけるという喜びすら持って最後の一週間を過ごせるんじゃないかと思います。この栞は、好きです。 inserted by FC2 system