『Eine Kleine Naght Musik』シリーズについて


『Eine Kleine Naght Musik』
わたしの最初のシリアス系SS。
わたしの弱くて優しくて強い舞の原点。
舞シナリオを理解しようとして辿り着いた、一つの形。
ここから『わたしがあなたに出会うまで』も生まれました。
そして、この舞の、消えた舞の絶望と孤独が…2を産み出しました。

『Eine Kleine Naght Musik2』
ちなみに、Eins,Zwei,Dreiはドイツ語で1,2,3のこと。oder,undは英語のor,and。Tagは英語のDay。

わたしたちはKanonをする時、いつもキャラを救わないで消している。一人だけの幸福。他のキャラの不幸。
それはどうにもできないことです。でも、悲しいことです。

だから、舞という存在で、救われない者と救われた者という関係を、そして救いとは何かを考えようと思った。
だって…舞シナリオ自身が、舞の自殺という理解の難しいイベントを含む、救いのテーマを書いているから。
そして、それを最初に書こうとしたEine Kleine Naght Musikにおいて、わたしは二つの時間線というSF的設定を使った。
でも、時間線は無限にあるはずだから。だから、救われた舞と同じくらい、いやそれ以上に救われない舞は存在するはずだから。
そこから…救われない舞、救われた舞という二人の舞、その違いを…そして、でも、舞は舞だから…という思いを、書こうと思いました。

本編で、舞はなんで自殺しようとしたのでしょう?
わたしの答えは、それしか償う方法がないと思ったから。誰に対して?それは、自分に、友達に、祐一に…
そんな優しくて悲しい舞。そんな舞を書きたかった。
なのに…冷たい凍った舞を書かなきゃ、それは書けないことは分かっていた。
そして、そんな舞を殺してあげる、そんなエンドを一度は書かなきゃならないことも。
だから、2ヶ月ほど、メモを放り投げていた。書けそうもないから。可愛い舞を、そんな姿に書くなんて…
でも、『Dream/Real』を書くことで平衡を失ったわたしは、その救いを求めて『Forget me,Forgive me』と
この『Eine Kleine Naght Musik2』を書き始めました。

この変な実験作形式は、最初からそう書くつもりでした。
でも、最初に考えた時は救いとは?というテーマのためにそう書くつもりだった。
でも、実際には自分のキャラへの思い、主題とキャラへの愛とは?という悩みを解消するために書いてしまった。
だから…これは完全に失敗作です。読者不在の。

蛇足。
元々のメモでは『Oder Zwei』という、もう一つのエンドがありました。『OderDri』を書く時に、意味がないと否定したエンドが。
それはやはり剣を落とした祐一に、もう一人の舞が襲いかかり、それを止めるために舞が力を出して祐一を救う。二人の互いを思う心に絶望を深めるもう一人の舞。そこで二人が彼女に『救われなかったんじゃない。ここで…救われるんだ。わたしたちと。』そして…彼女は微笑んで…消える。
…ああ、なんて陳腐なエンド(苦笑)だから、カットしました…

『Eine Kleine Naght Musik2&1/2』
結局、読者不在の自分のはけ口として書いた実験作、それがEine Kleine Naght Musik2でした。
でも、それを読んで、何かを感じてくれた人がいた。
そして、わたし自身、もろくて悲しくて、だけど強くて優しい舞を書けたことで、救われましたから。
だから…

自分の時間線で救われなかった舞は、違う時間線、舞が祐一に救われた、いや、舞が祐一と一緒に救われた時間線で、
その二人と、そして佐祐理さんと一緒に過ごすことで、救いは見えたはずでした。
でも、思えば、それは舞が、本来、居るべきところじゃないから。
そして、救いを見つけた舞は、きっと祐一がいなくても、新しい幸せを見つけることができる。

舞の10年は、祐一が来なかったら無駄だったんだろうか?そんな想いがいつもわたしの頭をかすめます。
でも…自分をきちんと見つめ直すことができたら、きっと舞は、わたしが思うもろくて悲しい、だけど強くて優しい舞は、
きっと新しい幸せへと歩いていけるはずだと信じます。
自分の居るべき場所で、自分の幸せを求めることができると。
そして、そんな舞の上には、きっと暖かい陽がさすはずだと思います。
そう思えばこそ、わたしは『Eine kleine Naght Musikの直系の子孫は「わたしがあなたに出会うまで」だ』と言ったのです。
そして、名前としては直系の、でもわたしの中では傍系の舞を描いたEine Kleine Naght Musik2の舞も、
きっと暖かい陽の下を、自分の足で歩いていけると思いました。
だから、これはお別れだけど、旅立ち。幸せへの。

そして、そう思えるきっかけをくれた、Eine Kleine Naght Musikを本掲示板に再録時にコメントをくれたウイッツさんにこのSSを捧げました。

元のページへ

inserted by FC2 system