この街に降る雨は


あゆSS。実はシリーズです。
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この街に降る雨は
 

なあ、あゆ

オレは商店街を歩きながら
隣でたい焼きをかじっているあゆに聞いてみた

お前、7年の間
ベッドで眠りながら
街を駆け回りながら
何を考えてたんだ?

あゆはオレの顔を見た
そして、ちょっと首を傾げた

どうせ、お前のことだから
たい焼きが食べたいとか
遊び回りたいとか
そんなことだろうけどさ

オレが茶化して言うと
あゆは目を落とした
だけどすぐに顔を上げて
オレの顔を見上げて言った

たい焼きも好きだけど
遊ぶのも好きだけど
ボクはベッドの上で
あのベンチで
待ってたんだ
ずっと待ってたんだよ
ボクは

その時、見上げるあゆの顔に
揺れるあゆの瞳に
雨の滴が落ちた
まるで涙のように

オレはあゆの手をとって
あゆを引いて走り出した
あゆはオレのその腕に
しっかりしがみついた
そしてオレたちは
商店街を駆けて
家へと走り出した

暖かい雨に濡れながら
暖かさを感じながら

<END>

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…筆者です。
「仕切り屋・美汐です。」
…まあ…こういうのも、アリでしょ。ああいう話を書いた後だから。
「なんというか…ほのぼのを書いていると、あなたは生き生きしてますね。それに比例して、中身のない話になるのですが。」
…はぅ…ほのぼのに中身を求めるなぁ…これで舞、真琴…のはちょっと違うから外して、あゆと、二人、このシリーズを書いたよな。
「どういうシリーズなんですか?わたしにも分かりませんが。」
…最初がキャラへの呼びかけの言葉で始まるほのぼのSSのシリーズ。
「…なんだか…わけが分かりません。」
…いいの。 inserted by FC2 system