百の言葉を重ねても


香里SS。Calling 、その6
この話を己が言霊と己が想いのギャップに苦しむ
あるいは苦しむべきシリアスSS作家さんに捧げます。
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百の言葉を重ねても
 

なあ、香里

オレは休み時間のざわめきの中で
眠る名雪を眺めながら
自分の席に座っている香里に聞いてみた

お前、栞を拒絶していた間
どうして自分のそんな想いを
名雪や、他の友達にも言わず
自分だけにしまっておいたんだ

香里はオレの顔を見た
そして真剣な顔で言った

あなた、何を言ってるの
そんなこと、できるわけがないでしょ
それはホントの逃避じゃないの
百の言葉を重ねても
千の涙を流しても
あたしに変えられない事実
あたしの胸を塞ぐ思い
あたしの犯している罪は
決して消せはしないのに
それをほんの少しでも
自分の肩から降ろして
人の肩に載せようなんて
人を苦しめようなんて
そんなことができるわけが
そんなことをしてもいいわけがないじゃないの

だけど
だからあたしは名雪が好きで
だからあたしはあの子と友達でいることが

その時、名雪が目を覚まし
寝ぼけ眼でオレ達を見て微笑んだ
香里がそれに答えるように
ちょっと微笑んでみせた

<END>

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…筆者です。
「仕切り屋・美汐です。」
…何かね…オレも同じところでもがいてるよね…赤丸さんの件、今朝初めて見てさ…
「Dream/Realの時のコメント、そういう意味だったんですね…」
…オレもあのSSで同じことに悩んでるけど…でも…それをまたSSのネタにする。業だね…オレには…真剣さが、真摯に悩む姿勢が足りないな。
「初めからそうです。でも…あなたの結論は出たんですか?」
…さあ。これも香里なら言うかなってことで、オレの結論じゃない。だけど…出すよ。多分、決まってるんだけど。オレの場合は…ね。
「…あなたの業は深すぎますね…」 inserted by FC2 system