"Album" - 思い出の色 -


香里誕生日おめでとう企画。

では、どうぞ。

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    思い出はどんな色?

    思い出はあなたの色

    あたしのそばで笑っている

    あなたの笑顔の色
 

"Album" - 思い出の色 -
 

アルバムの重い表紙をめくる。
白いページが広がる。
白いページの中に
四角い色が広がっている。

楽しいことも
悲しいことも
晴れた日も
雨の日も
風の日も
雪の日も
広がっている
それは思い出の色。
 

    思い出はどんな色?

    思い出は青色

    暑い陽射しの中

    並んで見つめた海の色
 

海岸の療養所
白い部屋の中で
窓から見える海を

あなたはベッドの上で
あたしは隣のイスに座って
まばゆく輝く夏の海
黙って見つめていた。

あなたが行ったこともない
行けるはずのない砂浜

あなたはただ黙って
行きたいとすら言わなくて

そんなあなたの姿が
あたしには辛かった。
 

    思い出はどんな色?

    思い出はオレンジ色

    落ちていく秋の陽

    並んで見つめた空の色
 

中庭の見える病室
白い部屋の中で
窓から見える空を

あなたはベッドの上で
あたしは隣のイスに座って
落ちていくオレンジの陽を
黙って見つめていた。

冷たさを増す秋風が
枯れ葉を揺らす中庭

あなたはただ帰るあたしに
風邪をひかないでと言った。

そんなあなたの気持ちが
あたしには辛かった。
 

    思い出はどんな色?

    思い出は白色

    全てを埋めるように降りきしる

    並んで見つめた雪の色
 

窓から見える夜の庭
家のリビングで
窓の外に降る雪を

あなたはあたしの顔を
黙って見つめながら
あたしは目をそらすため
窓の外に目をやった

クリスマスソングが
かすかにどこかから響いていた。

それからあたしの言ったことは
とても残酷なことだった。
それからあたしのしたことは
とても酷いことだった。

だけど

降りしきる雪の中
白い街灯の下で
あたしはあたしの罪を
彼に告白して

白い雪の中
人通りの多い商店街
あなたを
あたしは

そして
 

    思い出はどんな色?

あれは何色だっただろう?

    思い出はどんな色?

あなたを抱きしめて

    思い出はどんな色?

あたしが祈った

    思い出はどんな色?

必死で願った
 
 
 

奇跡の
色は
 
 
 
 
 

    思い出はどんな色?

    思い出は赤色

    敷き詰められた毛氈

    一人見つめた雛人形の色
 

人気のない座敷
誰もいない家の中
誰も祝う人のない雛祭
寂しく並ぶ雛人形

だけど

それはもう終わり
去年は病院で
そして
今年はこの家で
きれいに飾られた雛人形
黒い段の上
敷かれた赤い毛氈
 

その前でこうして
アルバムを広げて
並んで見ている
あたしと
 

「…お姉ちゃん。」
 

見上げるあなた

 

    思い出は青色

二人並んでパラソルの下
暑い浜風に吹かれながら
並んで見た海の色

    思い出はオレンジ色

二人並んで落ち葉焚き
イモの焼けるのを待ちながら
並んで見つめた空の色

    思い出は白色

二人力を合わせて
グラウンドいっぱい転がして
作った雪だるまの色

    思い出は赤色

二人一緒に出かけて
初めて二人お揃いで
作った晴れ着の色

それが思い出の色だった
そして

「ねえ、お姉ちゃん。」

「なあに?」

「そろそろ…主賓が行かないと。」

「…そうね。」
 

これから出来ていく思い出

長く祝われることのなかった雛祭。
今年は一緒に祝いましょう。

そして
あたしの誕生日も
あなたといっしょに祝えることが

「お姉ちゃん。」

「なあに、栞。」

「…写真、一緒に撮ろうね。」

「…そうね。」
 

あたしと
あなたの
これから増えていく思い出
 

「さあ、行きましょう。」

「うん。」
 

あたしとあなたの思い出
それはきっと…
 

    思い出はどんな色?

    思い出はあなたの色

    あたしのそばで笑っている

    あなたの笑顔の色

    そして一緒に笑う

    あたしの笑顔の色

    きっとそれが幸せの色

    これから続く幸せの色…

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…筆者です。
「仕切り屋・美汐です。」
…というわけで、香里、誕生日おめでとう!!
「…いきなりですか。」
…だって…こんなSSっていうよりただのぽえみぃ…何も書くことないじゃん。
「…分かってるんですね、一応。」
…あったりまえよ。300本もSS書けば、さすがにね…バカじゃないんだから。
「はあ?あなた…バカでしょう?」
…うぐぅ
「…バカですよね?」
…はいっ…そうですともっ
「分かればよろしい。」
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