十六夜


舞SSです。ほのラブ?

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十六夜

たったったっ
カッカッカッ
「…遅くなっちゃったな。」
「………」
「舞が食べるの遅いからだ。」
「……春菊。」
「…そんなの、どこに入ってた?」
「……おひたし。」
「そうか?全然、気がつかなかったぞ。お前の気のせいじゃないのか?」
「……春菊。」
「………」
「……春菊。」
「…はいはい。入ってたんだろ。だからって、律義に春菊だけ除けて食べるなよ。」
「……秋子さんに、申し訳ないから。」
「……そういうとこだけ、律義だよな。でも、そのせいで遅くなっただろ。」
カッ
「……祐一、3杯もおかわりした。」
「そ、そんなことないぞ。うん。」
「………」
「……いや……」
「………」

   ………お月様……

たったったっ
カッカッカッ
「…そういえば、なんで、お前、ヒールなんて履いてるんだ?」
「……バイト。」
「…あ、そうか…しかし、お前がよく続けられるもんだよな。絶対、続かないと思ったのにな。」
「……なんで。」
「なんでって…お前が子供服の店員なんて…」
「……子供は、好き。」
「いや…お前が子供が好きでもさ、子供の方が…なあ。」
「……人気者。」
「誰が?」
「……わたし。」
「………嘘つけ…」
カッ
「………」
「………」
「…オレが、悪かった。」
「………」
「舞は子供のアイドルなんだろ?」
「………」
「………」
「……嘘。」くすっ
「…舞、こいつ!」
「………」

   ………欠けていくお月様………

「…雲から月が出てきたな。」
「……十六夜(いざよい)」
「……?……ああ、十六夜ね。よくそんな言葉、知ってるな。」
「……常識。」
「嘘つけよ……そんなの知らなくても、生きていけるぞ。」
「……もの知らず。」
「…はいはい、オレは無知ですよ。」
「……そう。」
「………」
「……でもない。」
「………今の、フォロー?」
「………」
「……まあ、いいか。でも、だとすると、昨日が十五夜だったのか?でも…曇りだったよな。」
「……夜中、雨だった。」
「そうか?オレは気がつかなかったぞ。」
「……祐一、ずっと寝てたから。電気つけっぱなしで。」
「ああ。……なんで、知ってるんだ?」
「………」
カッカッカッ
「…おい、急に早足になるなよ…あからさまな奴。」
「………」

   ………教えてください。
   この人の心まで、欠けていくことはないでしょうか。
   この人の心まで、消えてしまうことはないでしょうか。
   新月の夜は、寂しすぎます。
   暗闇の中は、もう行けません。
   立ち尽くすのは、もう嫌です。
   だから、どうか
   たとえ欠けていったとしても
   月のかけらは残してください。
   また満月が来ることを、信じられるように。
   たとえ三日月でもいいですから
   また光をもらえることを、信じられるように。

カッカッカッ
たたたたっ
「…おい、先に行くなよ。危ないだろ。」
「……祐一が?」
「……バカ。女の独り歩きが、だ。」
「……大丈夫。」
「バカ。こういう時、黙ってうなずくのが可愛いんだよ。お前、ほんとに可愛くないよ。」
「……そう?」
「………うそ。さ、腕を貸せよ。」
「……どうして?」
「こういう時は、腕、組むもんなの。決まりごとだろ。」
「……決まってない。」
「ぐずぐず言うな。さあ。」
「………」
「……さ、帰ろ。」
「………」

たったったっ
カッカッカッ

<END>

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…筆者です。
「仕切り屋・美汐です。」
…舞で会話ドラマは無理だった。
「まあ…舞さん、無口だから…心理描写か状況説明がないと、難しいでしょう。」
…だから、七夕のときに使った方法。まあまあだろう?
「……詩の才能、ないですね。」
…あぅ…いいの。心理描写の代わりだから。
「開き直りですか。」
…おう。ふっふっふっ。憑き物が落ちた者に、恐いものはない。
「そうですか…では、メモの件ですが…」
…ぎくっ
「…これからお盆休みまでの2週間で上げる予定のSSですが…舞さん新企画シリアス1件、予定回数未定。それと『わたしがあなたに…』のエピローグ…まだあきらめてないんですね。」
…オレの少女小説ネタほとんどつぎ込んだんだぞ…あきらめられるかい(涙)
「無駄なあがきですね…あと、美汐さん、2回。M.Y.S.C、1回。真琴と舞のほのぼの、未定でほぼ毎日。美汐&香里、未定で調査中ながら…できれば1回。」
…香里が分かってきたんだけど…人様に糾弾されそうな解釈になりそうなんだ。他の人のSSを参考に、修正しないと…書けない。でも、主星さんが望むから…なんとか、書かなきゃ。
「…無謀な人ですね。それで、仕事ができるんですか?」
…ふっふっふ。オレのモットーは、『目標は日本一のすちゃらか社員』だっ!会社mailのシグネチャーすらそう書いてるぞ!
「……救われない人ですね。」
…あぅ…
「では、明日はさっき言ったうちのどれかですね。」
…美汐のばかぁ…公言したら書かざるをえないじゃないか…死ぬ、かも…
「書かないうちは、死ねません。」
…あぅ inserted by FC2 system