昨日が終わってしまっても


美汐SSです。ねたバレなし。
七夕が終わったのに、まだ書いてるわたしって…
でも、美汐にはその方が似合うかも <そうか?
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昨日が終わってしまっても

「あ、美汐〜」
「真琴。今日もまた会いましたね。」
「うんっ。あたしたち、よく会うねぇ」
「わたしは、帰り道ですから。真琴は、相沢さんを迎えに行くのですか?」
「…なんであたしが、祐一を迎えに行かなきゃならないのよぅーあたしは、商店街におつかいに行くところなのっ。祐一なんて、迎えに行くわけないじゃないっ!祐一なんてね…」
「ええ、そうですね。真琴。」
「……分かってくれればいいのっ。そういえば、昨日は七夕だったねー。うちでも笹を飾ったよ。」
「そうですか。真琴も短冊をつるしましたか?」
「もっちろん!名雪もいっぱい付けてたよ。」
「真琴はどんなお願いを書いたんですか?」
「えっと……内緒。」
「…肉まんがいっぱい食べたいとか?」
「…あぅ」
「ぴろといっぱい遊びたいとか?」
「…あぅ…なんで美汐が知ってるのよぅ。」
「なぜでしょうね。」
「…あぅ…」
「でも、本当の願い事は、内緒なのですよね。」
「………あぅ………あ、そういえば、美汐も七夕やってたの?」
「ええ。」
「美汐は短冊、なに書いたの?」
「わたしですか?わたしは…」

わたしの七夕飾りは、帰りに摘んだ笹の葉一枚。
七夕が終わってしまう前に
ベッドの枕の下に
大事にしまった笹の葉と
肌身離さず持っている美宇の写真を重ねて置いた。

今日だけは、夢を見てもいいでしょう。
恋人たちが、年に1回だけ出会う日に
わたしが美宇に会う日にしても。
笑う美宇と思い切り遊んでも。
今日だけは。

「…内緒、です。」
「あぅ…意地悪。」
「じゃあ、真琴の本当のお願いを聞いてもいいですか?」
「え?………分かったわよぅ」
「残念ですね。」
「…あぅ…」
「……今日は商店街で、大判焼でも買って食べましょうか。」
「……あんみつじゃだめ?」
「…じゃあ、それは今度会ったときに。」
「やった〜!じゃ、美汐、早く行こっ!」
「走ると危ないですよ。」
「だいじょうぶっ!ほら、早く早くぅ!」

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「願い事は、かなうためにあるんです。」
美汐がそんなセリフを言えるのは、いつなんでしょう。
って、わたしが書いてどうするんだか。

真琴と一緒に、少しずつ前向きになっていく美汐を書くのは楽しいです。 inserted by FC2 system