From Time To Time


栞SS。誕生日企画

では、どうぞ

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From Time To Time
 

はっぴばーすでー、つーゆー
はっぴばーすでー、つーゆー
はっぴばーすでー、でぃあ しおり
はっぴばーすでー、つーゆー
 
 
 

    それはおとぎ話
 
 
 

「そして、王子さまとお姫さまは幸せに暮らしましたとさ…」

「…ねえ、お姉ちゃん…」
「まだ起きてたの、栞?」
「……うん……」
「早く寝なきゃダメよ。栞、ちゃんと寝ないから、だから倒れたり…」
「…ごめんなさい、お姉ちゃん。」
「…あたしに謝ること、ないけど…」
「…でも…」
「栞、そんな気を使うから、だから余計に疲れるんだって、先生が言ってたわよ。」
「………」
「だから、栞…」
「…ねえ、お姉ちゃん…」
「…なあに?」
「…今日…いっぱいの人が、わたしのために来てくれて…」
「そうね…」
「先生…看護婦さん…おじさん、おばさん…」
「ええ…」
「……でも」
「……?」
「………」
「………」
「…ううん、何でもない…」
「…栞?」
「……お休みなさい…」
「………」
「………」
「……栞?」
「………なあに、お姉ちゃん?」
「……ねえ、栞。」
「うん…」
「……いつか…」
「………」
「…きっと、元気になって、お友達も出来るわよ。」
「…お姉ちゃん…」
「……きっと…ね。」
「…お姉ちゃん…」
「…だから、今は、早く寝なさい。じゃないと、元気になれないわよ。」
「…はい、お姉ちゃん。」
「………おやすみ」
「………えっと…」
「………?」
「…お姉ちゃん?」
「…なあに、栞?」
「じゃあ…その…ねえ、お姉ちゃん…」
「………?」
「その…その時には…」
「……うん?」
「……王子さまが迎えに来てくれる?」
「………」
「………」
「………」
「………」
「……たぶん…」
「………たぶん?」
「………」
「………」
「………いえ、きっとね。」
「……ホントに?」
「お姉ちゃんが嘘を言ったことがある?」
「……ううん。」
「でしょう?だから…」
「……うん。」
「……さ、寝なさい。」
「……うん。」
「…おやすみ。」
「…おやすみなさい、お姉ちゃん。」

ぱたん
 
 

    それはおとぎ話

    ただのおとぎ話

    王子さまとお姫さま

    いつまでも幸せな

    それはおとぎ話
 
 

『残念ですが、お嬢さんは…』
 
 

    それはおとぎ話
 
 

『あなたの命はね、栞、次の誕生日を…』
 
 

    ただのおとぎ話
 
 

『約束してくれますか?』
 
 

    いつまでも幸せな
 
 

『あたしの妹なんだから…』
 
 

    それはおとぎ話
 
 

『私…たぶん、死にたくないです』
 
 

    おとぎ話だから
 
 

『誕生日、おめでとう』
 
 

    おとぎ話で終わる
 
 
 
 
 
 

    はず
 
 
 
 
 
 
 

    でした
 
 
 
 
 
 

    でも
 
 

「…お姉ちゃん」
「まだ寝てなかったの、栞?」
「うん…」
「…早く寝ちゃいなさい。明日、早いんでしょう?」
「…うん…」
「………」
「…でも…」
「……はあ。ねえ、栞。」
「…うん。」
「そりゃあ、明日のデート、楽しみだってのは分かるけどね…」
「…えっと…べ、別にそういうわけじゃ…」
「…だったら寝なさい。それとも、明日、せっかくの誕生日、寝不足で真っ赤な目で、相沢くんとデートしたいの?」
「それは…」
「でしょう?だから…」
「…うん…分かってるけど…」
「………」
「………」
「…はあ。ねえ、栞?」
「…うん。」
「…あたし、一つだけ、聞きたいと思ったことがあるんだけど。」
「…うん。なあに、お姉ちゃん?」
「栞…あなた…相沢くんのどこがいいの?」
「え?」
「相沢くんなんて、別に顔もパッとしないし、背が高いわけじゃないし、性格だってそんなにいいってわけじゃないし…」
「…お姉ちゃんっ!」
「………」
「………」
「…冗談よ。」
「お姉ちゃん…」
「………」
「………」
「……ふふっ」
「……くすっ」
「…さ、寝なさい。」
「…うん。」
「……おやすみ。」
「……おやすみなさい…」
「………」
「…あ、えっと…」
「……?」
「…その…」
「………なあに、栞?」
「…えっと…さっきの話、だけど…」
「…さっきの?」
「うん…その…ね。やっぱり、お姉ちゃん、嘘をつかなかったから、だと思う…」
「……あたし?」
「………」
「………」
「……ううん。いいの。覚えてないなら。」
「………」
「…おやすみなさい…」
「…おやすみ。」
「……」
「…あ、栞。」
「……?」
「……相沢くんは、王子さまって柄じゃないと思うんだけど。」
「そ、そんなことないですっ」
「……はいはい、ごちそうさま。」
「……くすっ」
「……ふふふ。おやすみ、栞。」
「…おやすみなさい、お姉ちゃん…」
 
 

    そして、王子さまとお姫さまは幸せに暮らしましたとさ…

"END"

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…筆者です。
「仕切り屋・美汐です。」
…というわけで、一応、誕生日おめでとう企画。
「舞さんのほうが先、じゃなかったんですか?」
…そうなんだけどね…ちょっと都合でね…
「…どんな都合だか。」
…あははは。でも、これで必ず書けるから。ともかく、栞、誕生日おめでとう!
「おめでとうございます。」 inserted by FC2 system