佐祐理さんSS。シリアスです。
本来はその他に投稿すべきかもしれないけど…いっそ、こっちに。
では、どうぞ
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アンナニタカク アンナニトオク
丸い月が照らす夜
窓から照らす月明り
きらきら光る
お空の星よ
一人座ったベッドの上で
光る刃先が目に優しくて
Twinkle Twinkle Little Star
How I wonder What You are
わたしがあなたを殺した日
あなたが煙と消えた日も
わたしの空にはあの月が
月が高く輝いて
佐祐理が一弥を殺した日
一弥が煙と消えた日も
佐祐理の空にはあの月が
月が高く輝いて
月の明かりで美しく
輝く刃先を滑らせる
紅い線が引かれていく
わたしの体に引かれていく
佐祐理に体はありません
佐祐理に心はありません
佐祐理は生きていないから
佐祐理は死んでいないから
死んだのは一弥
殺したのは父
殺したのは母
だけど
殺したのは佐祐理
流れ落ちる赤い糸
線を引き
糸を引き
流れて落ちる
流れて落ちる
煙突から煙となって
あの子の煙
あの子の灰
舞い上がる
舞い上がる
落ちる雨に打たれながら
見上げた空の彼方へと
吹く風に舞い上がっていく
一弥の煙を見つめていたら
わたしは佐祐理
佐祐理はわたし
だけどわたし
だけど佐祐理
佐祐理の腕の赤い線
流れて落ちる赤い糸
きれいだね
ほら、見てごらん
これが佐祐理の命です
一弥、あなたに見えますか?
月の光にかざした腕を
腕に赤く引かれた線を
流れて落ちる赤い糸
振っているのが見えますか?
一弥、あなたに見えますか?
きっと、あなたに見えますか?
だって一弥、あなたときたら
あんな遠くにいるものだから
あんな高くにいるものだから
だから、あなたに見えますか?
一弥、わたしが見えますか?
手を振るわたしが見えますか?
赤く染まったこの手を振る
佐祐理があなたに見えたなら
きっと振り返してくれますね
この線を
この糸を繋いで
きっと返してくれますね
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…筆者です。
「仕切り屋・美汐です。」
…封印するつもりだったけど、投稿。いつか、ここから始まる話のオープニングになればいいなと。
「…酷い話?」
…ううん。優しい話。そう、したいと思う。だからこそ、ここに投稿。
「…感謝、すべき人がいますね。」
…うん。