『ぶらんこ降りたら』について


佐祐理さんです。
これは詐欺師さんの佐祐理さん。
わたしの美汐のように、特殊かもしれません。
でも、間違いなく、佐祐理さんです。

このぶらんこ、というモチーフに、わたしのほのぼのシリーズの影響があるように、詐欺師さんはおっしゃっていますが…
確かに、エピローグの二人が並んでぶらんこをこぐシーン、わたしは『1+2は3以上』というシリーズの
『迷子の小猫はどこ行った?』という作品で、19才の二人で同じシーンを書きましたが…
全然違いますよね。あれ、ただのほのぼのなんだから。きっと、わたしを担いでいるに違いないです…

佐祐理さんの狂気。
でも、M.Wと違うのは、佐祐理さんは孤独ではないこと。
舞がいる。
祐一が、いる。
M.Wでは祐一はいたけど、まるで佐祐理さんの投影のような祐一だった。
だけど、この作品では、ほとんど出ませんが、いる。

そして、舞は舞です。
わたしが知っている、強くて弱くてもろくて優しい舞。
そこに光があった。
そして、佐祐理さんは光を受けて、自分で救いを求めることができた。
救いとは、求めなければいけないものだから。
降ってくるものではないから。
あがいて、探して、狂うほどに求めた末にしか、それは得られない。

でも、狂う事は、間違いでもある。
救いを求める方向を、救い自身を歪めてしまう。
舞が待ち続けるうちに、待っている理由を忘れてしまったように。
佐祐理さんは…間違えている。

佐祐理さんは間違えている。
何を間違えているのか?
わたしはそれを解説しました。
詐欺師さんはそれを書いている。

この違いは…大きいです。
わたしは…書けなかった。
わたしは所詮、負け犬です。
このまま負け続けるのか、それは分からないけれど…
あんな解説でごまかして、書くことを拒んでいる、負け犬。
でも、詐欺師さんは、負けなかった。
勝ったかどうかは、誰にも分からないと思います。
本人に分からないなら、他の誰にも。
作品としての価値、文学的な価値、それは知らない。
佐祐理さんを、その狂気に面と向かって書いている時点で、わたしにはそんな評価を下す資格がない。
それは、どなたかがなさってください。
だけど…

詐欺師さんは書き終えました。
書き切ったのではないかもしれない。
だけど…書き終えました。そう思います。

この作品は、わたしの佐祐理さんSS、いまだ書かれないSSの、一つの目標です。
でも…多分、到達できない目標です。
詐欺師さん…やっぱり、あなたは詐欺師だよ…わたしを騙したんだから。
こんな素晴らしい話、書けるんだから…わたしの解説なんて不要じゃないか…
それに、わたしだって不要なんだよ、本当は…負け犬なんだから…
 


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