Forbidden lover 6th(last)
 

真琴シナリオネタバレ、っていうよりやってないとわかりません。
 
 
 

       “Forbidden lover”
 
 
 
 
 

「相沢さん、もしも――」
「ん?」
「もしも、願いがひとつだけ叶うとしたら、何を願いますか?」
「そうだな……」
 
 
 

 そんなことは決まってる、と相沢さんは言った。
 
 
 

 そうですね、と私は言った。
 
 
 

 空を見上げる。
 私と相沢さんと、同時に。
 
 

 ねえ、透流。
 ただ悲しみを引きずるだけの毎日はもう、やめにします。
 
 

 悲しみから逃げない強さを、
 悲しみを抱えて、それでも前へ進んでいく強さを、
 私と同じ悲しみを抱いて、それでも光を失わなかった人が示してくれたから。
 
 
 

 丘をわたる風の声。

 光の射す場所。

 瞳を閉じる。
 
 
 

 殻が割れて、中から溢れ出すもの。
 さまざまな、思い。
 私がずっと眼を背けてきた思い。
 それらを全部抱きしめて、痛みも悲しみも全部引き連れて、
 私は、生きていこう。
 
 
 

 音が聞こえる。
 
 風。

 樹木。

 大地。

 生きる者達。
 
 命の息吹。
 
 
 

 私の中に芽生えた「何か」
 今は、それを育てていこう。
 いつか、花は咲く。
 その日は、きっと来る。
 
 
 
 
 

――ねえ、透流――
 
 
 
 
 
 

――私の声が、聞こえますか――
 
 
 
 
 
 

 さあっ、と風が吹いた。
 
 
 
 
 
 

 私は微笑んで、そして――
 
 
 
 
 
 

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  最後まで書き上げました。
  うーん……
  このエピローグは(俺の中では)多分に蛇足的なものなんですが。
  書きたかったのは「美汐は変わっていく」ということなんです。
  本編に「美汐は戻っていく」みたいなことがありました。
  俺は、そうじゃなくて、起こった出来事、出会いと別れ、それらを消化して
  「変わっていく」んじゃないか、と思ったわけです。いい方向に。
  表現しきれたかどうかは甚だ疑問ですが……
  おつきあいいただき、ありがとうございました。

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