“贈り物”
 

比較的(笑)直球です。
では、どうぞっ

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     “贈り物”
 
 

空。
いつも見ている空。
いつか見た空。
青い空。
赤い空。
星の輝く空。
漆黒の空。
 
 
 

「なにほけ〜っとしてるんだ?」
 私はゆっくりと振り向く。
「あ、相沢さん……」
「日向ぼっこか?」
 ちょっと、むっ。
「そこまでおばさんクサくありません」
「そうか?結構気持ちイイと思うけどな」
 むかっ。
「…………」
「お?怒ったか?」
 返事はしない。
「そんなに怒るなよ。小皺が増えるぞ」
 なおさら返事したくなくなる。
「なあなあ、みーちゃん」
 かくん、と肩が落ちる。
「お、予想以上の効果」
「ヘンな呼び方しないで下さい!」
 言ってからしまった、と思う。反応したら逆効果だ。
「わかったよ、みーちゃん」
 くっ……
 無言で立ちあがる。
「あ、待てよ天野。からかったの悪かったからさ」
「……知りません」
「あ、ちょ、待てって」
「待ちません」
「あ〜も〜拗ねるなよ」
「拗ねてません」
「話聞けよ」
 ぴた、と止まる。
「言ってください」
「え?」
「話があるのでしょう?」
「振りかえらない、ってとこが怒りを現してるんだよな、たぶん」
「……何か言いましたか?」
「い〜え、なぁんにも。今日の帰りつきあってくれよ」
「……どこへですか?」
「決まってるだろ」
 そう、決まっている。
「……はい」
 この人がつきあってくれと言う場所は、いつも。
 
 
 

 空は、赤く染まり出している。
 草を掻き分け、獣道のような細い道を通って私たちはこの場所へと足を踏み入れる。
「ふー、やっと着いた。ん?なんだよその顔は」
「……制服が汚れました」
「そりゃ可哀想に」
「……本気で言ってます?」
「……俺が悪かった」
「転ぶのはいいですが私を巻き込まないでください」
「冷たいヤツだな。俺たちは一蓮托生だろ?」
「意味わかって使ってますか?」
「もちろん」
 はあ、とため息をつく。
「なんだ?その『もういい加減にしてほしいわ』とでも言いたげなため息は」
「微妙に言いまわしが気になりますが概ねその通りです。わかっているなら少しはどうにかしてください」
「ま、性分だからな」
「そういう事を言っているのではありません。カラ元気が見え見えで見ているこっちの方が辛い、そういうことです」
 今度こそ相沢さんは沈黙した。
「見え見えか?」
「はい」
 相沢さんは草の上に腰を下ろす。
「ま、座れよ」
 そう言って自分の隣をぽんぽん叩く。
「……はい」
 私は、そこに腰を下ろした。
 
 

 ただ、空を眺める
 移り変わって行く空の色。
 変わっていく、もの。
 
 

「さて、と……」
「?」
「なんて切り出したもんかな……」
「何を、です?」
「あ〜」
 相沢さんは空を見上げる。
 つられて、私も。
 綺麗なグラデーション。
 ふわっ、と風が吹いて――
 ぱさっ。
 何!?
 頭に何かが被さる。
 相沢さんが唖然とした表情でこちらを見ている。
 恐る恐る頭に手をやる。
「これ……」
 ヴェールだ。花嫁が被るような。
「真琴……?」
 呆然とした様子で相沢さんが呟く。
 そっとヴェールに手を触れる。
「ふふふ……ははははははは」
 さも愉快そうに相沢さんは笑い出した。
「相沢さん……?」
 はあ、と大きな息をつく。
 相沢さんは苦笑にも似た笑顔を浮かべていた。
「真琴……なんだな……」
 そしてまた、笑う。
 私はヴェールを風に飛ばされないように手で押さえながら、ただそんな相沢さんを見ている。 ・・
「なあ、美汐。そのヴェール、俺が真琴に被せてやったものなんだぜ」
「え?でも……」
「そうだ、ここにあるはずがない。あの時風に飛ばされたんだから」
 じゃあ、どうして……
「あの時無くなったはずのヴェールが飛んできて、なおかつ、ちょうどおまえの頭に被さる。ははっ、真琴に背中押されちまったよ」
「?どういう……」
 相沢さんの腕が私を包み込む。
「あ、相沢さん……ちょっ……」
「なあ、美汐。頼みがあるんだ」
「な、なんですか……?」
「こっから先は冗談は一切無しだ。美汐。ずっと俺のそばにいてくれ」
「それって、まさか……」
「その、まさかだ」
 
 

 全ては、変わりゆく
 空の色も
 私の心も
 
 

「相沢さん」
「なんだ?」
「私も、女の子です」
「ああ」
「ちゃんと、相沢さんの口から聞きたい言葉があります」
「ああ、わかったよ」
 相沢さんは深呼吸をして、私の眼を見た。
「俺は、天野美汐を愛している」
「………はい………」
 風が、耳元を通り過ぎていく。
 真琴の声が聞こえた気がした。
 
 

「後悔しますよ、私を選んだ事」
「おう、後悔させてくれ」
「ふふ……」
「ははは……」
 ふたりで笑って、そして、軽くキスをした。
 空は、赤から黒へ綺麗なグラデーションを描いていた。
 
 
 

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ふう・・・・
香「なによ、そのため息は」
美汐書くの久しぶり。
香「そう、ね」
書けば書くほど好きになるんだよなあ、美汐。
香「ふぅん」
ってちょっと待て!その日本刀は何だ!
香「え?これ?」
と言いつつ鞘から抜くなぁ!
香「でも恒例だし・・・」
確かに日本刀は俺好みだが
香「長くなるとなんだから、えいっ(ざくっ)」
に・・日本刀で人を斬るのは難しいんだぞぅ・・・・(断末魔の声)
香「それでは、しーゆー」
 

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