- はじまり -

(Forget me, Forgive me / Original Side-Future Prologue)


飛鳥夢路よりLOTH様に Merry Christmas.

そして返歌。
 

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 そこは、ボク達の始まりの場所。

 そこは、ボク達の出会いの場所。

 そこは、ボク達の思い出の場所。

 そこは、ボク達の夢見た場所。
 

 そして
 

 そこは、ボク達の再会の場所。
 

 そして
 

   - はじまり - (Forget me, Forgive me / Original Side-Future Prologue)
 

 12月24日 Christmas Eve
 

 走る。
 駆け抜ける。
 柔らかな暖かな雪を踏みしめて
 真っ赤な空を目指して
 ただボクは
 走る。

 遠くに夕日が沈んでく。
 その先に、キミが待っている。
 あの日と同じ夕暮れを見つめて
 あの日と同じ風を感じて
 あの日と同じ水しぶきが跳ねるあの噴水のそばのベンチで
 キミはきっと待っている。
 待っている。
 
 だからボクは
 走る。

 もう苦しむことなんて無いから。
 悲しくて
 苦しくて
 寂しくて
 どうしようもないはずだった現実は
 もう消えてしまったから。

 だから本当は
 急ぐことも
 焦ることも
 ないけれど

 だけどボクは
 走る。

 キミが選んだ場所。
 そこは
 ボク達の出会いの場所。
 ボク達の始まりの場所。
 キミはそこを
 ボク達の再会の場所として
 選んだ。

 ボク達は
 出会わなくちゃならない。
 ボク達は
 もう一度
 あの場所で
 出会わなくちゃならない。

 だからボクは
 走る。

 キミが望んだ場所
 それはボクが望む場所と同じだから。

 ボクが望む場所。
 悲しい
 苦しい
 寂しい
 現実がボク達に襲い掛かった
 あの場所。

 だけどそこは
 ボクとキミが出会った場所だから
 悲しい想い出があっても
 苦しい想い出があっても
 寂しい想い出があっても

 ボクとキミが出会うのは
 もう一度キミと出会うのは
 もう一度始めるための場所は

 そこしかないと思うから。
 そこしかないと分かったんだ。

 夢。
 キミが生きていると知ってから
 この現実に一緒に残っていると知ってから
 何度も何度も見た夢。
 夢の中でボク達は出会うんだ
 未来を描く夢の中で
 初めて出会ったあの場所で
 ボクとキミが微笑んでいる

 ボクがキミに笑いかけると
 キミもボクに笑ってくれる
 幸せそうに笑ってくれる

 だからボクは
 走る。

 一分でも早く
 一秒でも早く
 キミと出会うために
 キミと出会いたいから

 キミともう一度始めたいから

 だからボクは
 走る
 
 
 

 走った
 
 
 

 走って
 
 
 
 
 
 
 

 そして
 
 
 
 
 
 
 

 そこにキミがいた。

 真っ赤な夕日が挿すベンチに腰掛けて
 ぼんやりと空を眺めながら

 キミが待っていた。
 

 ボクには分かっていたこと
 キミはここにいる
 ボクを待っている
 それは初めから分かっていたこと

 だけど

 だけど

 涙が止まらなかった。
 
 涙が零れ落ちるのを
 止めることなんてできなかった。
 

 Some Sunny Day, We meet Again, There.
 

 ひょとしたら
 ずっと前から。
 ボク達があの日出会ったときから
 ううん
 ボク達が出会う前から
 決まっていたこと。
 

 ボク達は出会う
 ある晴れた日に

 そこで

 ボク達は出会うから
 きっと出会うから
 その時は

 笑顔で
 
 

 明るく笑って
 
 
 
 
 
 
 

 だから
 
 
 
 
 
 
 

 だから
 
 
 
 
 
 
 

 ボクは
 

 涙を拭いて
 後から後から流れ落ちる涙を拭いて
 笑った

 キミの瞳を真っ直ぐに見て
 顔を上げた君の瞳を見て
 笑った
 
 
 
 
 
 
 

 そして
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「こんにちは」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 始めましてじゃなくて
 だけどおひさしぶりでもなくて

 ボク達は出会っていて
 ボク達は別れていて
 ボク達はまた出会って

 ここで

 この時に

 もう一度
 キミと出会うことが出来たから。
 だからボクは
 その言葉を言う。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「こんにちは」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 ボクがそう言ったから
 キミは泣いて
 さっきまでのボクと同じように
 泣いて。
 
 涙を必死でこらえて
 こらえようとして。

 ボクの待っていた人
 ボクがまた会えると
 ボクがまた会えるとずっと信じていた人

 ボクの夢を見ていた人は
 ボクと同じ現実に泣いていた人は
 ボクの友達
 そして

 ボクの分身。
 キミは
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「こんにちは」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 キミはどうしても零れ落ちそうになる涙を拭きながら
 ボクは零れた涙の跡を隠すように

 ボク達は向かい合って
 お互いの紅く染まった顔を見て
 

 そして微笑んで
 ボクは
 

 キミは
 
 
 

 言った
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「メリー・クリスマス」

「メリー・クリスマス」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 ここはボク達の出会いの場所
 ここはボク達の始まりの場所
 ここはボク達の再会の場所
 

 この場所で
 ボクとキミは
 出会い
 始まり
 再び出会い
 そして
 
 
 
 
 
 
 

 天使が降るこの日に
 
 
 
 
 
 
 

 ボクとキミは
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 ここから
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 また…
 
 
 

<END>

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ささやかなコメント by LOTH

これは"F,F/OS"のReal ENDの話を飛鳥産に捧げたので、お返しに捧げていただいたのだと思います。
そのReal ENDはずっと飛鳥さんに捧げるつもりでいたものです。
もともとF,Fに…そしてDream/Realに、W.Wに何かを感じて下さった飛鳥さんに対して捧げるものといえば、
当然それらの作品から…となると、それしか思いつかなかったから。

それら上記の作品で、わたしが書かなかったものは、祐一の視点…それは以前に飛鳥さんが書いて下さいました。
そして、今回は、Real ENDにもう一つ、かかれるべきだった視点…あゆの視点の作品を書いて下さっています。
F,F/OSのエピローグは栞とあゆ、二人を書いたのですから、ENDも当然そうあるべきだった…それは分かっています。
ですが、既に栞で書き…そして既に『夢の街』であゆを書ききったような気持ちのわたしに、それは…

そこへ飛鳥さんがこれを書いて下さいました。
もうわたしが書く必要はなくなった…そう思えます。

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