○この製品は

　 ［ ５．２５型電波メルヘン音楽形連作ショートストーリー、 「 ｌｏｓｔ ｇｒａｄｕａｔｉｏｎ 」　］

　です。本製品は一般ショートストーリー（以下"ＳＳ"へ略）に属しますが、使用上のご注意などをご確認の上、細心の注意をはらってご
　使用ください。
 

＜ お願い ＞

○この度はお買いあげ（？？）いただき誠にありがとうございます。本製品については万全を期しておりますが、万一、品質、パッケージ　　
　に不都合、不快な点がありましたら、恐れ入りますが、ご自分で対処するようお願いいたします。
 

＜ 動作環境 ＞

○四畳半の和室または縁側推奨（緑茶付き）
○２０分以上の空き時間（気持ちが不安定なときは、１時間以上推奨）
 

＜ 成分表示［ 第１話（約１１ＫＢ）当たり］＞
 

主成分　　　含有量

Ｋａｎｏｎ　１コ

世界　　　　１コ

川澄舞　　　１人

相沢祐一　　１人

シリアス　　微量

らぶらぶ　　極微量（ほとんど零に近い）

学校　　　　１コ

月　　　　　１コ（状態は個人差有り）

涙　　　　　少量

牛丼　　　　約２人前（量は想像力により変化）

お茶　　　　５００ｍｌ（玉露入り）

詩　　　　　作者の精神状態による

作者　　　　作者の精神状態による
 

＜ 使用上のご注意 ＞

○警告表示の意味

「　＜ 警告 ＞　」　○この表示の注意事項を守らないと感電破裂等により死亡などの人身事故が生じます。

「　＜ 注意 ＞　」　○この表示の注意事項を守らないと感電その他によりけがをしたり、損害を与えたりします。
 

＜ 警告 ＞

○分解や改造をしない。電波発生の原因になります。

○内部に水や汚物をいれない。爆発する可能性があります。

○強力な電波を発生することが稀にあります。老人、妊婦はご使用を控えて下さい。

○万一、異常が起きたら、変な音、においがしたら、煙が出たら、誠に申し訳ありませんがご自分で対処して下さい。
 

＜ 注意 ＞

○安全のため注意事項を守る。

○定期的に点検する。（１日１度は）

○小児の手の届かないところに保管すること。お子様がマネをすると大変危険です。

○本製品の使用により、悪心、嘔吐、眩暈等の症状が現れた場合はもう一度、使用上の注意などをよく読み、最初から改めて使用を開始し
　てください。
 

＜ 故障かな？と思ったら ＞

○他人のせいにしないで、まず自分を疑ってください。
 

＜ 最後に ＞

○あなたの健康を損なうおそれがありますのでＳＳの読みすぎに注意しましょう。

○ＳＳマナーを守りましょう。

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　" 現実（ここ）" で " 生きる " ということに不器用すぎた僕だから
　きっと、君に " よりかかる " なんてことを憶えてしまったのだろう

　でも、それすら、" よりかかる " ということすら、下手な僕だから
　無意味に、そう、本当に無意味に、苦しいんだよ、僕も、君も

　赦されなくていい、赦して欲しくない、君にだけは、赦されたくない
　そして、何より、何よりも、僕は、僕のことを、赦さない

　だけど

　僕は

　僕はまた、" 非現実（ここ）" にいる、今にも泣きそうな顔で

　誰よりも、彼よりも、そして、君よりも、僕は僕を赦せないと思って、壊したはずなのに
　" 赦し " と " 罰 " は僕にとって、本当は等価値だったのかもしれない
 
 

　僕は、弱すぎる僕はまた、僕を、自ら、自ら、赦したんだよ
 

　だから、また、僕は " 非現実（ここ）"　にいる

　そして

　僕は " 非現実（ここ）" で上手く微笑う術を探す

　上手く君に " 寄り添う " 術を探す

　
　また、君と一緒に " 夢 " を見て、歩いてゆける術を探す
 

　そんなことはできないのだと、本当はわかっているのに

　今だけは

　まだ
 
 

　……そして、どんなにも、どんなにも君を傷つけたとしても、僕は、今、微笑ってる……　
 
 
 

　【　　月のながめかた　　】
 
 
 

　ざわめく昼間とは異なる、不思議に俺を落ち着かせる静寂と、世界の匂い、そして、無機質なリノリウムの床
　夜の校舎、その独特な世界は今も、今も変わらないまま、そこにひっそりとたたずんでいる
 

　ここで、俺と舞は再会する
　今更、ここで俺と舞は何をしていたのか、ということを語る必要はないだろう
　と、いうか、俺も一体、ここで何をしていたのか、ハッキリと言える自信もない

　ただ、もう一度、出逢った

　今となっては、きっと、それだけのこと
 

　……それは……まあ、いいんだけど、さ……
 

「なあ、舞……？」
 

「……もぐもぐ」
 

　おそらく舞にとっては返事の、咀嚼する音
　その元凶、舞の手の中の牛丼はまだ半分くらい残っている
　その牛丼の匂いに世界は支配されていた

　……相変わらず、この雰囲気を平気でぶち壊す匂いだな……
 

「……どうして……俺たちはこんなところで夕ご飯を食べてるんだろな……？？」
　
　
「……はんほはふ」
 

「……ちゃんと食べてから喋ってくれ」

　舞はしばらく、もぐもぐ、としてから、飲み込む仕草をする

　舞はあの頃から比べたら、変わったと思う、時間と共に、自然と
　でも、本質的な舞らしさと、こういうところはあまり変わってない

　まあ、マイペースなのは今にはじまったことじゃないからな……
 

「なんとなく」
 

　ようやく舞は俺にそう言う

　……本当にこういうところは変わってない……
 

「……なんとなくで不法侵入は良くないぞ」
 

「……大丈夫」
 

　舞はもう制服を着る年齢では無いし、もちろん、休日なので二人とも私服を着てここにいる
　あの、普通の少女なら触れる機会すら少ない舞の剣も、その小さな手には無い
　まあ、当然と言えば " 当然 "　なのだろう

　……ここには、もともと " 魔物 " はいないのだから……　
　

　それでも、ここにいるだけで不思議とあの頃に戻っているような、そんな気持ちにさせる

　……正直、あまり心地良くはない……

　俺は無意識にこの場所を避けていたのかもしれない

　……理由は俺にもよくわからない……

　
　舞のほうといえば、ここにはたまに来ているらしい
　

　……どうしてなんだろうな……　　
 

「……ごちそうさま」
 

　声がして、ちら、と舞のほうを見る、牛丼の丼は見事にからっぽだった
　今はペットボトルのお茶を、ごくごく、と飲んでいる

　俺もそれに合わせるように食べるスピードを上げて牛丼を胃の中に押し込む
 

「……祐一、ちゃんと噛んで食べる」
 

　そんな舞の言葉を左から右へ流して、牛丼を食べる
　丼の中身は思いの外、すぐになくなった
 

「ふう、ごちそうさま」
 

　そして、俺も舞とおなじようにお茶で喉を潤す

　舞は牛丼の容器とか割り箸とかをビニール袋に入れている、ゴミはちゃんと持ち帰るらしい
 

　……といっても学校の廊下へ放置するのは確かにまずいからな……
 

「さて……と、もう帰るか？？」
 

　舞にそう聞く、自分でも、こんな自分は変だと思う
　妙に急いでここから離れようとしているみたいで、嫌だった
 

「……おくじょうにいきたい」
 

　舞はゴミをまとめると、呟くようにそう言った
 

「……屋上？？」
 

　少々、間抜けに返事を返してしまう

　舞は黙って頷いて見せた
 

「……まあ、いいけど」
 
 
 

　俺と舞は屋上を目指して歩きはじめる

　二人とも、何故か無言で歩いていた

　廊下を歩いて、階段を昇る、二人の無機質な足音だけ聞こえていた
　隣を見ると舞の凛とした顔で真っ直ぐ前を見ている

　……闇に紛れながら、その綺麗さに見とれてしまった……
 
 
 
 

　そして、屋上の扉の前、階段の踊り場まで来た

　舞と、佐祐理さんと、俺の三人で昼休みに弁当を食べている、俺はそんなあの頃を思い浮かべていた

　……今頃、佐祐理さんはどうしてるかな……

　そんな場違いなことを考えてしまう
　佐祐理さんは今日は用事で実家に帰っているらしい
　とりあえず今は舞と佐祐理さんは二人で暮らしている
　まあ、佐祐理さんも、一応、舞もしっかりしているから生活の方は心配ないのだろう
　俺は高校を卒業するまでは水瀬家でお世話になることになっている
 

　そんなことをぼーっと考えていて、どこかへ飛んでいた俺の意識は屋上への扉を開ける音で呼び覚まされる

　舞は先に行ってしまったようだ
 

　……薄情な奴……
 

　俺も舞を追いかけるように屋上へと出た
 
 
 
 

　そこにはすこし欠けた、月と、淡い光の世界
 

「……祐一、遅い」
 

　舞が俺の側に来て、そう言う
　

「……悪い」
 

　俺はどこかうわのそらで、返事を返す
 

「……月、すごく綺麗……」
 

　舞はすこし上目使いで月を見ている
 

　俺は月と舞をぼーっと瞳に映していた
 

　……似てる、すごく……
 

　そして、なんとなく、そんなことを思ってしまう
 

　" 月 " と " 舞 "
 

　……上手く言えないけど、すごく似ている……
　
　でも、そんなことを思うと同時に怖くなっている俺に気付く
 

　……月と似すぎて、月と似合いすぎて、ここからすぐにでも消えてしまいそうな、闇に溶け込んで、泡のように消えてしまいそうな……

　
　そんな不安に耐えきれず、俺は繋ぎ止めるように舞の華奢な身体を抱きしめた
 

「……祐一？」
 

　不思議そうに、そして、心配そうに俺の名前を問いかけるように呼ぶ舞
 

　そして、ようやく俺は自覚する
　俺は弱かった、今まで強くなりたがっていただけで
　楽しいこと、嬉しいこと、舞とそんな日々をすごしてきて、俺の手にあまるその大きさに怖れていたんだ
　楽しいこと、嬉しいこと、そんなことの大きさが大きければ大きいほど、その後に来る " 痛み " を怖れていたんだ
　巡り来る悲しい " 予感 " を、俺の身体とこころは憶えているから、それでも良かったと、微笑っていられる自信なんてないから
 

「……泣いてもいいから」
 

　そう言う舞の肩はすこし震えていた
　微かにしゃくりあげる音もする　　　
 

「……ば〜か……無理するなよ……そんなこと言ってる舞の方が泣いてるじゃないか…………」
 

　どうしてこんなにも苦しいのか、どうしてこんなにも悲しいのか、きっと、俺にも、舞にも、わからなかった
　泣きたいから、泣いた、ただ、それだけのことで
　そして、二人とも知っていた、終わりは来ることを、" 運命の二人 " なんて本当はこの世界のどこにもいなかった

　そのまま、ずっと、月の下で抱き締めあった、膝を抱えて " 痛み " に耐える子供みたいに
 
 
 
 
 

「……ここで、月の下でよく泣いてた」
 

　暫くして、すこし落ち着いてきたのだろう、舞は小さな声でそう呟いた
 

「……でも、月はとても優しいから」
 

　舞はすこし微笑って見せた、俺に向けて、大丈夫だから、と言うように

　" 守る " なんて俺の思い上がりで、正しくなんてない、舞はそんなに弱くなくて、俺はそんなに強くなくて
 

　だから、俺はこの光になりたい、この月の光になりたい、決して同じ光にはなれないけど、俺は舞を照らすこの光になりたい　
 
 

　そして、どちらからともなく、そっと接吻を交わした
 
 

　月の下で、舞のことを想う

　俺のことを舞は想ってくれるから
 

　だから、" あした " はあるとなんとなく思うよ
 

　そして、二人だけの

　" 月のながめかた " 見つけた
　　
 

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【　ｆｉｎ　】

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　ああ、どうしても、らぶらぶ〜、にならない／苦笑
　思い描いたとおりに書けないっ！／泣
　ちょっとこれは失敗作……？？／汗
　ああ〜、ごめんなさい〜、ごめんなさい〜〜／謝