佐祐理さんです。
わたしがある意味、注視していた佐祐理さんです。
佐祐理さんの狂気に、正面から向かってくれていると。
ただ…詐欺師さんがこれを書きはじめた時、ちょうどわたしのDream/Realが始った頃で、見事にシーンがかぶりました。
…この後も、詐欺師さんとわたしのかぶりあいは、他の作品でもいくつも続きましたが(苦笑)
でも、ある意味では仕方がなかったかもしれません。
同じ時期に、似た方向を模索している感じでしたから。
キャラや作品は違うけれど、何か、求めようとしていた方向が似ていた気がします。
この作品では、佐祐理さんの狂気。
わたしは、佐祐理さんが書けない。
というか、書くのは多分簡単なのだけれど、その先は…狂気と、死だと悟っていた。
だから、あの栞を生んだKorieさん改め(苦笑)詐欺師さんが、佐祐理さんを書く、それを注視しないわけがなかったのです。
そして、それは報われました。
途中でわたしはコメントしました。
例の解説にもあったフレーズ、『佐祐理さんはどこへ行くの?』
詐欺師さんは見事に、その解答例を出してくれました。
わたしにはまだ書けない、佐祐理さんの狂気を書いてくれました。
そして、この作品を見て、わたしの中の佐祐理さん像はもっと固まったのでした。
それがM.W-5thまで。
M.W-4thβおよび5thβは、もう一つのM.W。
BAD ENDもしくはTrue Endとも呼べるM.W。
佐祐理さんの狂気と祐一の狂気を追うもの…
でも、それは書く人の心を壊すものでした。
狂気を追うことは佐祐理さんときちんと向かい合う事。
でも、向かい合うということは、引き込まれる可能性の大きいことでした。
そして、佐祐理さんとその狂気は、とても魅力的なのです。
『Lunatic』を自称するわたしが放棄するほどに。
もちろん、詐欺師さんにとっても、重かった。
重過ぎたのかもしれない。
あるいは、自分で重荷を背負っただけかもしれない。
わたしの美汐のように。
だから…
だから、次作『ぶらんこ降りたら』が書かれました。
救うことは、結局は自分でしかできないから。
でも、救いの光は、きっと外から射すはず…
わたしがその光になれたらよかったのですが、わたしにはなれなかった。
わたしは自分の美汐を救うだけで精一杯だった。
そして同時に、わたしは栞を書くことで精一杯だった。
そう、あのF,Fと同時期のことでした…
だから、詐欺師さんは葛藤の、奈落の中に落ちていくしかなかった。
わたしには、何もしてあげられなかった。
また、救うこと、できなかった。声をかけるくらいしか。役にも立たない、声援のように。
だから、詐欺師さんは自分で這い上がりました。何かを得て…
それが次作『ぶらんこ降りたら』です。
わたしはそう思っています。
でも、この作品は、そんな作者の詐欺師さんの葛藤ゆえに、より深く、魅力的だと思います。
わたしには…とうてい書けない佐祐理さんです。