LOTHさん誕生日おめでとうーな美汐SS(笑)

 BGM:川村結花『遠い星と近くの君』
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 ――遠い空で、数えるのもバカらしくなるくらい沢山の星が瞬いていた。        
 
 
 
 
 
 
 
 

        “遠い星と近くの君”
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 ぼふ、と祐一は座っている美汐の太股に頭を乗せた。
「……相沢さん?」
「…あー、気にするな」
「します」
 にべもなく言い返してみても、祐一の頭をどけようとはしない。
「美汐」
「……はい」
「星が綺麗だぞ」
「……」
「なんだよその顔は」
「……いえ、相沢さんの口からそんな台詞が出るとは夢にも思っていませんでしたので」
「……なにげにキツイね、おまえ」
 見上げた空に、星。
 祐一の言葉を認めるのは癪だが、確かに綺麗だと美汐は思った。

「なあ、美汐」
 膝枕の状態そのままで、祐一が言葉を投げかける。
「俺達なにやってるんだって、時々思わないか?」
「相沢さんに付き合って何かをする時は、しょっちゅう思ってます」
「……いや、そうじゃなくて……」
「わかってますよ」
 
 
 
 

 ――会いたい
 こんなにもおまえを思っているのに。
 ――会いたいよ。
 こんなにもおまえを呼んでいるのに。
 

 どうしてこの声は、おまえにとどかないんだ?
 どうしてこの手は、おまえをつかめないんだ?
 

 日が落ちて、星空がめぐって、また、太陽が昇って。
 
 

 ――訪れるのは、おまえのいない朝
 
 
 
 
 

「……なにをしているのでしょうね、私達は」
 祐一に、というよりは自問するようにして美汐は言う。
「待ってるんだろ」
「……え?」
「待ってるんだよ、きっとな」
「……」
「違うか?」
「……いえ。そう……そう、なんでしょう。……きっと」
 
 
 
 
 

 一人だったら、きっと、投げ出してしまったかもしれないな。
 そんな風にも、思うよ。
 
 
 
 
 
 

「美汐はさ、強いよな」
「そう、でしょうか? 私には、相沢さんの方が強いように思えますが」
 祐一は、苦笑した。
「ゼンゼン」
「私も、全然です」
 美汐も、同じような顔をしていたように祐一には見えた。
 
 
 
 

 ゆっくりと、巡る星。
 結局、知ったのは、日常なんて日常じゃなかったってこと。
 日常なんて呼んで、そこにあるのが当たり前だなんて思ってて、
 手が届かなくなって始めて気付くんだ。

 手が届かなくなって、始めて気付かされるんだ。
 
 
 
 

 そっと、美汐の手が祐一の頬を拭う。反対側の頬に、祐一は自分で触れた。
「あ……れ? はは……カッコ悪ィ……」
 祐一は両手で顔を覆った。美汐は何も言わない。その手が、そっと祐一の髪を撫でる。
「……なんかオレ、ガキみてぇ……」
「何を今更」
「……キツイね、美汐ちゃん」
 
 
 
 

 誰も、誰にもわからなくても、君だけには傍にいてもらいたい。
 そう思うのは、オレのワガママだろうか?
 
 
 
 
 

「なあ、美汐」
「はい?」
「……ヤじゃなかったらでいいからさ、時々こうやって、一緒にいてくれないか?」
「……時々でいいんですか?」
「……いや、できれば、いつも」
 くすっ、と美汐は笑った。
「……おまえさ、いつもそやって笑ってりゃいいのに。素材はイイんだから」
「大きなお世話です」
「……それは悪うございました」
 
 
 

 不安と絶望と、それと、少しの希望を抱えながら、
 過ぎて行く今日に、訪れる明日に

 止まったままの時計の針を、いつか進めることのできる日が来る事を

 望みは、失わないように
 願いは、強さになるように
 
 

 見下ろす美汐の顔の向こうに、空が見える。
 
 
 

 ――遠い空で、数えるのもバカらしくなるくらい沢山の星が瞬いていた。
 
 
 
 

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 う〜ん、モノローグSSは楽で楽しいやね(爆)
 誕生日はいくつになってもおめでたい、ということにしておきましょう(笑)
 なにはともあれ、おめでとうございま――した(苦笑)

 4/23 NAOYA

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ささやかなコメント by LOTH

NAOYAさんに誕生日記念としていただきました。
…誕生日って幾つになってもいいものですねぇ… <現金な奴

SSは、美汐ですね。NAOYAさんからわたしに贈られるのは、美汐と決まっているという気が(笑)
いえ、そうじゃないのもあるんですけど…何か、そんな気がします。
やっぱり、わたしが『Forbidden Love』が好きだから、でしょうか?それとも…わたしが美汐憑きだから?(爆)

とはいえ、これはNAOYAさんの美汐で…真琴と祐一と美汐の、いわゆる微妙なバランス関係のある美汐の話。
真琴の還らない世界の…美汐と祐一の話。
強いとか、弱いとか…そんなのは客観なようで、実際には意味がない言葉。
ただ、そこにあるのは…心の近さ、遠さ…優しさ。そんな感じかな…と…
わたしはこういうのは、書かないですから…

…いや、ありましたね…
しまった。この話って…わたしに『グノシェンヌを書け』というぷれしゃあだったのか(苦笑) inserted by FC2 system