真琴系SS。
実感ほのコメ『にんぎょひめの娘たち』の番外編です。
…ていうか、わが身を切ってると一部で評判の『実話ほのコメ』です(苦笑)

では、どうぞっ

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前置き

この物語は基本的にはフィクションです。
Kanonの登場人物以外の名前、および物語内の出来事に関して
現実の何かに似ている、あるいは髣髴とさせる事物があったとしても
それは偶然の一致…

…のはずでしたが、今回は結構、偶然じゃないみたいです。
ええ、そうですともっ(号泣)

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『小児病棟は、完全看護になっています。』

看護婦の言ったこの言葉には、オレも真琴もあまりピンと来ていなかった。

『ですから、面会は面会時間だけになります。』
『……え?』

このときになってやっと、オレと真琴はその言葉の意味を理解した。

『面会時間だけと言うと…』
『面会時間は、平日であれ土日であれ、午後3時半から7時までです。』
『そ、そんな…』
『大丈夫です。私たちがきちんと面倒を見ますので。』

看護婦さんがニッコリ笑って言った。
でも、オレたちとしてはまだ食い下がって

『…で、でも紗梨はまだ赤ちゃんだし…』

『……大丈夫です。』

でも、看護婦はきっぱりと言うと、微笑んだまま続けて

『あと、食べ物は一切持ち込み禁止です。遊ぶ道具も3つまでです。』

『………』

『着替えは用意していただけばこちらでやりますが、その洗濯は持ち帰られてお母様の方でお願いします。』

『………』

無言のまま、オレたちは看護婦の言葉を聞いていた。
多分、半分呆然となっていたのだろう。まあ、いきなり入院と言われたのだから…

そして、そんなオレたちに、看護婦はその悪気のない笑みを絶やさぬまま、最後のトドメの一言を発した。

『お子さんが他におられましても、そのお子さんに感染する、あるいはそのお子さんから感染する危険もありますので…決して病室に入れないで下さい。』

『………え?』
『で、でも、うちにはお姉ちゃんが…』

オレたちがあわてて言うと、看護婦さんは一寸困ったように首をかしげて

『…まあ、どうしてもという場合は、病棟の入り口の横にあるプレイルームの方にずっといてもらうことになりますね…』
『……はあ…』
『大変でしょうが、必ずお願いします。』
『……し、しかし…』

オレたちの言葉に、でも看護婦は首を振るばかり。
オレたちは顔を見合わせた。

『……どうしよう…』
『……そうだなあ…』
『……うんうん、大変だねっ』
『そうだな…』

オレは思わず、首を…

『って、お前のことだっ、真美っ!』
『え?』
『戻れっ!さっさとプレイルームに戻れっ!!』
『……あぅ〜〜〜〜』
 
 

…かくて、受難の日々は始まった…
 
 
 
 

   Please leave us alone !

      - Gone into Hospital - 真美・真琴・祐一の看病(?)日記 その2

 

 
 
 
 

「……うわぁ…」

病室に入って、オレがいった最初のセリフはこれだった。
思ったよりも狭い病室の中、紗梨のベッドは入り口のそば、ナースセンターの間近。
…まあ、まだ赤ちゃんてことを考慮してくれたんだろうけど…でも…

紗梨は小さな子供用らしいベッドに寝ていた…というか、寝かされていたと言う方が正しいかもしれない。
紗梨の上にはビニールのカバーがすっぽりとかぶっていて、中には酸素がシューシューと入れられていた。
そのせいか、まだ白いとはいえ、その顔は病院に来た時よりはマシ…
…でも、右足には点滴のチューブとそれを取らないように隠すギブスのような物。
左足には心拍数などを測るためだろうか、親指にセンサーを挟んでいて。
ベッドには、落ちないようにだろうか、金属製の若干高い柵。
そして、今は使っていないが、寝ていて落ちないようにだろう、体を若干拘束するような布の…拘束衣と言うとちょっと言い過ぎかもしれないけど、そんなものが…

「………かわいそう…」

同じく、病室に入った真琴が、涙目になって見つめていた。
…無理もないけどな。
いつもはハイハイしながら真美にくっついて行って、時には真美にちょっかい出されたり…時には出し返して真美を泣かせることさえある、そんな元気な紗梨の、これが姿かと思うと…

「…今だけ、だよ…」

オレの言ったその言葉は、どちらかと言えば真琴に言ったというよりも自分に言ったものだった。
真琴は小さく頷きながら、まだ紗梨を見つめていた。
ビニールカバーのテントの中の紗梨は、まだゼイゼイと肩で息をしていたが、酸素のせいだろうか、あるいは点滴のせいだろうか、今朝よりはずいぶん良くはなっている。
それに、何よりもほとんど寝ていなかったのに、今はぐっすりと眠っているわけで…

「…ともかく、任せるしか…ないよな。」
「……うん。」

涙目の真琴は、それでも小さく頷いて

「…ともかく、任せて…」
「……ああ…」
「……だから…」
「………」
「………これから、どうするか、よねぇ…」

と、真琴はオレに振り向いて…
……いや、オレの方に向きはしたが、目線は下。

「………ああ」

オレも同じく、真琴の目線の先を見た。

「………」
「………」

「………?」

…そこには、何故だかちょっとうれしそうな顔の真美が、オレ達の真似をするように紗梨の顔を見ていた…

「……真美…」
「……おい…」

「……そうよねぇ…これからだよねえ…」

「……これからじゃないっ!!お前は今すぐ、プレイルームへ行けっ!!」
「…えへっ」
「『えへっ』じゃないっ!!何度言ったら分かるんだ、真美っ!」
「……でもぉ〜」
「『でも』じゃないっ!お前は来ちゃダメだって、パパもママもお医者さんも看護婦さんも言ってただろっ!今度来たら…お前だけ、家で留守番だっ!」
「うぅ〜、それはいやぁ…」
「だったら、さっさと行けっ!早くっ!!」
「…あぅ〜〜〜」

わざとらしく肩を落しながら、紗梨は廊下に出ていった。
オレと真琴はそんな紗梨を、厳しい目つきで見送って…

「………はあ」
「………ふぅ」

…思わず、顔を見合わせた。
確かに、これからどうするか…あの騒々しい娘を、紗梨の入院の間じゅう?

それが、一番の問題だった…
 
 
 
 
 

「……どうしたもんかねえ…」
「……うん…」

答えた真琴は振り返ると、ため息をついた。
ここは車の中。運転しているオレ、そして助手席には真琴。
そして…

「……紗梨ちゃんも心配だけど、でもそれよりも…」
「……そうだよなあ…」

オレたちが頭を抱えているその当人の真美は、病院を出て車に乗った途端、スヤスヤと寝息を立ててさっさと寝てしまっていた。
まあ、無理もない。いつもなら少しは昼寝をするところを、今日はずっと起きたままだったから…
…それが一人で遊んでいてくれたらそれはそれで良かったのだが、結局、オレが付きっきりでいなきゃならない始末。
ちょっと目を離すと、プレイルームに遊びに来た入院患者の子供と入院している子供とおもちゃを取りあうようにして遊んでるし…相手が小さい子と見ると、要らぬおせっかいをしては鬱陶しがられるし…好みのタイプのお母さんと見ては一緒に甘えてかかるし…と思って放っておこうとするとすぐに出てきて紗梨ちゃんのところに行こうとするし…
はあ…我ながら、育て方間違った気がする…
……それとも……
 

「………何よぅ」
「………いや、何でもない。」
「……うそだっ」

…真琴にしては、鋭い突っ込みだった。

「…真美の性格、あたしにそっくりだからだ…そう言いたいんでしょう?」
「いや、そこまでは言わないけど…」
「………」

ジト目でオレを見る真琴。
まあ、確かに真美は自他共に認める、真琴と一覧一卵性親子なので、まあベースは真琴の性格だからな。
…でも、節々に見えるあのノリやすい性格、あれは何となくオレの血筋のような気がしないでもないでもないわけで…

「……ま、それはともかくだ…」
「……誤魔化そうとしてるぅ…」
「……だから、問題はこれから真美をどうするか、だろ。」
「………うん」

真琴は小さく息をつくと、シートに深く座り直した。

「なんとか、真美をおとなしくプレイルームに居させるか…」
「…それは無理だろう。」
「…うん」

あっさりと真琴は頷くと、

「だから…方法は…」
「…ああ。二つ…だな。」
「……真美をどこかに預けるか…」
「…じゃなかったら、誰かにうちに来てもらって真美のことを見てもらうか。」
「……それしかないよねえ…」

真美をおとなしくさせるには、見てくれる人が必要だ。それは間違いない。
とすれば、自ずと選択肢は限られていた。

「……そういえば、実はね…」
「うん?」

オレが答えると、真琴はちょっと苦笑いを浮かべながら

「さっきさあ、家に一度帰った時にねぇ…」
「…ああ」
「…何か、ちょっと不安だったから…電話かけたんだぁ…」
「……誰に?」
「……美汐に。」
「…おい。」

美汐って…天野は今じゃ…

「……イギリスにわざわざ、国際電話したのか?」
「…うん…」
「…お前な…天野もいい迷惑だろう?」
「そ、そんなことないもんっ!美汐、久しぶりって喜んでたよっ!」
「………」

とは言ってもなあ…天野、誠にはあんまり強く言わないだけだからな…
えっと…イギリスと日本の時差は…えっと…9時間だっけか?
こっちの昼過ぎの9時間前…

「……お前な…もうちょっと考えろよ…」
「…え?」
「…その時間、多分、あっちは夜中か明け方だぞ…」
「……ええっ?美汐、そんなこと、全然言わなかったから…」
「………はあ」

いつもながら、天野…お前、真琴甘すぎ…

「…今度からはもうちょっと、考えるように。」
「……あぅー」

真琴はちょっと神妙な顔で頷いたが、すぐにまた微笑を浮かべると

「そ、それでねえ、その時、美汐に紗梨のこと言ったんだけどね…」
「ああ。」
「そしたらね、美汐…言ってくれたんだ。」
「……何を?」
「うんっ!『では、真美ちゃんの面倒を見に行きましょうか?』って。」
「………おい」

オレはあわてて真琴の顔をじっと見つめた。

「…まさか、お前…『うん、お願い』とか言わなかっただろうな?」
「…えへへへへへ…」

真琴はにやにや笑うとオレに小さく首を振った。

「まさか。いくらあたしでも、そこまでは言わないわよぅ」
「……そうか。なら、いいけど…」

…残念ながら、オレはそこまで真琴のことは信用していなかった。
というか、真琴と美汐のコンビなら、何でもありうるからな…イギリスからわざわざ真美の面倒見に来ることも、それをお願いすることも…あり得ると思えるところが恐い…

「…絶対、そういうこと、冗談でも言わないように。」
「……でも…」
「でも、じゃない。絶対、言わないように。」
「…あぅ〜〜」

真琴はちょっと不満そうにうなったが、すぐにオレの方に向き直った。

「それを言ったら、祐一だって…」
「…何だよ。」
「さっき、祐一…誰かのとこ、電話してなかった?」
「オレが?」
「ほら、ご飯食べる前、何か電話に向かって一生懸命説明してたじゃない…」
「……いや、あれはただの…」
「……ただの?」
「………」
「……祐一?」
「……あれはオレがかけたんじゃなくって、かかって来たから仕方がなかったんだだって…」
「……やっぱり。」

真琴はホウッと息をつくと、座席に座り直した。

「……お母様?」
「……おう。」
「………」
「…しょうがないだろ、こういうタイミングだったんだから…しょうがないから、説明だけはしたよ。そしたら…」
「…お母様、来るって?」
「……ああ。」
「………」

真琴はオレの顔をじっと見た。
…分かってるって…

「……もちろん、丁重にお断りしておいたよ。」
「……うん。」

真琴は小さく頷いた。
一応言っておくと、別に真琴とうちのお袋は、仲が悪いわけじゃない。
お袋の一種豪快な性格と、真琴の大雑把な性格はどちらかというと合っている方だろう。
だいたいが秋子さんとうちのお袋は姉妹で似ているところもあるから、その意味では真琴ももともと親しみがあったし。
しかし、そこはそれ、嫁姑というやつは深くて暗い関係が…

「…だいたいが、地球の裏から来ようったって、来た時には紗梨、退院してるかもしれないしな。」
「そうだよね…」
「……ま、その辺は軽く納得させといたよ。」

…実際は、すごくあれこれ心配されたけどな…
しかし、孫のこととなるとああも変わるもんかねえ?
オレには結構、いい加減で大雑把な扱いだったように思うんだけど…何度も勝手に親父の転勤にくっついて行っては、オレを転校させたり揚げ句の果ては日本に置いてきぼり…
…いやいや。
オレは思わず首を振って、ハンドルを握り直し

「だから、あとは…」
「……でも、そうなると…他には…」
「……秋子さん…」
「…は、喜んで来てくれそうだけど、名雪が今…お腹大きいし…」
「そうだよなあ…」
「真美、きっと迷惑かけると思うから…」
「うーむ…」

真美は秋子さんと名雪には、何をしてもいいと思ってるから…というか、何をしても許してもらえるという甘えがひどいからなあ。
名雪にもしものことがあるといけないし…

「…同じ理由で、北川のとこも却下だな。」
「うん…」

北川と香里は気安い奴らなので、オレたちがどうしても都合が悪いときに何度かベビーシッターのように真美を預けたことがあったのだ。
子供の居ないあいつらも、真美も結構喜んでいたのだが…今は香里もおめでただし…

「……二人同時におめでただったのって、実は結構痛いかもな。」
「……こういう時には…ねえ」

「……はあ」
「……はあ」

オレたちは思わず、ため息。

「……こうなったら、やっぱり…」
「真美をあたしが病院にいってる間、託児所とかに預けるしか…」
「だなあ…」

真美には大変だと思うが…と言って鍵っ子にするのも、まだ幼稚園だし無理…
でも、オレが早く帰ってくることもなかなか出来ないし…

「…あたし、帰ったら電話帳とか、あと幼稚園のお友達のお母さんとかに聞いてみるね。」
「ああ。オレも知り合いに当たってみるか…」
「うん。お願いね。」

しょうがない…これも紗梨と、そして真美のためだ…

オレたちがともかくも納得することにした頃、ちょうど家の前に到着。
家の前の駐車場に、オレは車を止めた。
そして、まずはオレがとりあえず外に出て、後ろの席の真美を下ろそうとした。
続いて、真琴が車を降りると、紗梨の今日の荷物を持ったまま、家のドアを…
 
 

バタンっ
 
 

「……おかえり、真琴っ!」
「……お帰りなさい、真琴。」

「……あれ?」

真琴が開ける前に、勢いよくドアが開いた。
そして、真琴にニコニコと笑いかける人影が二つ…

「……秋子さん…名雪?」
「うん!大変だね、真琴!?」
「…もう、わたしたちに言わないなんて、水臭いですね。」
「………あ、あぅ…」

まだ目を丸くしている真琴。
…ていうか、いったいどうやって家に入ったんだ、この二人…

「…え、えっと、秋子さん、これは…」
「紗梨ちゃんが入院している間、あなたがお世話に行っている時間の真美ちゃんの相手くらい、もちろんわたしたちがやりますよ、真琴。」
「うんうん。任せといてよ、真琴。」
「………えっと…だ、誰からそれを…」

真琴が聞くと、秋子さんはにっこり笑った。

「…もちろん、わたしの姉…祐一さんのお母様からです。」

…お袋…余計なことを秋子さんに言うなよ…それも、速攻で…

「…あ、いや、秋子さん…」

オレは眠っている真美を抱いたまま、あわてて秋子さんたちのところへ…ていうか、オレの家の玄関へと駆け寄って

「し、しかし、秋子さん…それはまずいでしょう?」
「…どうしてですか?」

マジで首をかしげる秋子さん。
隣で同じく不思議そうにしている名雪。
…分かるだろう、普通…

「…真美、知っての通りの奴ですから…手が掛かりますし…」
「それくらい、どうってことないですよ。賑やかになっていいですね。」
「いや、そうじゃなくって…」

いつものように軽くいなす秋子さん。
でも、ねえ…

「いや…名雪もいるじゃないですか。名雪にも負担、かかると思うんで、それで名雪にもしものことが…」
「…心配性だね、祐一は。」

やっぱりニコニコしていなす名雪。
…うーむ、やっぱりあんたら、親子だよ…
じゃないっ

「…いやほら、真美はああいう奴だからさ。秋子さんも仕事があるし…」

「それくらい、しばらく休んでも大丈夫ですよ。」

「でも、長引いたら名雪に負担が…」

「大丈夫だって。それくらいどうってことないよ。」

「いや、でもあいつを一人で見るのは、やっぱり…」
 

「大丈夫よ。一人じゃないから。」
 

「……え?」
 

後ろからの声に、オレたちは振り返った。
 

「あたしが一緒に見ればいいでしょ?そしたら、少なくとも二人だわ。」
「うんうん。そうだぞ、相沢。」

「……北川…香里…?」

そこに立っていたのは、北川と香里だった。
二人はニコニコしながら、オレたちの方に近寄ってくるとポンっとオレの方を叩いて

「…水臭いわね、相沢くん。」
「そうだぞ、相沢。水瀬さんから電話がなかったら、オレたちも全然知らないところだったぞ。」

「…あ、いや…」

「で、今の話だけどね…あたしが真美ちゃんを幼稚園に迎えに行って、それで名雪の家に連れて行ったらどう?」
「そうだな。どうせついでだし…そうしようぜ、相沢。」

「……いや、待てってば…待てよ。」

オレはやっと気を取り直して北川と香里に向き直った。
このままでは、ずるずるとそうなってしまいそう…

「いや、名雪の家は遠いから…車、乗れない真琴じゃ、面会終わった後に迎えにいけないから…」

「じゃあ、お前が迎えにいけばいいだろ、相沢。」
「そうよ、そうしなさいよ、相沢くん。」

「…オレの会社、反対方向だからさ。だから、それは…」
 

「……そうだ。いい考えがあるよ。」

とその時、名雪がポンっと手を叩くと、大声で言った。
 

「わたしの家に真美ちゃんが来るんじゃなくって、わたしたちが祐一の家に行けばいいんだよ。」

「……え?」

「……そうね。いい考えね。そしたら、幼稚園も近いし。」
「香里が水瀬さんと真美ちゃんを車で迎えに行けばいいわけだし。」
「真琴も迎えに来なくってもいいし…ねえ、お母さん、どう思う?」

「……了承。」

…いや、秋子さん…勝手に了承しないで下さい…

「…で、でも…」
「あ、あの…」

オレと真琴が反論しようとした、その時。
 

「真美、それがいいっ!!」

いつの間にか目が覚めていた真美は、オレの腕から飛び出すと秋子さんの腕に飛び込んだ。

「真美、名雪おばちゃんと北川のおばちゃんと、秋子さんと遊ぶの大好きっ!!」
 

「……了承。」
「うんうん、そうだよねえ、真美ちゃん…」
「よし、じゃあ、そうしようぜ。」
「じゃあ、あたしが明日から幼稚園に迎えに行くわね。」
 

「うんっ!!」
 

「じゃあ、そういうことにして…今日はご飯にしましょう。お腹空いたかしら、真美ちゃん?」
「うん!」
「じゃ、ごっはっん! ごっはっん!」
「…北川さんたちも、一緒にいかがですか?」
「え?いいんですか?」
「…ちょっと。そういう厚かましいこと言わないでよ…」
「どのみち、鍋ですから…そんなこともあろうかと、たくさん買い出しておいたんですよ。良かったら…どうぞ?」
「……そうですか?じゃあ…」
「すいません、秋子さん…じゃあ…」
「うんっ!みんなでご飯食べよう!鍋、食べようねっ!!」
 
 

バタン
 

楽しそうな声と共に、ドアは閉まった。
…立ち尽くす、オレと真琴の前で…
 

某月某日
相沢祐一、真琴
周りの人の親切に救われる…
…あるいは、大きなお世話かもしれないけど…
 
 

「…ま、いいか…真美も喜んでるし…」
「秋子さんたちだったら、あたしも楽は楽だけど…」
「……オレの居場所、あるかが問題だけどな…」
「……そうだね…」
 
 

どうしてもこれはダメだってことになったら、帰ってもらおう。
そう決めたオレたちだった…

<to be continued>

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…筆者です。
「仕切り屋・美汐です。」
…まあ…これは全てが実話じゃないわけで。
「でも、混ざってはいるわけですよね。」
……ノーコメント
「…無駄なことを…『実話ほのコメ』と言ってるくせに…」
…えへんえへん…と、そういえば、おめでとう。
「…何がですか?」
…このシリーズ、初の美汐さん登場。
「……何を言ってるんだか…」
…多分、今回のシリーズではこれだけだけどね。また、絡むこともあると思うぞ。 inserted by FC2 system