…いきなりこんな話から始めるし(苦笑)
でも、不思議だと思いません?
たとえば、あるゲームが好きになったとする。
普通は何度もゲームをやって、トレカでも出たら買う。原画集とか出たら買う。できればその絵を吸い出してデスクトップに張る。
まあ、オタクの世界といわれちゃうけど…普通の人にも理解できる。
それが嵩じて、たとえば、絵かきさんなら、キャラの可愛い姿を書く。
まあ、これもなんとか分かるでしょう。
でも、絵を書けない、あるいはそれに飽き足らない人が、そのゲームのキャラを使って自分の話を書く。SSを、漫画を書く。
…変だと思いません?
だって、それってもうゲームを離れて、自分の話を書いてるだけですよね。キャラを、設定を借りているだけ。
そんなものを書く。それを人に見せる。それって自己満足でしかないんじゃないですか、普通に考えると?
オマージュとか、かっこいいこといっても、結局は人のキャラで勝手に話を作ってるだけ、ですよね。
それのどこが、ゲームを、キャラを愛することなんだろうか…
そう思ったこと、ないですか?
思ったこと、ないんですか…幸せですね。
わたしは、思いました。何度も何度も、自分の話の中で、好きなキャラを泣かせ、傷つけて…最後にはハッピーエンドとかいっても…そんなことをして。
それで、愛してると言えますか?
普通、自分の好きな人を、最後に幸せにするからって、泣かせたり、傷つけたりしますか?わざわざそんなシチュエーションに入れたりしますか?
そんなこと、平然とできる人は、サドですよね。SSを書く人は…特にいわゆるシリアスなSSを書く人は…サドなんですか?そうなんですか?
違いますよね。少なくとも、そうじゃないと思ってるはずです、普通。
だったら、どうしてそんな話、書くんでしょう?
あまつさえ、それを読んで、感動したとか、素晴らしいとか言い合ったりしている。
それ…本当にゲームを、キャラを愛することなんですか?
って、考えちゃったわけです。本気で。
だから、書くの、やめようかと思いました。わたしは。
そんなの、そんな愛し方は、嘘だと思ったから。
そんなのを書くのは、キャラを利用して自分の書きたいことを書いているだけで、愛してることじゃないと思ったから。
そんなことをする自分が、すごく嫌だった。
だから…
…でも、やっぱり書いてます。
どうして書くんだろう。
今でも思います。時々、振り返ります。
結局、わたしは書きたいんだと。書きたいだけなんだと。
…わたしはそれを業と呼びますけど(苦笑)
表現したい。書きたい。これはある種の人間の業だと。
その表現手段が、SSなだけなんだと。
そう思うこともあります。
でも、それだけじゃない。
キャラを人間にしたいんだと。
ゲームに書かれているキャラは、やっぱり一面だから、それを人間にしたいんだと。
人間だから、人間として悩むし、普通の生活をするし、違う恋もし、違う悲しみを味わい、違う苦しみに陥る。
それに、ゲームの中で軽く書かれてしまった、未解決の問題だってある。
それを、そしてそんなキャラの姿を書いてやることで、そのキャラをもっと深く愛したいんだと。
その思いを深く書くことで、キャラの薄っぺらさを補完したいんだと。
その陥る問題を書くことで、ゲームに足らないと思うことを補完したいんだと。
それが愛し方なんだと。それを書きたいんだと。
だって、好きだからしょうがない。
ゲームが。
キャラが。
そして、書くことが好きだから。
でも、だから、SSを書く人は、自覚してほしいんです。
自分はそんな業を持っていること。
そして…でも、それは愛なんだって。
特殊、ですけど。普通の人には、ちょっと理解できないかもしれないけど。
でも…だから、愛だから。
だから、自分の書く意味を、いつも考えてほしい。
書くだけなら、誰にでも、そしてどんな話も書けるんです。
それなのに、SSという物を書くということは…
そして、人を愛するからには、責任が伴うことを。
『星の王子さま』の中で、キツネはいいました。『面倒をみた相手には、いつまでも責任があるんだ』と。
わたしはその言葉を、信じます。
重いですけど…信じます。
信じて…書いていきます。できるだけ。最後まで。
愛してあげてくださいね。
ダークだろうと、シリアスだろうと、コメディだろうと、ギャグだろうと、ほのぼのだろうと、ラブラブだろうと。
そして、時々、SSを書くっていうことの意味を考えて下さい。
自分は、愛せてるのかって。自分勝手で、責任を果たしてないんじゃないかって、ちょっとだけ、見直してみてください。
…自分のこと、です。全部。
他の人には当てはまらないかもしれません。
でも、そんなことを考えて、わたしは何度もあった断筆の、あるいは掲示板から去りたいと思う気持ち、振り切ってきました。
みなさんは、SSを書くみなさんは、何でSSを書いているのでしょうね。
本当のところ、わたしは自分で手一杯で、こんなことを言い聞かせながら書いている。
教えてほしいです。何でSSなんて書くんでしょう。今でも…考えます。