Eine Kleine Naght Musik 2

わたしの問題作である(苦笑)この作品は…
最初から実験作的なものであるはずでした。
そして…



メモ

二つの時間線理論…孤独な舞、救われた舞。
しかし、本当は多元分岐宇宙論としたら…

Eine Kleine Naght Musik 2

Eins
主人公に救われなかった第3の線の舞(舞')に呼ばれ、とらわれる舞

Zwei
舞の助けを聞きつけて駆けつける主人公
救われない悲しみ、見捨てられたものの怒り、救われた者への憎しみ。
説得しようとする祐一、拒む舞'。舞の首に、最後の力を入れようとする。
 

Oder Eins
エンディング(Eins)
舞'、指に力を込める。
「わたしを殺さなきゃ、舞は死ぬ。」
祐一、近くにあった剣を取り、舞'を刺す。
「ありがとう…結局、これがわたしの…」息絶え、消える舞'。
立ち尽くす2人。
そして、美汐と筆者。
美汐。「祐一には、舞には、救えないと言いたいの?」
というより、これが真実の救いだと冷笑する筆者。
美汐、もともとのエンディングはどうだったんですか?
ベタなエンディング。バカらしいもんだよという筆者。
書けという美汐。

Oder Zwei
祐一の叫びに、祐一に迫る舞'。
しかし、必死の舞が力による金縛りをほどいて祐一を救う。
お互いをかばう二人に、舞'の悲しみの叫び。
救われなかったんじゃない、救われるんだ…わたしと一緒に…
2人の言葉に、何かを納得したように消える舞'
そして、美汐と筆者。
確かに、ベタだと認める美汐。
どうせ、オレにはこんなのしか書けないんだ…
美汐。祐一と、舞、そして舞'自身が救えるんです…
どういうことだ?
わたしのいうとおりに書いてみてください…

Oder Drei
「わたしを殺さなきゃ、舞は死ぬ。」
祐一、剣を拾うが、しかし、取り落とす。
舞も、舞'も、殺せるわけがない。
冷笑する舞'、祐一に向き直り、祐一を殺そうとする。吹き飛ばされる祐一。
舞、苦しい息で起き上がり、舞'に言う。
「殺せるの?祐一を」
「うるさい!」
吹き飛ばされる舞。しかし、また立ち上がる。
そして、舞の悲しみを、舞の憎しみを、そしてそれが自分の悲しみ、憎しみであることを語る。でも、舞と祐一が死んでも救われないのだと。
「…うるさい!!」
吹き飛ばされる舞と祐一。しかし、舞'は泣いている。
「どうすればいいの…」
「…一緒に、生きましょう。」
舞が優しく言う。泣き崩れる舞'
そして筆者と美汐。
…少女趣味な、ベタベタな結末だな。
…でも…
…このエピローグ、書いてみよう。

Und Tag
目ざめると、病院。
目の前に、舞。
どっちの?
瞳は暖かい。
その時、佐祐理さんと共に現れる舞。
包帯を巻き、眼帯の舞。でも、その目も暖かい。
4人で微笑む。
祐一。佐祐理さん。舞。舞'。4人の生活。


最初の"二つの時間線"とは、『Eine Kleine Naght Musik』のことです。
この作品では、救われた舞が、孤独な舞と夜の校舎で出会うという、二つの時間線の交差を書いていました…
でも、時間線は無限にあるはず…
それが、最初のアイディアでした。

そして、解説でも言ったように、この変な実験作には、最初は3つのエンドが存在したのです。
舞と祐一の愛が、舞'を救うという…ベタベタのエンド、Zweiが。
でも、それは書かれなかった。幻のエンドとなりました。
それはなぜかと言うと…

…メモをご覧になれば分かるでしょう。
この作品では、『舞の救い』というものを『作者の救い』というものにすり替えて
そんな作者を仕切り屋・美汐が救うことで、作品として舞が救われるという、二重構造になっていました。
しかし、考えてみれば、こんなことでは舞も…作者も救われえなかった。それはわたしにも分かっていました。
だから、このメモは数ヶ月の間、放り投げられていたのです…

しかし、その後、平衡を失ったわたしが書き始め、『Oder Eins』をメモ通り書きました。
書きたいという思いと…キャラを幸せにしたいという思いの平衡を取りたくて。
そして、この時点で、二人の方が…わたしにもう一つのエンドを望まれました。

でも、それが『Oder Zwei』でないことは、わたしにも分かりました。
わたし自身も、この無意味なエンドを書く意味はないと思いました。
作品とすれば、そして美汐が作者を救うという作品構造から言えば、『Oder Zwei』は書かれなければならない。
でも、それは無意味な、わたしの平衡を取るという意味では何の意味もない作業でしかなかった。
だって、祐一と舞の愛に触れたからと言って、そこで消える舞には…どこに行き場があるでしょう?
どこに彼女の救われる場所があるのでしょう?それが見えなかった。だから…
だから…わたしは『Oder Drei』を書きました。

そして、その中で…舞の強さに、このメモの中以上に強い舞に、その想いに、そして…祐一の想いに触れて、
わたしは救われた。美汐と舞と祐一に救われました。そして、舞'に。

思えば、自分で書いている話のキャラに救われる人間なんて、多分…
KanonのSSを書いているたくさんの人々の中でも、わたしくらいなものでしょう(苦笑)
でも…本気で救われたのです。少しだけだけれど、本当に救われた気がしたから。
だから…本気でエピローグを書けました。

この時、この作品に救われなければ…本気でわたしは書くのをやめていた。
そんな…重要な、わたしを救った…でも、失敗作です。完璧な。
メモ通りに書いても失敗作だったのですが…メモから外れて、でも満足な、失敗作です。
書いて、脱線して、失敗してよかった話。そんな、わたしらしい創作メモですね。

だからこそ、この後日談たる悲しい、だけど優しいお話『Eine Kleine Naght Musik 2&1/2』が書けたのです…

それともう一つ、この頃からの特徴でもありますが、このメモで見ると、前半の部分のメモがおざなりです。
粗筋にすらなりえないメモでしかないですね。
でも…作品では、結構な分量になっています。
この後のメモ、というか、今後公表するメモはすべてこれ以降の作品ですが、
そこではみんなクライマックス付近以外はおざなりなメモだけになっています。
わたしの中のキャラを、その輝き、その思いを、クライマックスまで動かせばそれでいい…伏線も適当でいい…
まあ、そんな幻燈屋らしい書き方、考え方が現れている(苦笑)メモです… inserted by FC2 system