春が来て、ずっと…


3人称
夜。美汐の家は両親は今日も不在。チャイムの音。出ると、そこに真琴。
とりあえず、お茶。真琴、泊めてくれという。理由は…曖昧に笑う。
美汐、とりあえずシャワーでもと言う。シャワーに行く真琴。
美汐、祐一に電話。真琴が来ている事を告げる。祐一、頼むと言う。
黙る美汐。祐一、苦笑して、真琴との喧嘩の理由を話す。
進路。祐一が行こうとしている大学は、下宿しなければならない。
それを今日知った真琴が、喧嘩して飛び出した。
…別に説明したからって、説得しろとか、そう言う意味じゃないと言う祐一。
もちろんですと言う美汐。そして、二人、黙って…苦笑して、電話を切る。
あがってきた真琴に、美汐、そしらぬ顔。

夜中、美汐の部屋。
真琴はベッド、美汐は床に布団を引いて。真っ暗な部屋。
真琴、静かだねと言いだす。家に誰もいない…寂しくない?
馴れましたという美汐。それから…でも、子供のころは寂しかった…
真琴、えへへと笑って、それから家を出てきた理由を言う。下宿するから寂しいのもあるけど、なんであたしにずっと言わずに…
美汐、言わなかったんじゃなくて、言えなかったんじゃないかと指摘。
真琴が悲しむのが分かってたから、どう言おうか、タイミングを測りかねたんじゃないか…その方が相沢さんらしい。
そうかなあ…と言いながら、真琴は美汐に一緒にベッドに入ろうと言いだす。美汐、ちょっと拒むが結局入る。
真琴、美汐の手を握って、美汐も…来年受験だし。大学行くんでしょ…もしも街を離れるなら、美汐は真っ先に言ってね。友達だから…寂しいけど、頑張る美汐、応援するから。美汐、ちょっと言葉が詰まる…「はい。」「えへへ。」「…さあ、寝ましょう」
それから何度か、「美汐…」「…はい。」「…何でもない。」
そして、二人とも眠りにつく…

朝。起き出して来た二人、玄関のチャイム。美汐が行くと、そこに祐一。美汐、真琴を呼ぶ。やってきた真琴に、祐一、「…さあ、帰ろうか。」頷く真琴。
「美汐、またね」「またね、じゃないっ!迷惑駆けて…」「迷惑じゃないって言ったもん、美汐…」「…バカ。」「なんでよぅ…」
でも、去りがけに真琴「…美汐、約束…きっとだよ。」「…はい。」
首をかしげる祐一。真琴は手を振って出て行く。祐一も後を追う。
微笑で見送る美汐。



sainsainさんのページ10000HIT記念にお贈りしたSS。
そして、"真琴ほのぼの120%"というシリーズの一編として、『Ich liebe dich, so wie du mich』という話に繋がっている感じの話。

最初に3人称と書いたのは、美汐と真琴の視点移動型一人称で最初は書こうかと思っていたのですが…
頭の中でトレースしてみると、どうもうまくない感じがしたので、"夢の頃・夢の季節"のような感じで書こうかと…
美汐が出ているので、同じ感じでいいかあ!…なんて、安易に考えました(笑)

例によって、会話がきちんと書いてある部分が一番書きたかった場面でして。
だから、真琴が美汐と同じベッドに寝ながら言うセリフ…そして、迎えに来た祐一と帰る寸前、振り返っての会話…
美汐と真琴の、本当の友達って感じ…真琴の意地っ張りだけどストレートな感じ…美汐の無口だけど優しい気持ち…
その辺を書きたかったんでしょうね。
それは…きちんと書けたんでしょうかねえ… inserted by FC2 system