夢の降り積もる街で

わたしのかつてない大長編になってしまった作品です。
…でも、最初はそんなになるはずじゃなかったんだけどね。
その辺は、メモを見れば分かるのですが…


メモ

祐一は7年前の事故のことを覚えていない。
あゆは母親の事故から自分が木から落ちた事故までのことを覚えていない。

天使の人形は、結局最後の日まであゆに上げることが出来なかった。
最後の日の夜、名雪が祐一を探しに来る。
そして祐一が握りしめていた人形は名雪の手に。
今度来た時、それは悲しみが消えた時…結論を出したとき。
その時、名雪を選べば人形を処分する…
そういう約束をする。

7年前の事故。
最後の日、祐一は遅れずに"学校"に行った。
そして、木に登ったあゆに、祐一は最後だからと後から登ろうとする。
でも、ポケットの贈り物の天使の人形が落ちて、気になって落ちそうになる祐一。
助けようと手を伸ばし…落ちるあゆ。
祐一は無事に降りてあゆに駆け寄るが、あゆは目を開けなかった…
 
 

進行

1月10日 日曜日

祐一、あゆがバイトしている百花屋に顔を出す。
あゆはまだきていない。
祐一、香奈美とあゆの話をしている。
香奈美、祐一があゆのことを知っていると思って孤児院のことを
ほのめかすことになる話をする。
突っ込んで聞こうとする祐一。
そこへ、あゆがやってくる。
そして、交代して香奈美が去り…
祐一とあゆ、何となく話ができず、祐一、帰る。
その後、あゆと香奈美、孤児院のことを話す。


1月12日

あゆと女の子の朝の会話。

祐一の朝の風景

帰り、百花屋を覗く祐一。あゆは今日もいない。
入るかどうするか…一人ではまたちょっと…いっぱいだし…
そこへ、またぶつかる美衣子。
そこで祐一の自己紹介(名雪のことも)。
美衣子、祐一にハンカチを渡す。
アイロンを掛けてくれて、ヘマして二度洗った優しいお姉ちゃんの話。
お姉ちゃんがいるの?ううん、園のお姉ちゃん。園?不思議に思い、聞く祐一。
園というのは、施設のこと。祐一、ちょっと驚く。
でも、変わらず話をしながら、ちょっと待たせて百花屋に入る。
香奈美さんとちょっと話。あゆは今日は来ない…休日だけ。
祐一、うなずいてクッキーを買う。
戻って、美衣子に渡す。そのお姉ちゃんにお礼にあげて。
中身を聞く美衣子。祐一、多分美衣子ちゃんも食べれるよと答えるだけ。
そして、別れる。

美衣子、帰ってあゆと会話。
お兄ちゃんのはなし、お姉ちゃんの話。お兄ちゃんの名前。
あゆ、驚く。名前は言わなかったと聞いて、ちょっとため息。
美衣子に、今度祐一に会っても、名前を言うなという。
頷く美衣子。でも…
あゆ、考えて、やめた、今の話。
不思議そうに頷く美衣子。でも…でも…
やっぱり、口止め。美衣子、本当に不思議そうに、でも約束して去る。
あゆ、決心する。今度、祐一君に会ったら…自分から言おうと。


1月15日 金曜日
『ボクとボクの猫以外はみんな秘密を持っている』

祐一、4時ごろ目が覚める。
下に降りるが誰もいない。
名雪と秋子さんは買い物に出たらしい。
祐一、商店街へ。

あゆ、早めにバイトを終わって帰り道。
肉まんを買う…そこへ、足元にじゃれる姿。ぴろ。
あゆ、ピロと一緒に駅前のベンチへ。そこでぴろに肉まんをあげながら、ぴろと話をする。
そこへ、祐一。

祐一の声に、あゆ、思わず肉まんを落とす。
ぴろ、肉まんを加えて走っていく。
悲しむあゆ。追いかけて探すあゆと祐一…でも、いない。
もとのベンチに戻る二人。座り込んで…
「でも、どのみち…」
あゆ、悲しそうに微笑む。どうせ…飼えない。
その話から、あゆは自分が孤児院にいることを話す。
そして、あゆ、事故で1年ほど眠っていたために学年が遅れた話をするが、
その事故が木から落ちたことだということは、覚えがない。
おかあさんの事故の時に一緒に事故にあったと思いこんでいる。
祐一、あゆの寂しそうな目を見る…
あゆ、時間が遅いから帰ると言う。
祐一、明日も明後日もバイトかと聞く。
頷くあゆ。
「…でも、もっと前に言ってくれればよかったのに。」
「…え?」
「だったらこの間、百花屋のビスケット、買わなかったのにな。」
「………」
「どうせおまえ、店で食べ飽きてるだろ?」
「食べないっ」
「社員割引とか…」
「ないよっ!」
「…そうか…20で足りたか?」
「…うん。」
「…じゃ、よかった。」
「…うん。」
「………」
「ありがとう、祐一くん。」
「…ばーか。」
「何でだよっ」
二人、笑う。
「じゃあ…また明日な。」
「…うん。」


1月16日 土曜日

あゆの夢。
お母さんが目の前で…
目が覚める。
そして夢のこと…昨日のことを思い出す。
…ちょっと顔が赤くなりつつ、学校へ。

祐一、4時間終了で商店街へ。
あゆのバイトは2時からだから…とりあえず、腹に物を入れようと肉まんを買う。
…足元に仔猫。昨日の猫と気がつく。
捕まえて…さて、どうする…あゆを待つ。

あゆ、百花屋に来る。
祐一、カウンターそばの席で待っている。
香奈美に冷やかされたので、真っ先に行かずに着替えてから行くと、
祐一はちょっとそわそわしている。
昨日の事かと、ちょっと焦るあゆ。
そうではなくて…
にゃ〜ん
猫の泣き声。
祐一、あゆの手を引いて「ちょっと、外、来てくれ。」
「え?」
祐一、香奈美さんに「あゆ、借りますんで、バイトの方、お願いします。」
そして、外へでて、百花屋の窓から見えない、横の道のところへ。
「何だよっ、バイト中なのに…」
「いや…ちょっと、昨日の…」
「…え?」
どきっとするあゆ。
「ちょっと、見てほしいものが…」
「…え?」
祐一、あゆに鞄を開けて…
「…にゃ〜ん」
「あ、キミは!?」
昨日の猫。
人に馴れている様子に、あゆ、飼いたい…でも、飼えない…
祐一も、名雪のことを考えると無理…
考え込む二人。
そこへ、香里が通りかかる。「ナンパ?」「違うわっ」
猫の話をする。祐一には飼えないことは、香里にも分かる。
あゆは…
言いよどむあゆに、祐一は口添えて
「こいつんとこにも、同じような妹がいるんだよ。ミイちゃんっていうんだけどさ。」
「…あの?」
「やっぱりアレルギーなんだ。だろ、あゆ?」
あゆ、頷く。
香里、あゆの顔を見て…家で頼んでみると言いだす。
そして、仔猫を持つと、仔猫もまんざらでない顔。
あゆ、驚きながら香里に感謝。
香里、微笑みながら、見に来いという…家にきちんと居着いたらだけど。
あゆ、きっと大丈夫という。香里、微笑んで、家のことは祐一に聞けと去る。
あゆは祐一に聞くが、祐一も香里の家は知らない。
でも、電話番号は分かるし、住所も分かるから…連絡簿で。
それに、名雪に聞けばいい。
あゆ、できれば行きたいという…そうだなと答える祐一。
それから、祐一はこの件で疲れたと去っていく。
見送って、店に戻るあゆ。


1月17日 日曜日

(祐一視点)

秋子さんにもらった映画の券で、映画に行こうという名雪。
時間は5時。
その前に用事があるので、待ち合わせようと言う祐一。
場所は、駅の例のベンチ。
「2時間待たせてやろうか?」
「うー…あ、でも、券はわたしが持ってるから、祐一、映画見れないよ。」
「おっと、それはまずいか。よし、名雪。券はオレが預かってやろう。」
「いやだよ。」
「そうか…残念。」

祐一、香里から電話がなかったことを思い出し、名雪に香里の家の電話を聞く。
理由は適当に付ける。

電話。
香里、猫は無事、家に居着きそうだという。
今度、あゆと見に行っていいか聞く祐一。
香里、どうせいつも外に出ているのにと言いながら、承知する。

(あゆ視点)
夕方、百花屋へ。
あゆと会う。
世間話。そして、香里が承知した件。
ぜひ、行きたいと言うあゆに、祐一、明日でも日を決めてもらうと約束。

4時になったので待ち合わせに駅に行こうとする祐一。
バイトが終わったので、一緒に行くというあゆ。
途中、転ける。
雪を払う祐一、あゆの頭の雪を払う。
あゆ、思わずその手をはたく。
それから、謝って
事故で頭を強く打って、その手術跡がある。
それからずっと伸ばしてるけど…これだけしか延びてないし、それにそのためにちょっと形がおかしく、髪が生えてないところがあるので…
名雪や香里がうらやましい…
祐一、しばらく黙るが、あゆの額をこづいて
「どうせ、お前には似合わない。逆に、もうちょっと髪を切ったら、小学生の男の子だ。」
「うぐぅ、ボク小学生じゃないもん…ちっちゃいけど、祐一君と同い年の女の子だもん…」
「同じ年だろうがなんだろうが、似合わないと思うぞ。」
「…うぐぅ」
「…まあ、悔しかったらもっと伸ばせ。そしたら、似合うかどうか見てやる。」
「…え?」
「で、似合わなかったら思いっきり笑ってやる。」
「ひどいよっ、祐一くん!」
あゆ、離れて、振り返る。
笑っている祐一。
気を使ってくれた…その気持ちがうれしい。
「じゃあ、またねっ」
「おう。」
去りかけた時、祐一の声。
「あゆ、明日香里に予定聞いたらどうしたらいい?」
「あ…」
「じゃあ、明日の放課後、会おうか。」
「え?」
「場所は…昨日のあのベンチ。お互い、授業が終わったらってことで。」
「うん!」
駆けていくあゆ。

(祐一視点)
駆けていくあゆの後ろ姿を見ながら、何か切ない気持ちの祐一。
なんだろう…オレの思いでのかけら…
「…今の、あゆちゃん?」
振り返ると、名雪。あゆの後ろ姿を追っている。
「…ああ。」
「………」
名雪、祐一の顔を見ながら
「…祐一、本当にあゆちゃんと会ったの、この間が初めて?」
「ああ。」
「…ホントに?」
「…そのはずだけど。」
名雪、考えこむ。
祐一も考える…そのはずだ…でも…オレの…
「…行こうか。」
名雪の声に、祐一、うなずく。

夜。月が出ている。
映画後。
映画の話をしながら帰る道。
名雪、昔、二人で秋子さんを迎えに出た時の話をする。
覚えがないと言う祐一。
名雪、立ち止まって祐一の顔を見る。
そして、あの告白の夜のことをほのめかす。
やはり記憶がない祐一。
名雪、祐一の顔をじっと見ると、黙って歩きだす。
「どうしたんだよ?」
「何でもないよっ」
繰り返す名雪。
そのまま、早足で歩いていく。
その後ろ姿が、街灯に白く、淡く…
…やっぱり、名雪じゃない気がする。オレンジ色の後ろ姿。
それよりも、あゆ…
揺れるリボン…
いや、きっとあのリボンはあゆが事故の後、手術跡を隠すのに付けているのだろう…
でも…
月を見あげながら、祐一は思う。
今度あゆに聞こう…その機会があったら。


1月18日 月曜日

(あゆ視点)
目覚め。
今日の放課後に祐一と会う事を考え、ちょっとドキドキ。
でも、用事があるだけだと自分を戒める。
ボクなんか…

(祐一視点)
着替えて階段を降りると、名雪が既にいる。
名雪、少しだけ無口。
朝のトーストにイチゴジャムを食べて、家を出る。
行く途中、名雪
「…焦らなくてもいいけど…思い出して。」
「…ああ。」
祐一、あゆの、あの少女のことを思いながら…
校門で香里と会う。
猫の件、話そうとするが、名雪がそばにいるので後にする。

昼休み。
美坂チーム食堂で昼食後、部の事で別行動する香里と共に名雪、北川と別れる。
そこで猫の件を言う。
土日はあゆのバイトだが…日曜なら…?まあ別に開いている。
香里、廊下のポスターを指差す。明日は半ドンだから、あゆの都合さえ付ければいいのでは?来る時に電話すれば。
祐一、住所を聞く。あゆに聞けば住所だけで行けるだろう。
「あの子と一緒…よね?」
「ああ、もちろん。」
香里、ちょっと複雑な顔。

(あゆ視点)
放課後。
急いでベンチへ。まだ祐一は来ていない。
ほっとするあゆ。
そして、ベンチに座って、祐一を待つ。
…デジャヴ
いつか、同じことをしていた気がする…

(祐一視点)
放課後のチャイム。
祐一、急いで教室を出て校門を抜け、商店街を抜け…
デジャヴ
こんなことが…
確か…
そして、あゆがいる。
明日のことを言うと、あゆも明日は早い予定。
またここで待ち合わせにする。
それで解散…というのも何となく二人とも嫌で、
そういえばお互いの借りを返そう、ということで肉まんとたい焼きを買おうとするが、
たい焼き屋は今日も休みか見当たらず、それなら揃って返そうと、肉まんも買わない。
ゲームセンターの前、クレーンゲームの話。
あゆはクレーンゲームは好きだけど、お金ももったいないし、あんまりやったことがない。
そういえば、前にとても欲しかったものがあった…なんだっけ…
祐一、クレーンゲームを見つめるあゆに、またなにか…デジャヴ。
思わずリボンの件を聞く。お母さんがよくしてくれたから、昔からしてた…
でも…7年前の冬、ボクは眠ってた…
そうだった…
息を突く祐一に、あゆはちょっと不思議そう…
と、もう時間。
二人は別れる。

(あゆ視点)
帰り道。
祐一の言葉を思い出す。
白いリボン…退院した時、事故のときにしていたという汚れたリボンを返してもらった…
お母さんが買ってくれた物。お母さん…
あゆ、首を振って駆け出す。
明日…猫ちゃんに会えるしねっ
…祐一くんと一緒だし…
いいよね…用事があるんだもん…
こんなボクに…付き合ってもらっても…


1月19日 火曜日
『思い出はダイアモンド』
(舞踏会準備のため半日)

(祐一視点)
朝、名雪と走って登校。何となく、街にも馴れてきた気がするという。頷く名雪。
校門で香里と出会う。さり気なく香里に「例の件、頼む。」「分かったわ。」
不思議そうな名雪に、祐一「今度からパンティは同じ黒でもレースのスケスケにしてくれって話。」「うわっ、何で香里、そんなのOKするんだよっ」「何の話よっ」
祐一、笑いながら教室へ。

昼。授業終了。帰ろうとする香里に念押し。「分かってるわよ。」「おう。」
そして名雪と帰宅。

(あゆ視点)
友達と自分の手作りのお弁当を食べ終えたあゆ。(なかなかだよっ。祐一くんに食べさしてやりたいよねっ)ふと、窓の外を見る。
晴れた空。今日は猫ちゃんに会いに行くんだ…祐一くんと。楽しみ…
ふと、向こうに見える森。木に積もった雪が白く光って…
…何でだろ。いつも…恐い。あの森…ううん…あの森の木…大きな…
「あゆちゃん?」「…え?」声に振り返り、笑い返す。
「何でもない。」うん。何でもないよ…
ああ、今日は早く終わるかな…楽しみ…

(祐一視点)
百花屋へ。香奈美がバイト中。
「サボり?」「舞踏会で半日です。」「…あ、そうか。」
実は香奈美さんは同じ高校出身。「…先輩?」「…やめてよ。」嫌がる香奈美。
と、ニヤニヤ。「今日はあゆちゃん、いないわよ。」「分かってます。」
コーヒーをオーダー。持ってきて、また向かいに座る。
「で、あゆちゃんとの進展は?」「…何もないですよ。」「またまた」
土曜日の連れ出しの件をつっこむ。「あれは…猫が。」「猫?ああ、あゆちゃんが言ってた…」「あゆに聞いて、知ってたんじゃないですか。」「あはは。で、その猫、どうなったの?あなたの知り合いにもらわれて、大丈夫だったの?」
「はい。それで、今日…」口を滑らす祐一。香奈美、ニヤニヤ。
「ふうん…」祐一、あわてて「あ、いや…」
「お待たせっ」その時、駆け込んでくるあゆ。にっこりする香奈美さん。はぅ…

香里の家の前。普通の家。でも、ちょっと緊張のあゆ、そして祐一。
チャイムに出てくる香里。応接間に案内される。
ちょっと待つように言って去る香里。緊張した顔のあゆ、部屋を見回して、
ふと写真立てに目が止まる。香里と少女の写真。香里が中学くらい?
あゆ、どこかで見たことある少女だと…
そこへ香里が猫とお茶を持って戻る。猫とたわむれるあゆ。
祐一、そう言えば猫の名前は?香里、ちょっと躊躇して…『しおん』
あゆ、つぶやいていて、ハッと思い出す。栞ちゃん…そう、栞ちゃんだっ!
叫ぶあゆ。香里、ギクっとしてあゆの顔を見る。
6年前、あゆが目が覚めてから退院するまで一緒の病院にいた少女。
香里も思い出す。ああ、あの髪の短い女の子…
そういえば、よく話をしていた。あゆが退院の日にみんなを励ましに回っていて、
その時1回だけ香里は会った。元気に、栞もきっと退院できるからと励ましていった…
「あの後、婦長さんに叱られたけど。他の患者さんもいるんだからって。」「あはは」
「そういえば、栞ちゃんはどうしてるの?」「…死んだわ。3年前に。」
「あ…ご、ごめんなさい。」「…いいのよ。」香里、微笑む。
「もう3年…だから、この子と会ったのはきっかけだと思ったの。」
香里、仔猫を抱える。「そうか、あのあゆちゃんだったのね…」「…うん…」
ちょっとしゅんとしているあゆ。猫を撫でながらあゆを見る香里…

帰り際。玄関まで猫を持って見送る香里。
あゆ、猫に向かって「いい人にもらってもらえて良かったね、しおんちゃん」
「にゃ〜ん」微笑む香里。暇乞い。
しばらく歩いたところで二人は別れる。

(あゆ視点)
帰り道。ホントに、栞ちゃんのお姉ちゃんなら安心だ…
…死んじゃったんだ、栞ちゃん…可愛くて、優しくて、ホント、友達だったのに、
ボクが退院してすぐに転院して…
…ボク、生きて、目が覚めているだけでも幸せだね。
だから…やっぱり、ボクも思い切って、祐一くん…


1月20日 水曜日
『約束』

(あゆ視点)
あゆ、昨日のことを思いながら布団の中。
ミイちゃんがやってくる。電話だという。
電話は香奈美さん。頼まれて4時から7時までバイトする事に。
部屋に戻りながら、ミイちゃんと話す。
ミイちゃん、遊びに行こうという。でも、土日はバイト…
日曜の朝だったらいいかな?
どこで何をするかは、夜までに考えるよ…

(祐一視点)
学校にて。
香里と話す機会がある。香里、例によっての名雪の件を言い出さない。迷いのような。
あゆのこと『あの子…いい子よ。』『…ああ。』

いつものように商店街に来た祐一、あゆの姿を見かけて百花屋に。
からかいながら、最後までいる祐一、あゆを園まで送る。

(あゆ視点)
園への帰り道。
あゆ、昨日の決意を胸に、祐一にはっきり言おうとする…
そこでミイちゃんと遭遇。
日曜の午前中、どこに行くか聞くが、あゆ、考えてなかった。
ミイちゃん、祐一も一緒に行こうと言い出す。
祐一も苦笑しながら同意。公園でピクニックと約束。
もちろん、弁当はあゆ。(目に物見せてやるよっ)
そして帰る祐一。
見送って、その時、きっと…でも、ミイちゃんもいるんだよね…
ちょっと恨めしくミイちゃんを見るが、すぐに笑って園に入る。

(祐一視点)
夜。名雪に日曜日、また映画に誘われる。今度は午前。
断る祐一。理由を聞かれて、曖昧に答える…


1月23日 土曜日
『Friends or Lovers』

(祐一視点)
朝。名雪は朝練で出かけるところ。朝食を食べていると秋子さんが、今日も昼、仕事でいないと言う。お弁当でも作ればよかったかもと言う秋子さんに、祐一、外で食べるから構わないと言いながら、あゆのことを考える。今日はあゆ、バイトだよな…
朝の登校風景。学校に着くと香里がいる。教室で世間話的に『しおん』の話。遠出するのはいいけど、街の外れの丘や森に行ったりすると…ちょっと心配と、香里。森?祐一、窓から外を眺める。遠く、わずかに見えるも人の木々…
イメージ。白い雪。オレンジ色。少女の声、そして…
祐一、思わず目をつぶる。思い出したくないことが…
香里、『どうかした?』その時、名雪が教室に駆け込んでくると同時に予鈴。みんな席に着く。

(あゆ視点)
チャイムの終わりと共に教室を出る。今日はお弁当を持って、百花屋で食べてそのままバイトのつもり。
百花屋に行くと、香奈美さんがいる。あゆのその張り切りぶりに、祐一が来る約束でもあるのではと茶かす。あゆ、あわてて反論して、そして香奈美さんのデートの首尾を逆に聞く。苦笑する香奈美さん。首尾は上々らしい。笑いながら、あゆもちょっと祐一が来てくれるのではと期待して…

(祐一視点)
あゆのバイト中に祐一が来る。明日のことで話をしていると、香里と名雪が百花屋に来る。
気まずい雰囲気。そこへミイちゃんが飛び込んでくる。明日の話を大声でする。
帰り際、ため息をつく香里、祐一に帰らないのか聞く名雪。時計を見て、もうすぐあゆのバイト終了時間…
もうちょっとしたらという祐一、去る二人。
バイト終了。着替えたあゆとミイちゃんを取り合えず途中まで駅まで送る祐一。
そこで用事から帰った秋子さんと会う。秋子さん、あゆの顔をまじまじと見て
「…ひょっとして、あなた…名前は…」「…月宮あゆ、ですけど。」
驚く秋子さん。不思議そうな顔の3人。でも、すぐに平静に戻る秋子さん。
帰りに商店街で買い物と聞き、そこであゆとミイちゃんと別れて秋子さんと商店街に。
途中、秋子さんが祐一に「あゆちゃん、無事だったんですね。」
「え?」何の事か分からない祐一。その顔をまじまじ見ながら秋子さん、
「…あの木のことを覚えてますか?」「木?」「街外れの森の、一番大きな、街のどこからも見えた木のこと。」祐一、秋子さんの視線につられて見るが…何もない。
「…見えませんが。」「…あの木は、切られてしまったんです。7年前に…」
一瞬、大きな木の姿。赤い夕日。木漏れ日。そして…
「…分からない…覚えてないです。」「…そうですか。」
秋子さんは微笑む。そして、何事もなかったように買い物をして帰る。

(あゆ視点)
帰り道。ミイちゃんと、明日が楽しみだなと言って…

(祐一視点)
夕食後
自室に戻ろうとする祐一に名雪が話があるという。
祐一の部屋に行く。名雪、「明日…あゆちゃんとピクニック?」
「…いや、前にミイちゃんと約束したから…」「前って?」
「木曜日…」名雪、黙って祐一を見る。涙。
「…それが祐一の結論なんだ。」「え?」
「あたし、待ってたのに…約束どおり、待ってたのに…なのに祐一、あの子じゃなくて…わたしでもなくて…あゆちゃんなんだ…」
「…名雪…?」

イメージ。涙の少女。頭に積もった雪。
『祐一、そんなにあの子の事…』
『…でも、わたし…』
『だから、もし…もしも祐一が、あの子の事…』

「…名雪?」
名雪、答えず自室に戻る。祐一、呆然と見送る…オレは…あの冬…分からない…


1月24日 日曜日
『Fall in Love, Falling, Fallen Angel』

(あゆ視点)
ドキドキしながらお弁当を作っているあゆ。
ミイちゃんが起きてきて、うれしそうにはしゃぐ。
お弁当、オーケー。
…着る物もちょっとだけ、よそ行きで…
さ、出かけよう!

(祐一視点)
朝、待ち合わせて公園に。
お弁当を広げ、早めの昼食。あゆの弁当、思ったよりもうまい。
ミイちゃんは早くに食べ終わって遊んでいる。
そんなミイちゃんを見ながら、祐一と話すうち、ミイちゃんの自分を重ねるあゆ。
昔の事、お母さんの事…思わず涙ぐむ。
祐一、思わず抱きしめてキス…
祐一、あゆが好きだと完全に実感する、その瞬間。
ミイちゃんの声。振り返ると、ジャングルジムの上。
「危ないぞ…」
「大丈夫っ…あっ」
足を滑らせ、落ちるミイちゃん。
祐一、手を伸ばして…
…落ちる少女の姿を思い出す。
あれは…間違いなくあゆ…
ミイちゃんは腕の中。呆然とする祐一。
もうバイトの時間なので、あゆ、あわてて片付けてバイトへ。

(あゆ視点)
もうバイトの時間なので、あゆ、あわてて片付けてバイトへ。
ミイちゃんとも別れて、百花屋へ急ぐ。
ちょっと顔、赤らめて…

(祐一視点)
祐一は…あの木のところへ。
そして、事故の全てを思い出す…(名雪との夜のことや、あゆとの途中のいきさつは後で)

(あゆ視点)
バイト終了。
祐一が来なかったことを不思議に思うあゆ。
と、祐一が現われ、あゆを抱きしめると、涙を流し、
「…ごめん…あゆ…」
「…え?」
「…オレ…オレが…」
そのまま、走り去る。呆然と見送るあゆ。


1月25日 月曜日
『Memories』

(祐一視点)
朝。名雪は先に登校している。不思議がる秋子さん。祐一、コメントなし。

(あゆ視点)
昼休み。昨日のことを思い出してドキドキ。
友達にからかわれる。でも、夕方の祐一くん、あれは一体…

(祐一視点)
祐一、昼過ぎに階下に。
テーブルの上に秋子さんの置き手紙。でも、食欲はない。
ふらふらとコートを着込んで外に出る。
少しずつ思い出しながら街を歩いているうちにあゆに出会ってしまう。
あゆ、昨日のことでちょっとどぎまぎ。
祐一は過去のことで…
互いになんとなく気まずい感じで、商店街を歩く。
ゲームセンターの前。今度は祐一が誘って入る。
あゆはDDRはもうご面と言う。クレーンゲームの前。
祐一は過去を思い出すが、天使の人形は中にない。
執拗にどれかほしいのがあるか聞く。少し不思議そうなあゆ。中の猫を指差す。
でも、結局取れずに外へ出る。
夕日の街。過去のイメージ。祐一、思わずあゆの手を握る。
あゆ、ちょっと躊躇して、でも握りしめて…
その時、正面に名雪。
二人を見つめて、驚いたように、何かを思い出すように…走り去る。
呆然と見送る二人。別れて帰る。

食事後。名雪は食事中もしゃべらず、さっさと自室に行った。
祐一、ぼんやりとあゆのこと、そして自分がどうすればいいのかを考える。
秋子さん、お茶を持って登場。
先日の秋子さんの言葉を思い出し、あゆのことを話す。
秋子さんは事故の件を当然知っているが、あゆは死んだものと思っていた。
『あゆの怪我はオレのせい…どう償えば…』
祐一の言葉に、秋子さんは首を振って『償いなんて考えるのは…』
カタン
廊下の向こうで物音。歩いていって祐一が覗くと、誰もいない。ただ、外の冷たい風がかすかに…
祐一、秋子さんに首を振ってみせて、そのまま2階へ上がって自室へ。
ベッドに転がり、考えながら…

(あゆ視点)
祐一のことを思い、ドキドキしたり…
でも、昨日の夕方といい、今日といい、少し妙な感じ…
と、そこへミイちゃん。お客さんが来ているという。
言ってみると、名雪。思い詰めた顔。
上がれというあゆに、名雪は首を振って外へ。
ついて行くあゆ。名雪、ホームから少し離れた灯の下、立ち止まり
「…あゆちゃん、だったんだね。」「え?」「…ひどいよっ」
名雪、あゆの服の襟を掴むと
「あゆちゃん…祐一の気持ち、つけ込むのは止めて!」「…え?」
「それは、あゆちゃんの事故、祐一のせいかもしれないけど、それを利用するような…」
「え?え?」わけがわからないあゆ。
名雪、そんなあゆの顔を泣きながら見つめて
「あゆちゃんが木から落ちて…祐一、あなたが死んだと思って…だから、すごくショックで。もう、ひどい状態で…でも、わたし…わたし、祐一が好きだったから。あれからもずっと好きだった。だから、ずっと待ってた…待ってたのにっ!約束、信じて…待ってたのに…なのにっ!」「名雪…さん?」
「他の娘ならまだ…だけど、あゆちゃんだなんて…夕方見たとき、まさかって思った…でも…やっぱりそうだった。そうだったんだ…」「ボ、ボク…」「…祐一の罪悪感につけ込むのは止めてよっ!そんなの…ひどいよっ!!あゆちゃん!」「ボクは…そんな…」
「もう、祐一の前に現れないでっ!顔を…姿を見せないでっ!近付かないでよっ!!近付いたりしないでっ!!」
叫んで、あゆを突き飛ばして名雪、走り去る。
あゆ、尻餅のまま、呆然と…
何を言ってるの?ボクの事故は…おかあさんと…
イメージ。笑う祐一。大きな木。落ちそうになる祐一、手を伸ばして…
…嘘でしょ?まさか…だって…
雪の中、呆然と座り込んでいるあゆ。


1月26日 火曜日
『赤い瞳・紅い涙・大きな大きな、大きな木』

(あゆ視点)
昔の夢。おぼろげなシーン。
目覚めるあゆ。夢を思い出すが…確信は持てない。
でも…夢だと、嘘だといえない自分がそこにいて。
そして…祐一の言動…ひょっとして、祐一くん、キミは…
信じたくないけど…だけど…

(祐一視点)
朝。昨日よりはましだが、やはりよく眠れなかった祐一。階下に降りると、名雪が既に起きている。食卓で祐一を見て、一瞬、迷うような…でも、いつものように話し掛ける。
とまどう祐一。でも、名雪はいつも通り…いや、いつもより積極的に話し掛けてくる。
登校途中、今日の予定を聞く名雪。祐一、あゆのことを言う気にはならず「いや…何も。」「本当に?」「……なんだよ、名雪。」「…ううん、ならいいんだよ。」不審に思う祐一に、名雪は明日は部活が休みなので、一緒に帰ろう、いや、商店街に行こう、今度はイチゴパフェをおごってくれなくてもいいから…祐一、とまどう。
と、そこへ香里。名雪、香里への挨拶もそこそこに祐一に迫る。「ね、行こうよ」「…考えておく。」「考えておくじゃなくて、ねえ、祐一…」「…名雪…」
その時、予鈴。「あ、大変だよ」駆け出す名雪。苦笑しながら後を追おうとする祐一…香里に声をかけようとする。でも、香里は名雪の後ろ姿を、顔をしかめて見つめていた…

放課後。見ると名雪は眠っている。祐一は名雪が起きる前に教室を出て商店街に向かう。
あゆに何といったらいいのか、まだ分からないまま…謝る?償いは?でも…
そして、商店街であゆと出会う。

(あゆ視点)
あゆもまた、混乱している…祐一、それが分からない。またクレーンゲームで人形を取ってやるとか、いつものツッコミもなく妙に優しい祐一。あゆ、なぜいつもと違うか思い切って聞くが、祐一は曖昧に答えない。あゆ、そんな祐一に、疑惑が脹れ上がる…そして、思い切って言う。
「…ちょっと、行きたいところがあるから…ついてきて。」
「…あ、ああ。」
そのまま、森へ向かう。

(祐一視点)
森へ向かうあゆ。森の入り口まで来て、あゆの決心を知る。止めようとする祐一、でもあゆはそんな祐一を見て森へ駆け込んでいく。後を追う祐一。木々の間を抜けて、走っていくあゆの後ろ姿を懸命に追って…目の前が開ける。
思い出。この場所に初めて来た日を、完全に思い出す。

(あゆ視点)
(祐一の回想シーンから自然に)
そう、ここに来たのはそうやって…そして、あの朝…あゆの目から見た事故の日の出来事。すべて思い出す。
「…ボクはここから落ちた…そう、落ちたんだ…」
呆然とするあゆ。祐一、あゆを抱きしめて
「すまない、オレは…オレは…だから…」
あゆ、呆然とする中で、祐一の言葉を聞く
「オレは…どうしたら償えるんだ…」
「…償い?」
あゆ、祐一の手から離れて祐一を見る。涙。
「…祐一くん、知ってたんだね…知ってて、ボクに黙ってた…」
「…あゆ、オレは…」
「…ボク…ボクは…ボクが可哀想だから?責任が…あるから?だから、祐一くんは…」
「…あゆ?」
「…そうなんだ。祐一くん…そうだったんだねっ!」
あゆ、祐一の優しさ、好意に見えたものが全て同情と責任だったのだと…
「…そんな…そんなもの、いらないっ!いらないよっ!!」
叫んで、あゆ、駆けだす。
森の中を駆けながら…涙で前が見えなくなりながら…駆けていく。

(祐一視点)
祐一、追うこともできずに呆然とあゆを見送る。
駆けていく後ろ姿…重なる7年前。
あゆが自分を拒んだのは、自分のせいであゆが落ちたせいだと…それであゆも混乱しているのだと、そう思って自分を責める。

(あゆ視点)
そのまま、何度も雪の中、転びながら園に戻るあゆ。自室に入り、ドアの鍵を閉めて…クッションに顔を埋めて、泣き伏す。
祐一くんが優しかったのは…結局、そうなんだ。どうせ、ボクは…ボクなんか…


1月27日 水曜日
『Last Piece』

(あゆ視点)
夢。7年前の夢。
目覚めて、確信する。でも、どうしてボクの記憶は…
呼びに来たミイちゃんに、あゆ、具合が悪いから学校を休むという。
心配するミイちゃんに、あゆは大丈夫と言って…ミイちゃん、去る。
あゆ、息をついて、ベッドに転がって、窓の外の空を…青い空をぼんやり…

(祐一視点)
あゆが落ちる夢からの目覚め。
見上げると…窓から青い空。
祐一、息をつきながらも起き上がる。また休んでここにいてもどうにもならない。
でも、何をしたら…
降りると、名雪が起きている。
祐一、朝食を抜こうとするが、秋子さんに押され、パンを一枚…自分への嫌悪感で吐きそうになりながら食べる。
先に出た名雪の後を外へ。名雪は歩きながら、今日の帰りのことをまた言いだす。
祐一、そんな気分ではない…断らなくてはと思う…でも、言えず…
そのまま学校へ。香里、祐一を不審そうに見ている。祐一、何も言えず…
 

(あゆ視点)
あゆ、昼近くになって部屋を出る。
廊下を歩きながら、考えつづけている。
なぜ自分があの冬のことを覚えていないのか…ボクはおかあさんと事故に遭ったんだと思ってたけど、そうじゃない記憶が…これはいったい?
そのまま、とあるドアの前に立つ。『園長室』
あゆは躊躇しながら、ドアを叩く。
入れという声に、あゆは戸を開けて入って…
「どうしたのですか?」「園長先生…一つだけ、ボク…教えてほしいことが…」
「……なんですか?」あゆ、一つ息を呑んで、「園長先生…ボク…」

(祐一視点)
放課後。一緒に商店街に行こうと寄ってくる名雪。
でも、そんな気分になれない祐一。まして、名雪と百花屋へ…香奈美さんが、そしてひょっとしたら…あゆが…
「…オレは…行かない。」「祐一…?」「…じゃあな、名雪。」「祐一っ!」
祐一、ドアから出て行く。
と、腕を掴む手。見ると…
「…離せよ。」「………」
香里が祐一の腕を掴んでいる。
「相沢くん、あれじゃあ…」「………」
「そりゃあ、二人のうち…どっちを選んでも、それは…」「……選ぶ?」
祐一、香里の顔を睨む。
「……選ぶ…オレが選ぶ…」「…そうでしょう?だから、相沢くん…」
「……オレが…」祐一の頭に、二人の…泣いている顔。そして…それは自分のせい…
「……いい加減にしてくれ。」「……え?」
「…お前に何が分かるんだよ。何が…分かるって言うんだ?」
香里に叫ぶ祐一。通り過ぎる生徒たち…でも、そんなの関係ない。
「オレに何を選べって?どちらを…傷つけて、泣かせるかを選べって言うのか?オレは…」
「相沢く…」
「…オレは結局…あいつをあゆを傷つけて、泣かせて…それだけじゃないか。そんな…それを、何を選べっていうんだよ?オレがあいつを選ぶ権利なんて、そんなもん、あるわけがないじゃないかっ!オレは…」「……相沢くん…」
「……離せよ。離せってんだよっ!」
叫んで、腕を振って…
「……離して…くれよ…」
力が抜けるように、手を下ろす祐一。
香里は黙り込んで…手を離す。祐一は振り返って歩きだす。
…香里の遠ざかる足音が聞こえる。祐一はまわりの視線など感じもせず、歩いていく…

(あゆ視点)
あゆ、部屋のベッドで寝転んでいる。
回想:
園長先生はあゆの言葉に頷くと、自然に思い出すまではそっとしておいたのだと…
「ということは…」
「ええ。あなたは…お母さまと事故に遭ったのではなく、木から落ちて怪我をしたのです。
「でも、ボクの記憶が…」
「……あなたは、お母さまが目の前で事故にあったショックで、記憶喪失になって…初めてこの園に来た時、あなたは…それまでの記憶を失っていたのです…」
「………」
目の前で車に轢かれる母親の姿を思い出し、あゆは目をつぶる…
…そしてベッドの上で、あゆはその後に起こったことを…祐一とのことを少しずつ思い出して…涙。
 

(祐一視点)
祐一、愛育園の前でミイちゃんと会う。
ミイちゃんにあゆが休んだことを聞き、何も言えずに去っていく。

(あゆ視点)
ミイちゃん、帰ってあゆのところへ。祐一が来ていたことを言う。
涙するあゆ。ミイ、驚いてあゆに、『なんで泣いてるの…祐一お兄ちゃんのせいなの?」
あゆ、何も言えず、ただ首を振って涙…

(祐一視点)
呆然と、遅くなって帰る祐一。家の前、待っていた名雪に、ぼんやりと中へ入ろうとして
「…あゆちゃんに会ってたの?」
「………」
「…もう、会わないでって、わたし、言ったのに…」
「…名雪?」
「だって、卑怯だよ、あゆちゃん。だから、あたし…」
「…名雪」
「祐一、どうしてあんな子…あんな、卑怯な子にっ」
「名雪っ!」
思わず、名雪を叩く祐一。雪の上、倒れる名雪。
「お前、なにを…」
「だって…わたしと約束したじゃない、祐一っ!」
「約束?」
「7年前、あゆちゃんが…事故に遭ったあの夜、わたしと…」
「………」
見上げる名雪。涙ぐんだ瞳。降りだした雪…
思い出す。あの晩のこと。
だとしたら、名雪が…待っているのは、オレが言ったから…
呆然とする祐一。
名雪、立ち上がると家の中に駆け込む。
祐一、呆然と雪の中、立ちつくす…

続きます…

このへんまでが、以前から暫定版として公開していたメモ。

…見ると、いかにいい加減にこの話を始めたかが分かりますねえ(苦笑)
なんたって、大元のメモというか、ストーリーの元となるべきアイディアの部分、あゆの事故と人形の話の詳細メモ…
…ていうか、結局書いてあるのは、詳細でも何でもないし(汗)
だいたいが、何回か話を書いた時点で、やっと固まったんだよね、メイン3人の過去…

だからだったりするのです。
1月10日までのメモがない理由。
だって、マジで何も考えずに、ただあゆと祐一、二人とも過去を忘れているってだけの設定で書いてたんだもん <をい

それに、最初のうちは行き当りばったりで視点移動してたし…
メモを見れば、最初の方は(××視点)っていうのがないので、それはよくわかると思うんですけど。
あと、1月19日あたりからようやく、題名がメモに書いてあるようになっているのも、それまでは書き始めてから題名を考えてたからです。
…すっげえ、いい加減…

まあ、呆れる話はそのくらいにしておいて。
ここまでのメモに関しては、だいたい書いてあることがそのまま本編に書いてあります。
もちろん、会話の内容などの詳細は、その場でふさわしいと思うように書き換えることはあるのですが…ほぼおんなじですね。

でも、それってあたり前だったり。
だって、このメモたちはだいたいが"話を書く直前に、その回のメモを書く"ようにしていたからです。
…って、そういうのってメモじゃなくって、下書きって言わない?(苦笑)
ていうか、まあ…予行演習って感じかな?
頭の中でシーンを走らせて、とりあえずそれをざっとメモして…それに従って、思い出しながら話を書く。
だから、だいたいシーンの要となる会話とか、そういうのを書き留めてあるわけで。
これを見ながら、そのシーンをふくらましながら書いて…書いては、その部分のメモを消していく。
そんな感じで書いていましたから…

この書き方は、『あなたとめぐり逢うために』以来、ずっと使っている書き方です。
その中でもこの話のメモは、毎回詳細に書いていて…その意味で、参考になるかもしれません。
ところが…
 

メモの続きへ

inserted by FC2 system