Eine Kleine Naght Musik 2…Oder Eins


舞SS。ここから実験作へと移行。

では…

-----

…で、どうだ、美汐。お前、オレを説得できるネタ、思いついたか?
「………」
…だろうな。じゃあ、オレのエンドを書いてやろう。それはな、こうだよ…

-----

Eine Kleine Naght Musik 2…Oder Eins
 

「…やめろ!!」

凍った舞の瞳は
オレを見据えたまま
指の力が

舞の顔は
赤黒く
体が
びくびくと

「やめろ!!」

オレは力を振り絞って
舞の方へ突進した。

力がオレを弾き飛ばす。

「…無駄なことね。」

舞の凍った瞳がオレを見た。
その指の力が抜けて
舞の顔に血の気が戻る。
わずかにその目が開いて
オレを見て
そして
舞は

「…あなたが死ぬしか、救いはないの…」

舞は再び指に
舞の首の指に
力を込めた。

「だめだっ!」

オレは右手をついた。
何かが触った。
剣。
舞が置いた剣。

夢中で掴み
剣を杖に立ち上がり

「その手を…離せ!」

オレは
舞に

舞は
凍った瞳の
オレを見た
舞の
瞳が
まっすぐにオレを
オレの瞳を
見て
一瞬
その顔が
微笑んだ
ような

ドン

剣の先は
舞を貫いて
赤い血が
剣を
オレの手を
染めて
濡らして

凍った瞳の
舞の瞳が
オレを
弱く
光って

「…ありがとう…」

舞の腕から
舞が床に落ちて
転がって

「…これで…わたしは…」

オレの腕の中に
凍った瞳を閉じて
倒れ込んだ舞は
微笑んで

「…舞?」

オレの声に
舞の瞳は
ゆっくりと
ゆっくりと
開いて

「…ゆうい…ち…」

涙で濡れた瞳から
舞の瞳から
涙が
落ちて

「…舞?」

消えた。

舞は…消えた。

冷たい月の光の中に
転がった舞が
かすかに体が動いて
ゆっくりと
ゆっくりと
顔をあげて

その目がオレを
オレを見た舞の
瞳に
光が

オレはそのまま気を失った…

<to be
-----
「ちょっと待ってください」
…なんだよ。まだ後書きには早いよ。
「こんな所で終えるんですか?」
…そうさ。これが今の…オレの考えうるエンド。
「それで、舞さんを救ったつもりですか?」
…救っただろ。救われなかった舞は、救われた舞を殺すか…あるいは自分が死ぬかしなきゃ救われない。論理的な決着。
「馬鹿らしい。全然救われてないでしょう。その証拠に、あなたがこの後に書こうとしているエピローグ、言ってみましょうか?」
…ばか、ネタを…
「どのみち、わたしが書かせませんから。この後、相沢さんが病室で目を覚まします。そして、知る。舞さんが病院を抜け出してしまったことを。そして、この街を去ったことを。相沢さんは、退院して探すけれど、舞さんの姿は…」
…そうさ。それがエピローグ。そうしかこの話の決着はつかないだろ。
「なんの決着もついてません。最悪です。最低です。あなたの持論の『キャラを幸せにするー』はどうしたんですか?」
…もう…やめたんだ。嘘じゃないか。
「嘘じゃありません。できるはずです。拗ねるのはもうやめましょう。あなたは…本当はこんなエンドを考えてんじゃなかったはずです。」
…それは…
「元々、この話には違うエンドがありましたね。そのはずです。」
…いや…あれは…ベタベタ過ぎで嘘っぱちの最低なエンドだから。バカらしいもんさ。
「構いません。それを書くべきです。書けるはずです。あなたは…舞さんを愛しているなら…救えるはずです。」
…あんなものを書くのは…おれの物書きとしてのプライドが…
「あなたのちゃちなプライドなんて、どうでもいいことです。書きなさい。救いなさい。」
…いいだろう。書いてやるよ。でも…多分、お前も笑っちゃうぞ。
「笑いません。書くなら。」
…分かったよ。じゃあ、書いてやるさ…

<to be continued>

<Back< 元のページ >Next>

inserted by FC2 system