イヤかの 4
 
 

(注) まず、イヤかの 1〜3を読んでね(はぁと)

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また夜に斉藤が来た。
 
 
 

名雪と斉藤が部屋に入ったのを確認して…
 
 
 

俺は部屋の電気を消した。
 
 
 

そして…
 
 
 
 

ポスターの下半分の画びょうをはずし…
 
 
 
 

ポスターの裏の壁にある小さな穴から、名雪の部屋を覗いていた。
 
 
 
 
 
 
 

見たことの無い名雪の裸。
見たことの無い名雪の表情。
 
 
 
 
 

綺麗だった…
 
 
 
 
 
 
 

「ははは……一体何してるんだろうな、俺は…」
 

ごみ箱の中身が増えるたびに、むなしさと罪悪感も増えていった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

今日も斉藤が来た。
 

でも、その日はいつもと違っていた。
 
 
 
 
 

コンコン
 

「祐一、いる?」
「ああ」
「ちょっと頼みがあるんだけど…いいかな?」
「なんだ?」
「買い物に行ってきて欲しいんだけど」
「いいよ、何を買って来るんだ?」
「買ってくるものとお店は、この紙に書いてあるから」
「分かった」
 
 
 
 

名雪と斉藤に玄関まで見送られながら、俺は靴を履いた。

正直、アノ最中には家にいたくないというのが本音だ。
その反面、あの部屋から出たくないという気持ちも半分はあるが…
 
 
 
 
 

「じゃあ、お願いねっ」

チュッ
 
 
 
 
 
 
 

へ?

頬に柔らかい感触。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

俺が呆然としていると…
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「な、名雪ーっ!相沢に何してんだっ!!!」

「え?いってらっしゃいのキスだよ?」

「名雪…なんで相沢にそんなこと…」

「……わたし、祐一の事嫌いじゃないし…」
 
 
 
 
 

え?今なんて?
 
 
 
 

「じゃあよろしくね〜」
 
 
 
 
 

名雪に押されて玄関を出る。

中ではまだ斉藤のわめき声が聞こえている。
 
 
 
 
 
 

これは…
 
 
 
 

もしかして、俺にもチャンスが?
 
 
 

一緒に暮らしているうちに名雪は俺の事を?
 
 
 
 
 

「ひゃっほう〜」

さっきの頬の感触を思い出しながら、俺は紙に書いてある店に走った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「うぐぅ…そこの人!」

走っていると、前から誰か叫びながら走ってくる。
小さな体。
長い髪。
そして頭には、2本の長いつの。

…つの?

「はりけーんみきさー!!!」
 

つのを前にして体当たりをしてくる女の子。
でも今の俺にはそんなもの通用しない。
体を半分ずらし、肩で相手を逆さまにかつぎあげ…
 

「なんのっ!キンニクバスター」

ぐきっ

「うぐぅ…」
 

「ははは、今の俺にへのつっぱりは効かんのだ」
「うぐぅ…言葉の意味は分からないけど、とにかくすごい自信だよ…」

バタッ

そう言って女の子は倒れた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

しばらくすると、電柱のかげから、誰かが出てきた。
そいつは、全身を使い古した毛布のような布で被っていた。
「やっと見つけた…」

女の子の声?誰だ?

周囲にただならぬ空気が漂い、少女は纏っていた布を投げ捨てた。
 

しかし、全然見覚えがない顔。
そしてその手には…ボクシングのグローブ?
 

「あんただけは許さないからーっ」
そう言って殴りかかってきた。

でも、はっきりいってそのパンチはへろへろだ。
当たっても大してダメージはないだろう。

しかし、今のハイテンションの俺は…
 
 
 
 

「ブーメラン…テリオス!!!」

バゴー−−−−ン

豪快に吹っ飛ぶ女の子。
 
 
 
 

「あ…あぅ…その技は…まさか…あの…」
ガクッ

そこまで言って、気絶したようだ。

しかし何が『まさか…あの…』なんだ?(笑)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

さらに歩いていくと、前からストールをはおった女の子が歩いてくる。
だが、今のテンションの俺を止められる奴はこの世にいない。
先手必勝だ。

「ダイヤモンド ダストーッ!!!」
と、キグナス氷河の技で氷漬けにしたいとこだが、残念ながら、俺はまだ
 『乙女コスモ』に目覚めていない。

しょうがなく、近くの木を叩いて枝に積もった雪の塊を女の子に降らせてやった。

どさっ

「………」
「あれ?俺を狙う刺客じゃないのか?」
「………」
「まあ、いいか」
 

そう呟くと祐一は再び走り出した。
 
 
 
 

「…こんな事する人、大っっっ嫌いです!!!」

少女の呟きを聞く人は誰もいなかった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

そして、俺は紙に書いてあった店で買い物を済ますと、スーパーサイヤ人になって
全速力で家に向かった。
しかもスーパーサイヤ人3だ!
…あとでまゆ毛は生えてくるんだろうな……
ちなみに4は友人に『歌舞伎?』と不評だったので好きじゃない(笑)
 
 
 
 
 
 
 
 

水瀬家に着いて、ドアを開けると、
 
 

「おかえりっ!祐一っ!」

名雪が頬を赤らめて迎えてくれた。
 
 
 

「じゃあ、俺帰るから。相沢もおやすみなっ!」

丁度斉藤も帰るところらしい。
しかも、妙にゴキゲンだ。
 
 
 
 
 
 
 

……名雪をよく見ると…
服が微妙に乱れている…
 
 
 
 
 
 
 
 

「…名雪?」
 

「あ、祐一、ご苦労さま」
 

「え〜と…斉藤、妙にゴキゲンみたいだけど…」
 

「うん、わたしも今日は満足したよっ!」
 

「は?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「斉藤君、やきもち焼くと、すっごく激しいんだよ」
 
 
 
 
 
 

「はい?」
 
 
 
 

「祐一、ありがとうね。また今度もよろしくね(はぁと)」
 
 
 
 
 
 
 
 
 

いや…そんな事で(はぁと)を使われても…
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

って言うか、俺は…
 
 
 
 
 
 
 
 

結局、『メカのもと』程度の扱いなのか…
 
 
 
 
 
 
 
 
 

まあ、消しゴム一つ買うのにわざわざ駅前のコンビニを指定してあったのは
変だなぁとは思ったんだけど……
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

布団の中で俺は今日の出来事を思い出していた。

「あれ?」

何かおかしい。
最初に会った女の子。付いていたのは『つの』じゃなくて『羽』じゃなかったか?
次にあった子は、ボクシンググローブなんかしてたっけ?
最後の子は…思いっきり無実だよな…

「まあ…いいや……」

でも…大切な絆を失ったような気がするのは…気のせいなんだろうか?…
 
 
 
 

< 続く >
 

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祐一は覗き野郎にまで成り果てた。
しかも他の女の子との絆も自らの手で壊してしまった。

…そして、ついに祐一は名雪に聞いてはいけない事を聞いてしまう。
 「名雪、お前と……」
その問いに対する名雪の答えとは?
 「えっとね〜……」
名雪の答えに祐一が取った行動とは?
今回出なかったもう一人の女の子は?……決して忘れていたわけじゃありません(笑)
そしてサブキャラは?……すみません、彼女らは出ません(爆)

次回 イヤかの最終回!(多分^^;)
 

というわけで、どうも、と〜いです。

レスで他のキャラについていろいろ書いてあったんですが、
この祐一君は名雪ラブ^2なので、そんなもの眼中にありません(笑)
彼女らを選んでいれば幸せになれたかもしれないのに…
…って書くと、また自分とシンクロして悲しい気分になるなあ(謎苦笑)
 

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