ChangeきゃすてぃんぐKANON-1月10日


違和感コメディChangeのバリエーション。

注1:キャラは全体に壊れぎみです。各キャラに属性のある方は大いなる寛容の心でお読みくださるようお願いいたします。
注2:基本的に役名で進んでいますので、時折、本来が誰だったかを確認しないとよくわからなくなることがあると思いますが、それは作者の意図ですので、申し訳ありませんが頑張ってお読みください。(ほんとは本来の名前でやってもよかったんだけど…Changeの名前を冠してしまったのでしょうがないっす <をい)

現在まで判明しているキャスティング
・名雪役---香里
・秋子さん役---天野
・あゆ役---秋子さん
・香里役---佐祐理さん
・栞役---舞
・真琴役---栞

では、どうぞ。

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ChangeきゃすてぃんぐKANON-1月10日
 

1月10日 日曜日
 

…朝。
オレは目覚ましが鳴る前に目が覚めた。
…というか、目覚ましなんてないんだけどな。
オレは大きく伸びをすると、ふとんに手をついて…
ぐにゅっ
…なんだよ、ぐにゅって…
オレは変な感触のした方に目をやった。
「…おはようございますぅ」
「…お前、誰?」
「ひどいですぅ〜」
ベッドの上、オレの横に横たわっていた少女が、ちょっと顔を赤らめてオレを見上げた。
「昨日はあんなに…」
「…あんなに?」
オレは頭痛のする頭で、一生懸命昨日のことを思い出そうとした。
確か…この少女は…スーパーで拾って…おでん種?
「あ、お前、昨日の…」
「…はいっ!」
「…おでん種。」
「…そんなこと言う人、嫌いです。」
記憶喪失の少女(栞)はちょっと拗ねてみせた。
「…まあ、それはいいとして…」
「良くないです…」
「…何やってるんだ、お前。こんなとこで。」
「…え…」
少女は目を下に落とすと
「ひどいです…昨日の晩のこと、忘れたんですか?」
「昨日の…晩?」
オレは思い出そうとした。昨日の晩…晩…
…昨日は夕方から気を失って、なんの記憶もないんですけど…
第一、こいつ…服着てる上にストールまでしてるし。嘘臭い…
チクタクチクタク
…おいおい。
オレはあわててまわりを見回した。
…今日は何も変わったものは…
「…お前、背中、何かついでるんだ?」
「え?」
少女はわざとらしく後ろを見た。
「…何もないですけど?」
「…お前、死ぬぞ。」
「…なんのことだか、わたし…」
「…はいはい。」
オレは立ち上がると、少女の手を掴んだ。
「え?」
そして、そのまま手を引っ張って、ベランダへと出た。
「…あの…」
ベランダからしたを覗く。
…うん。雪がいい具合に積もっている。これなら大丈夫だろう。
「…えっと、ですね…」
「なあ、お前さ…」
オレは少女の顔を見た。
「…はい?」
「…昨日の夜…オレと…こうしたのか?」
「え?あ…」
オレは少女を抱き上げた。
「あ、その…」
少女は顔を赤らめて、そしてオレにあらがって
「…じゃあ、元気で。」
「え?」
そのまま、オレは手を離した。
「え?え?え?」
少女はそのまま、中庭へと落ちていった。
オレは部屋に入って窓を閉め、時計を見た。
…ジャスト7時30分。
どっか〜〜〜〜〜〜〜ん
爆音が、水瀬家を揺らした。
…ま、オレは無事だったからいいか。
オレがともかくほっとしていると、
「…ちっ」
舌打ちに、オレは振り向いた。
「…名雪。」
「…惜しいわね。」
そこに名雪(香里)が立っていた。
「お前、人を巻き込むなよ…」
オレが言うと、名雪は肩をすくめて、
「いいのよ。だって…」
「お姉さま〜〜〜ひどいですぅ〜〜〜〜」
…元気な声がして、階段を駆け上がってくる姿が。
「…お前…よく無事だったな。」
「…ふん!」
少女はオレにあかんべをすると、名雪に抱きついて
「お姉さま、ひどいですぅ〜。わたし、死ぬかと思いました〜」
…いや、普通なら死んでるぞ。
「小猫ちゃん…よく無事で帰ってきたわね。誉めてあげるわ。」
名雪が少女の頭をなでると、少女はうれしそうに
「…はい!」
と言って、名雪にべったりしがみつく。
…うーむ、あの後、何が会ったのか、想像はつくなあ…
「…あんた、鼻血、出てるわよ。」
「おっと。」
オレはあわてて上を向いた。
「…しかし、よく大丈夫だったわね…」
「わたしもびっくりしました。背中の鞄から、チクタクちくたくって音がするんですから。見たら、7時30分に爆発するみたいですし…もう時間、なかったですから、とりあえずポケットに入れました。」
…だから、著作権…
「…ともあれ、小猫ちゃん。あなたが無事で何よりよ。」
「はい!お姉さま…心配してくれて、うれしいですぅ…」
…だまされてるって、お前。そんなに心配だったら、最初から人間爆弾にするかい…
「じゃあ、今日はこのくらいで部屋に帰りましょう。」
「はい!」
「…今日は日曜だから…ね、小猫ちゃん。」
「…もう、お姉さまったら…」
…いちゃいちゃしながら、二人は部屋を出ていった。
オレは、鼻血をおさえながら、二人の姿を見送った。
そして、隣の部屋のドアの音がして…
「…うふふふふふ」
「…いやん、お姉さま…」
…思わず、オレは…
…いや、それは人様のネタだからやめよう…
「小猫ちゃん…」
「お姉さま…」
…ダメだっ、これ以上は…

…そのまま、オレは昼までその部屋にいた。
そして、隣の音は、その間、続いていたのだった…
…ティッシュ、買わなきゃ。ゴミ箱、いっぱいだし。
はぅ…

「…おはようございます。」
オレは部屋の換気をしてから階下のリビングに降りた。
「…もう昼ですが。」
秋子さん(天野)がいつものように無表情に迎えてくれた。
「…何してたのよ。」
「そうですぅ…」
テーブルの向こうに、隣にいた二人がもう並んで座っていた。
…なんか、目の下、隈がないか?
「…お日さま、黄色くない?」
オレが名雪に聞くと、名雪はちょっと目を瞬かせ
「…ちょっとね。」
…だろうさ。ええ、そうでしょうとも。
「…で、そいつ、ほんとに記憶喪失なのか?」
「…え?」
オレの言葉に、名雪は何を言ってるのかわからないという顔をして
「…あ、そうそう。そうだったわね。」
「…忘れてたのか?」
「そんなわけじゃ…ないけどね。」
…完璧に、別な興味の方に走ってただろ。
「…まあ、本当に記憶喪失らしいわよ。」
「そうか…」
「記憶が戻るかと、いろいろ刺激してみたんだけどね…」
…いろいろな刺激ねえ…あ、また鼻血が出そう…
「…戻らなかったのか?」
「ええ。」
「はい…そうなんです…」
少女もちょっと目を落とした。
「何か、身元が分かるもの、持ってないのか?」
「何もなかったわよ。全部脱がしたんだけどね…」
「…嫌です、お姉さま…」
少女がいやいやをする。
「…何もない?」
とりあえず、オレは無視して話を続けた。
「一ヶ所だけ、調べてないんだけど…」
「…どこだよ。」
名雪はオレの顔を見て
「…分かるでしょう?」
そして、少女の顔を…それからそのスカートのポケットを…
「…ああ。分かる。」
「……?」
少女が不思議そうにオレたちを見た。
「…調べないのですか?」
と、その時、冷静な声。
オレたちは振り返った。
「…はい?」
「…ですから、調べないのですかと聞いているのですが。」
秋子さんがオレたちを見つめていた。
「…えっと…」
「…ああ、祐一がこれから調べるって。」
「…はい?」
オレは名雪の顔を見た。
「…ああ、それはいいですね。」
「でしょう?」
…二人とも、押しつけやがって…
「なんでオレが…」
オレは二人の顔を見た。
二人はオレを見ていた。
…その目はやめろってば。
「…祐一さん。今日の昼はラーメンなのですが…」
「…だしが足りないのよね。なんか、前に手首でだしを取る話が…」
「…やらせていただきます!」
…著作権違反よりも命の方が大切だっ!
オレは少女に向き直ると、おもむろにその手を掴んだ。
「あの…」
「オレの命がかかってるんだ。調べさせて…もらうぞ。」
そして、オレはポケットに手を…
………
「…このへんで勘弁してください。」
「…そうね。」
「…そうですね。」
「………」
何があったのかは…言いたくない。
ただ、オレの姿が一瞬、リビングから消えたかけた、ただそれだけ言っておこう。
…永遠じゃなく、4次元に消えてエンドかと思ったぞ…

とりあえず、そのままお昼のラーメンを食べて。
…たしかに、ちょっとだしが薄かったけど…それは言うまい。命、惜しいし。
「…じゃ、あたしたち…」
「…お姉さまったら…」
などといいつつ、名雪と少女は二階へあがっていった。
…まだやるのか、お前ら…
オレが呆然とその後ろ姿を見ていると、
「…祐一さん。」
秋子さんがオレに言った。
「…はい。」
「用事、お願いできますか?」
「…なんでオレが?」
秋子さんはオレを見た。
「…夕食のおかず、まだ決めてないのですが…祐一さんなら3人で食べても…」
「ぜひ、行かせていただきます!」
「…一緒に行きますから。買い物です。」
「…はあ。」
一緒に行くくらいなら、一人でいけ!
…などと言えるわけもなく、オレたちは何やら怪しい声が二階から聞こえる家を出た。
「…楽しそうですね。」
言った秋子さんの顔は…
…お前ら、本気で親子だよ。絶対。

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外はひどく寒かった。
オレはやっぱり秋子さんの風よけにされつつ、商店街に向かった。
そして、秋子さんの用事のお米2袋をオレが持ち、帰ろうとしたその時。
「…ああ、祐一さん。」
…聞きたくない声。
だから商店街は嫌なんだよ…
「えっと…やっぱり会えましたね。」
ゆっくりと歩いてくる姿。
背中に…なんだ、あの大きな羽は。
「…どうしたんですか、その羽。」
オレが聞くと、あゆ(秋子さん)がにっこり笑って
「…福引で当たりました。白鳥の羽だそうです。」
…何でそんなもんが福引に?第一、鳥獣保護法違反じゃないのか?
「…なかなか似合いますね。」
オレの隣の秋子さん(天野)が、感心したようにつぶやいた。
…そうか?なんか…すっごく通行の邪魔なんだけど…
「あ、こんにちわ。」
ふいに、あゆが秋子さんに向いて
ばこっ
「ぐわっ!」
オレは羽に吹き飛ばされ、道の端に転がった。
「…あらあら。」
あゆがゆっくりと近寄ってくる。
「…なんでオレが転ばなきゃならないんだよ…」
「…確かにそうですね。では…うぐぅ」
と、あゆはそこにゆっくりとしゃがむと、横座りに座ろうとする。
「…いや、もういいです。」
「そうですか…では…」
あっさり、あゆは立ち上がると、秋子さんの方に向き直った。
…手くらい、貸してくれよ…
オレが自力で立ち上がっているうちに、あゆは秋子さんに頭を下げると、
「初めまして。月宮あゆと申します。不慣れな役ですが、よろしくお願いいたします。」
秋子さんは、ちょっと首をかしげると、じっと秋子さんの顔を見た。
いつになく、不思議そうな顔だった。
そして…
「水瀬秋子をやらせていただいています。よろしく…お願いします。」
しっかり、あゆの手を握った。
「…いえ、役ですから。わたしも今はあゆですし…」
「それはそうですが…」
…お前ら、地に戻ってるぞ。
「挨拶はそのへんにして、行きましょう、秋子さん。」
「はい。」
「はい。」
「…地に戻ってます、あゆ…」
あゆはちょっと首をかしげると、やがて手をポンと叩いて
「…そうでした。わたしはあゆでしたね。」
…そろそろやめましょうよ、このキャスティング…
「…で、皆さん、今日はどちらへ?」
げっそりしているオレを無視して、あゆが話を進めていた。
オレは答える気力も失って、手にした米の袋を見せると
「…ゲーセンに行くようにみえますか?」
「…大変ですね、ゲーセンに行くのも。」
「…頑張ってください。」
…秋子さんまで何言ってるんだ!
オレは秋子さんの顔を見た。
「…冗談です。」
「…そうだったんですか…」
あゆは真面目な顔でうなずいている。
…ある意味、確かにあゆだよ、この人…
「…帰りましょう。」
「…そうですね…」
秋子さんはじっとあゆの顔を見て、それからオレに振り返った。
「祐一さん。部屋の片付けがあるのではありませんか?」
「…はい?」
オレは秋子さんの顔を見た。
「…まだ片付いていないのでしょう?」
「…まあ…」
…名雪がわざわざ外に放り投げてくれるし…オレは夜は毎日気を失ってるし…今日は今日とて朝からあいつらが隣で…
「…鼻血、出てますが。」
「あ、すいません…」
オレは秋子さんがくれたティッシュを鼻に詰めた。
「確かに、片付いてないし…人手も欲しいですけど…」
…あいつら、まだやってたら…そこへ、このあゆとオレが隣の部屋に…
…すると、あゆが顔を赤らめて…もじもじして…オレが…この豊満な肉体に…
「…ぜひ、お願いします!あゆ!」
「え?」
あゆはちょっとびっくりした顔。
「ぜひとも手伝いに来てください!今、暇ですか?」
「…は、はい。」
「じゃあ、ぜひ!ぜひ!一緒に片付けましょう!そして…」
…そして、そのまま二人で…へっへっへっ
「…あなたも壊れてきてますね。」
ぼそりと秋子さんが言った。
「え…いや…」
「…また口に出してました。」
…はぅ…
オレはあゆの顔を見た。
あゆはにっこり笑って
「…そっちの方は秋子さんで処理してくださいね。」
「ぜっっっっっっっったいに嫌です。」
「…では、一人で処理してくださいね。ティッシュはさしあげますから」
「…うぐぅ。」

家に帰ると、怪しい声はしなかった。
どうやら、どこかへ行ったらしい。
「…あ、置き手紙ですね。」
秋子さんがリビングのテーブルの上にあった紙を取り上げた。
「なんて書いてあります?」
オレは秋子さんの横から字を読んだ。
『なんだか隣にギャラリーがいないと燃えないので香里のとこに行くわ。名雪』
…分かっててやってたのか、お前ら…
『そんなこと言うお姉さま、嫌いですぅ。記憶喪失の少女。」
…きちんと「ぅ」まで書いてあるし…まだ名前思い出してないし…ある意味、律義だな。でも、そのセリフ…キャスティング忘れるなよ、真琴…
「…では、仕事がはかどりますね。」
あゆがニコニコしながら言った。
「…まあね。」
密かな野望が完全に消えたオレはがっかりしながら
「じゃあ、分担して片付けましょう。オレが荷物を運びますから…」
「わたしが中身を片付けますね。」
「そうしてください。じゃあ、やりましょうか。」
オレとあゆは階段を上がっていった。
「わたしはお茶を用意しておきます。」
秋子さんがオレたちを見送った。

何事もなく、1時間ほどで片付けは終了した。
やはりこの人選は正しかった。
「ありがとうございます、あゆ。おかげで助かりました。」
「いえいえ、どういたしまして。」
オレがお礼を言うと、あゆが丁寧に頭を下げた。
「では、下に行きましょうか。秋子さんがお茶を用意してくれてるみたいですし。」
「そうですね。」
オレとあゆは部屋を出て階段を降りた。
「ああ、ちょうどよかった。今、お茶を入れていたところです。」
リビングに入ってきたオレたちを見て、秋子さんが声を掛けてきた。
「そうですか。では。」
「お邪魔します。」
オレはとりあえず、リビングに入ってテーブルに…
…テーブル?
ここは…リビングだよな?
「…秋子さん。これ…」
オレはキッチンにいるはずの秋子さんを探した。
「…秋子さん?」
「はい。ここにいますが。」
「…え?」
オレはもう一度、リビングを見直した。
そこは…リビングのはずだった。つい1時間前までは。
それが…床一面の畳、どこから持ってきたんだよ。
その上…床に穴開けちゃって…茶釜、沸かしてるし…
「…祐一さん?」
…秋子さん?いつの間に和服を?
でも、初めてみるけど…秋子さんの和服…なんか…
「…ぶんぶく茶釜?」
「………」
ピクッと秋子さんの肩が揺れた。
でも、秋子さんは変わらぬ無表情でおれとあゆを見上げると、
「…どうぞ、お座りください。」
「…では。」
あゆがスッと畳に座った。
オレもともかく座ることにした。
オレたちが座ると、秋子さんは一礼をして、茶釜に向き直ると、お茶を点て始めた。
…よく知らないが、結構、形になってるみたいだな。
オレが感心していると、秋子さんはお茶を点て、あゆの前に置いた。
あゆは茶碗を持つと、ゆっくり回して、そして口に持っていった。
そして、お茶を飲み干すと、お茶碗を置いて胸元から懐紙を…
…何で、そんなとこに懐紙、持ってるんだ?あゆが着てるの、セーターだよな…
…ともかく、懐紙で茶碗を拭くと、一礼をした。
「結構なお点前でした。」
秋子さんは無表情にうなずくと、またお茶を点て、今度はオレの前に置いた。
オレはよく分からないけれど、ともかくさっきのあゆの真似をして、茶碗を持ってゆっくり回し、そしてお茶を飲んで…
「…ぐはっ」
…これはお茶か?なんか、口の中が…熱い!
「あ、秋子さん、これ…」
オレがあわてて秋子さんを見ると、秋子さんはうなずいた。
「タバスコ茶です。」
「まあ、わたしのはただのお抹茶でしたのに…でも、それも風流ですね…」
あゆがうなずいて言った。
…ホントか?ほんとに風流なのか?第一、なんでオレだけこのお茶なんだよ…
オレはもちろん、一口飲んだ茶碗を置いて…
「…置くのですか?」
秋子さんがオレを見ていた。
じっと見ていた。
…えっと…
「…祐一くん。それは無作法です。飲み干しなさい。」
あゆもオレを見ていた。
じっと見ていた。
…その…
…この世で、この二人のプレッシャーに勝てる奴がいるわけがなかった。
オレは目をつぶって、一気にそのお茶(?)を飲み干した。
「…結構なお点前、でした…」
…胃の中まで焼けてる気がする…
「ああ、すいません。そういえば、お菓子を忘れていました。」
秋子さんが言って、後ろから落雁のようなお菓子を取り出した。
オレはもちろん、それに手を伸ばした。
その時。
「ただいま…」
「帰りました〜」
レズ二人組が、明るい声とともにリビングに飛び込んできた。
「お帰りなさい。」
「ええ、ただいま。」
「帰りましたですぅ〜」
秋子さんの言葉に、仕切り屋・名雪(香里)モードとぷりてぃ真琴(栞)モードの二人が答える。
「あ、えっと…初めまして。あゆです…ですね。」
あゆが立ち上がって礼をしながら、
「…でも、シナリオではまだ名雪さんには会わないはずですね…それに真琴には最後まで会わないはずなのに…どうしましょう。」
と、緊迫感のない口調で言う。
「…じゃあ、会わなかったことにするわよ。」
「そうですねっ」
二人はあっさりそれを流して
「でも、ともかく、今は聞いてちょうだい。この子の名前が決定したのよ。」
「決定?」
…何なんだ、それは。思いだしたんじゃないのかよ…
「これよ!」
名雪は見上げるオレたちに、手にした筒から紙を取り出すと、それを両手で広げて見せた。
『命名:沢渡真琴』
「…どう。いい名前でしょう?」
「わたし、気に入りましたから〜」
にっこり笑う少女…真琴。
…そうなのか?そういうことで名前、決まるんだっけ?なんか違うような…
「…何なんだ、その名前。」
オレは名雪の顔を見た。
名雪はフッと微笑むと、
「…これはね…わたしの初恋の人の名前…そして…わたしの初めての…」
…目がどっか行ってるし。
「はあ。お姉さまはまだその人のこと…」
真琴はそんな名雪の顔を見ると、ため息をついたが、すぐに手を握り締め、
「…でも、真琴、負けません!きっとわたしにお姉さまを向かせてみせます!」
…はいはい。勝手にやっててくれ。
オレはとりあえず、喉と胃の熱さを抑えようと、秋子さんの出した落雁を取った。
そして、それを一口、かじった。
「…ぐはっ」
口の中に強烈な、味とは呼べない刺激が広がる。
「あ、秋子さん、これ…」
オレが必死で言うと、秋子さんはオレを見て、それから落雁を見て、
そして、なにげなく言った。
「…すいません。これはプールの消毒剤でした。」
(ちなみに、次亜塩素酸ナトリウム。水道の消毒剤ですね)
…死ぬ。死んでやる…
オレはかすかな意識で思ったが、それもすぐに消えた…

…どうでもいいけど、今日も夕食を食べてないんですけど…

<to be continued>

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…筆者です。
「仕切り屋・美汐です。」
…既に真琴は原型がない…
「みんな、壊れ過ぎでしょう。」
…いや…10日は新キャラがいないから、このキャラで間を持たせるのが大変だったからさ…元々短い日だったけど、結構大変だったぞ。
「オチも弱いですし。」
…はぅ…頑張るっす。テンションも上げるし、ヴェーテルさんに追いつかれないようにっ!次回は舞が出るんだ。さあ、キャスティングは誰でしょう!みんなで考えてくださいねっ!
「…もう決めてるくせに。」

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