Happy New Year! (にんぎょひめの娘たち-New Year)


真琴系SS

実感ほのコメと呼んでください(苦笑)

シリーズ:にんぎょひめの娘たち

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前置き

この物語はフィクションです。
Kanonの登場人物以外の名前、および物語内の出来事に関して
現実の何かに似ていると思われる事物があったとしても
それは偶然の一致です。
ええ、そうですともっ(涙)

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Happy New Year! (にんぎょひめの娘たち-New Year)
 

「明けましておめでとう…」
オレはドアを開けると、中に呼びかけた。
「…はいはい…何だ、相沢か。」
北川が部屋から顔を出すと、嫌そうな顔で
「…何しに来たんだよ。」
「何しに、とはご挨拶だな。」
言いながら、オレは左手で真美を玄関に入れると
「さ、北川のおじちゃんにご挨拶しろ、真美。」
「うん!」
真美はうれしそうに言うと、北川に向き直り
「明けましておめでとうございま〜す、おじさん!」
「…おう、真美ちゃん。おめでとう。」
「うん!」
うれしそうに笑う真美。
北川も微笑むと、部屋から出てきた。
そして歩いてきた北川に、真美はニッコリ笑いながら
「ね、おじさん。」
「何だ、真美ちゃん。」
「ねえ…お年玉ちょうだい!」
「……え?」
北川の笑顔が凍った。
「…真美ちゃん。」
「…うん?」
「そういうのは…自分から言わないんだぞ。」
「いいのっ!ほしいんだもん!」
「………はあ。」
北川はため息をつくと、オレの顔を見た。
「…どういう躾してるんだよ。」
「いや…ここだけだよ。」
オレはにやにやしながら
「北川のおじさんにお年玉もらいに行こうって、言って来たんだから。」
「…あのなあ…」
北川は苦笑いをしながら、ポケットに手を入れた。
「…はい、お年玉。」
「わ〜〜〜い!」
北川から袋に入ったお年玉を受け取ると、真美はうれしそうに…
ドタドタドタドタ
「…真美ちゃん…」
「うん!」
「……靴、脱いで入ってくれる?」
真美は足下を見た。
靴のまま、部屋に上がりこんでいる自分の足を…
「ごめんなさ〜いっ!」
ドタドタドタ
真美は靴のまま駆け戻ると、玄関で靴を脱いだ。
「…はあ。」
ため息をつく北川。
…ふっ。オレの日頃の苦労、少しは分かったか…
「…で、真琴さん、どうした?」
と、北川はオレの右手を見ながら
「紗梨ちゃん連れて…」
「…いま、来るから。秋子さんのところで、ちょっと捕まってて…」
…というか、名雪とおしゃべりで…どうせ、ここへ来ても香里とおしゃべりだろうにな…
「…香里は?」
「…あいつ、実家。」
「…お前もか。」
「…おう。」
オレは北川の顔を見た。
北川もオレの顔を…
「…じゃ、呑むか。」
「…おう。」
そして、オレは上がりこんだ。
 

「…だからさ、オレは言ったわけよ。『んなこと出来るか!』って。」
「……で、香里、なんて?」
「…………『ふざけんじゃないわよ!』って叩かれた。」
「ぶははは」
「…笑うなよ。」
…そして、目の前に並ぶビール缶。
香里が作ったらしいおせちを肴に、オレたちは呑んでいた。
…ホントは酒、といきたかったが…北川家には酒はなかった。
『…香里に否決された』そうだ。
…どうせ、何度か香里の前で酔いつぶれたんだろうな、こいつ…強くないからな…
でも、ビールでも昼間から飲めるのは、正月だから…
うるさい真琴もいないし…
あいつ、一回ビールを一口呑んで、真っ赤になってぶっ倒れて…
それ以来、オレが呑むのもいい顔しないからな…晩酌なんて、もってのほか…
でも、今は真琴も香里もいない…
真美は…隅っこでお菓子を食べながらテレビ見てるし…
紗梨は…とりあえず寝てるから…
「…ふぎゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
…って、言ってるそばから泣くか!
「…紗梨ちゃん、泣いてるぞ。」
「分かってるって。」
おしめかな?
オレは紗梨のおしめを触ってみた。
…大丈夫。とすると…
「…ミルクかな?」
「ミルク?」
北川は顔をしかめると
「うちには…ないぞ。」
「分かってるわ!」
…赤ん坊もいないのに、あった方が恐いわっ!
「えっと…ミルク…持ってきたっけ?」
…うーん…水瀬家を出る時に…真琴に……
……ダメだ。思い出せん。
「…オレも持ってないかも。」
「おいおいおい。」
北川はオレの顔を見ていた。
…こんなとき、野郎は…役にたたんな…
「ふぎゃ〜〜〜〜〜」
紗梨は泣き続けている。
「パパ〜、紗梨ちゃん、お腹減ってるって。」
真美はオレの顔を見あげていた。
…うーむ、どうしようか…
…まだ、おせちを食わすわけにもいかないしな…
「…北川。お前んち、牛乳ある?」
「ない。そんなもん。」
…うーん、本気で使えない奴…
「ふぎゃ〜〜〜〜〜」
紗梨はますます泣いている。
部屋中、大きな声が響いて…
「…相沢…」
「パパ…」
…何だよ、二人とも…うーん…
北川と真美の顔を見て…
…ちょっと…
「…これ、飲ませてみるか?」
オレは手にしたビール缶を、紗梨に近づけると、口の方へ…
「…お前なあ…」
「パパ…」
あきれた顔の二人。
そして…
「…何してるの、相沢くん。」
「…え?」
声に、オレは振り向いた。
そこに、あきれた顔の香里と、そして…
「…祐一っ!何てことしてんのよぅ!!!」
…真っ赤な顔で怒っている、真琴…
 

1月3日
相沢祐一
夫として
父親として
信用を失う…
 
 

「…冗談だったんだってば…」
「もう…知らないぃ!自分の娘に、何てことしてんのよぅ!」
「…だから…」
「…パパ、ひどい…」
「…冗談なんだってば…」

<to be continued>
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…筆者です。
「仕切り屋・美汐です。」
…これは…実話じゃないっす。
「…本当ですか?」
…当たり前だっ!
「………」
…本当なんだよぅ…

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