Forbidden lover  4th
 

これは、前回までの1〜3を読んでからの方がよろしいと思います。
いまさら何ですけど真琴シナリオネタバレ……かな?
 
 
 
 

「美汐の髪、綺麗だね」
 そう言って、彼が私の髪に触れる。
「あ……」
 何だかくすぐったくて、恥ずかしくて、
「うん、綺麗綺麗」
 でも、そうやって髪を撫でてもらえるのが嬉しかった。
 彼の肩に頭を預けて、私は瞳を閉じた。
 
 
 
 
 
 
 

       “Forbidden lover”
 
 
 
 
 
 

 こんなに穏やかな日々。
 こんなに幸せな日々。
 二人だけの楽園。
 だけど、今、それは終わりを告げようとしている。
 そして、私はまた、大切な人を失う――
 
 
 
 
 
 

 その日は突然やってきた。
 いや、予兆はあった。
 些細な、些細な違和感が。
 それを、今の幸せに溺れていた私は見落としていた。
 そして、奇跡の時間は終わりを告げる――
 
 
 
 
 
 

 買い物から帰ってくると、彼が倒れていた。
「透流?」
 慌てて駆け寄って抱き起こす。
 凄い熱だった。
 苦労して、彼の体を布団に横たえる。
 脱がせた彼の上着をたたもうとすると、何かが上着のポケットから滑り落ちた。
 手に取ってみる。
 それは――
「リボン?これ……」
 たしか、あの丘で――
 何か引っかかるものはあったが、それ以上は考えずに看病の方に意識を傾けた。
 明日になって熱が下がらなかったら医者へ連れていこう。
 そんなことを考えて。
 
 
 
 

 翌日。
 熱は下がった。
 だけど――
 
 
 
 
 
 

 その日は一日彼のそばで過ごした。
 離れようとすると嫌がったからだ。
 私は混乱していた。
 こんなことがあるのだろうか?
 つい先日までは普通に振る舞っていた人が、今はまるで小さな子供のように物言わず、
意志を伝えてくるのはよわよわしく動く手と、瞳だけ。
 私の手にはリボンが握られている。
 彼が持っていたリボン。
 そして、私がものみの丘で怪我をしていた狐に巻いてあげたリボン。
 突拍子もない考えが私の頭をよぎる。
 馬鹿馬鹿しい。
 そんなことあるわけがない。
 
 

 他愛ない昔話。
 ものみの丘にすむ狐は、長い時を生きて妖狐となり、人に災禍をもたらす――
 
 

 こんなもの、根拠も何もないただの空想だ。
 だけど、心の中にじわじわと広がっていく波紋。
 波紋は波紋を呼び、やがて大きなうねりとなる。
 わからない。
 彼は――いったいどうなるの?
 きゅっ、と彼の手を握る。
 まるで、そうすれば彼をここに繋ぎ止めておけるとでもいうかのように。
 
 
 
 
 

 不安。
 焦燥。
 悲しみ。
 ――恐怖。
 そう、恐怖だ。
 私は何より恐れている。
 彼を、失うことを。
 
 
 
 

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  おはようございます。
  香里「おはようございます」
  第4回です。
  香里「どんどん暗くなるわね」
  うーむ・・・仕方ない、と言えば仕方ないんだが・・・
  香里「大好評(爆笑)だった彼の名前ですが・・・」
  裏設定、として美汐の父親の名前、というのがあったりします。
  香里「ファザコンなの?」
  美汐好きな方、ごめんなさい。でも、人間誰しもそういう部分は大なり小なりあると
  おもうんですね。あんまり関係ないことですが。
  香里「次は?」
  未定。
  香里「・・・・・・」
  ・・・・・・・・・・・
  香里「そ、それではみなさん、しーゆー♪」
  またお会いしましょう(ひきつった笑い)
 


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