『卒業』〜epilogue
 

 こんばんわ。またまた詐欺師です。
 『卒業』シリーズのエピローグとなるこの終章。
 たいして長くありません。祐一のその後です。
 それでは、どうぞ。
 

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 明日が今日に
 今日が昨日に還るように
 想い出もまた、心に還る
 
 

     『卒業』〜epilogue
 
 

 季節が流れていた。
 静かに。でも確かに。

 あの冬の、そして春先の出来事からもう何年かたち、高校、大学、そしてまあ、
 自動車学校も含めて。俺はいろいろな卒業を経験した。学校だけでもなく。

 その度に俺は思い出す。あの二人だけの卒業式を。
 暮れ行く森での、あのささやかなひとときを。

 天使の人形は引っ越してもまだ俺の部屋にあって、新しい友達には笑われたりも
 するけれど、それでもやっぱり、はずさない。
 今度笑われたら、本気で怒ることに決めている。

 あゆのことは忘れていない。その強さも。優しさも。
 ただ確実に、あゆのことを思う時間は減っていた。

 それでもきっと、忘れることは決してないだろう。
 それは約束で、あゆの願いで、俺の願いだったから。
 「忘れないで」と願ったあの日。
 俺は今、空に問い掛ける。
 「憶えてるか?」と。

 今でも時々、あの場所へ出かける。
 二度の別れを経験した、あの場所へ。
 この街は人口の変動も少なく、あの森を開発する動きは今のところない。
 けれど、未来永劫そうだという保証はどこにもないし、もし開発が始まって
 あの辺り一帯が伐採されるとしても、俺は何もしないだろう。
 市民の運動が起こっても、きっと参加しない。
 

 そして、彼女の最後の願い。

 それはいつも俺とともにある。俺は彼女を愛するように、自分の想い出を
 愛する。
 彼女と出会ったことを。彼女とともにあった日々を。その想いも、すべて。
 それは誓い。そして証。
 月宮あゆという少女と交わした、未来への想い出。
 

 あゆのことは忘れていない。その強さも。優しさも。
 ただ確実に、あゆのことを思う時間は減っていた。
 それでもまだ、心のどこかでは彼女は笑っていて、
 不意にどこかをひっかいて、涙を流させる。

 そんな時は、いつもたい焼きが食べたくなる。

 春の空に舞う、白い雪の下で。
 

                      <終>

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 あらためまして。詐欺師です。
 終章、製作時間10分…
 もっとよく考えろ(笑)

さて、実際は笑い事ではないのです。
 BadEndから始まったこのシリーズ。結果として奇跡は起こらず、Badのまま
終わってしまいました。
 (だからヴェーテルさんに「詐欺師」って言われる…
  …まあ、そうなんですけど(^^; )
 いろいろ不満が出ることと思います。原作と違ってあゆが泣いてなかったり、
文章そのものが変で読みにくかったり…と。
 ご指摘は次のSSに必ず生かしますので、よろしければお寄せ下さい。

 最後に、一つ。
 これが私の描いた「卒業」です。
LOTHさん。たぶんかぶらないでしょう(^^;
 

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